あらゆる意味で贅を尽くした日本最高峰の名旅館 : 俵屋旅館

京都旅行の二泊目はこちらです。

実は今回の京都旅行はここの予約が取れたので急決行したものでした。
ネットではJTBからだけ予約が出来ていつも満室だったのですが、
初めて休みの日に空室があったんです（笑）
名旅館特集や名建築特集でこの旅館を見て、恋焦がれていたんです。

黒塗りの高そうな車が停まっている中、
バス代さえケチったのは私たちくらいかもしれません(^^;
正面にはちょうど従業員さんがいて、目があったので会釈をしますと
荷物を持って、すぐに部屋に案内してくださいました。

普通は部屋に行くまでに書かないといけない予約票は
後から、仲居さんがウエルカムスイーツ＆ドリンクと共に、
「いつでもいいので、こちらお願いいたします」って持ってきてくださいました。
とことん煩わせない主義なのね。
もちろん仲居さんは部屋付です。

そして、部屋が素晴らしいです！！
18室あるらしいのですが、今回は「寿」という部屋でした！
専用のお庭が付いていて、毎日庭師が整えるというだけあって、美しいものです。
掛け軸は"松村景文"のもの。
館内にはその他にも有名な芸術家の作品がところどころにあります。（紹介しきれないので割愛）
お香のいい香りもします。
「物書きなどにお使いください」と専用の書斎まであります。
しかも掘りごたつ式！！こんなの初めて～

もちろんお風呂も沸かしてくださってありました。
部屋にあった俵屋の本を読みますと、お風呂を完璧に整える専門の方がいらっしゃるということです。
最初見たとき、「ちっちゃ！」って思っちゃいましたが、
入るとお庭が見えて気持ちいいんです。くつろげるんです。
洗い場も広く、有名なアメニティも充実しています。
（洗顔料や化粧水などはないですが・・・）

お布団とかその他全ても拘り続けて、
その拘りを記した俵屋相伝なんていう本もあるくらいなのですが、
とにかくあらゆる意味で贅を尽くしています。
建物はよく手入れされていますし、
あるものあるもの全部拘っていますし（新しいものというよりは丁寧に使い込んだものと言う感じ）
裏でも人を沢山使っているみたいです。
なんとなく高価格の意味はわかりました。

そうそう、ウエルカムスイーツのわらび餅もプルンプルンで超美味でした。

お風呂に入ってからお出かけに行こうとして、
入口辺りで雨の心配をしていたら高級感のある傘を持たせてくださいました。

帰ってきたら、気持ちのいい挨拶、そしてお茶も持ってきてくださって、
夕飯までの30分ゆったりーー。

お夕飯は20年以上こちらに勤めている黒川料理長の渾身のコース。
メニューは達筆過ぎて読めないので、以下全て正式名称ではございません^^;

先付は５品。
鮑の柔らか煮、穴子の有馬煮、蛸の小倉煮、養老寄せ、つまみ湯葉。
それぞれに違う味が染みています。
穴子に山椒が効いていて好みです。
湯葉も不思議にもっちりしています。
蛸は薄甘く非常に柔らかく煮込まれていて、蛸の子供まで付いています。
それも美味しかったのですが、シャキシャキの針さや(絹さやみたいな味)が好みでした。
一口ずつでしたが、もう少し欲しい・・・

小茶碗は南京の羽二重蒸し。
胡椒と枝豆が載っています。
南京甘くて美味しいわ。

向付はアコウ、鰈、鱧。
普通に美味しいのですが、なんか紫蘇の実さえ香りがいいです（笑）

煮物はグジの蓮蒸し。
これが今回の一番のお気に入り。
ふっくら優しい甘味で非常に美味しかったです。

焼物は鮎の笹焼き。
熱した石の上に笹をひいて稚鮎を載せたもの。
蓼酢でいただきます。（お米も入っているとかでまろやかでした）
苦味に一瞬目を閉じると、鮎に移った笹の香りがゆっくり鼻孔にきます。
でも個人的には鮎よりも付け合せの煮梅がびっくりするくらい甘くって美味しかったです。

冷し鉢は賀茂ナスと鰊とインゲンを出汁で煮たもの。
茄子がすっごくジューシー。普通に美味しいです。

温物に鱧千里煮。
湯葉、椎茸、水菜、ずいき、水菜が入っていました。
鱧はフカフカで美味しかったです。
でもお昼に食べたもののがもっとフワフワしていて、好みでした。

強肴は太刀魚の南蛮漬け。
南蛮漬けに太刀魚は珍しいです。
太刀魚の真ん中にアスパラが入っていて丸めてあって、見た目もオシャレ。
里芋とシメジが添えられていました。
きつくないお酢だけど、しっかり味がついていました。

赤だし（なめこ）と白ごはん。
京都の赤だしって優しい味がして好きだわ♪
白ごはんは甘くて美味しいお米でした。

水物に桃ゼリー寄せ。
普通。

どれも古風な匂いがしながらも、お皿や盛り付けが美しく見ても楽しめる食事でした。

それからお布団を敷きに来るときに、お茶と俵型の落雁を持ってきてくださいました。
起きると目覚めのドリンクとして選んだオレンジジュースを持ってきてくださいました。
（朝ごはんの時間の30分くらい前に布団をあげに来てくださり、そのときに持って来てくださいます）
いたれりつくせり。
ちなみに敷布団がすごい厚みで寝心地が良く、
掛け布団はシーツ程度の薄さですごく軽いものでした。

朝食は洋食か和食か選べて、洋食にしました。
（二人で別々に頼むことも可能です）

玉子料理はスクランブルエッグ。
目玉焼き（両面、片面）やオムレツ、茹で卵といろいろ選べます。
付け合せもソーセージとかいろいろ選べて、ベーコンにしました。

パンもトーストかクロワッサンか選べて、トーストに。
２枚あって、デロンギのトースターで焼きました。

バターとマーマレードも付いていました。

飲み物もいくつかから選べてヨーグルトドリンクにしました。

ホテルで洋食食べると大体こんなんよね、
って感じのラインナップですが、味は普通のホテル以上にはいいと思います。
夕食のが見た目に驚きもあって、出汁だとか食感の変化だとかが楽しかったので見劣りしますが。

なんだかんだ言いながら、この旅館を去るときは、すごく寂しい気持ちになりました。
最初は入るだけで緊張しましたが、計算しつくされたいいお宿でした。

二人で11万円ちょっと。
すっごく高い！！！でもお盆なのに全く値上げしてなかったんですよ（笑）
他は三倍くらいにしているところもあったのに（送り火もあるし）。
そういうことを考えるとお得な時に泊まったのかも。

すごーくゆったりといいときを過ごせました。
難点は部屋にたまに聞こえた足音、
屋根がきしむ音は情緒なのですが人がたてる音はあんまり好きじゃないかも。
でもほぼ完ぺき。
毎年、１８部屋のうち１部屋は工事をして新しい試みをしているみたいですので、
泊まる度に新しい驚きがありそうです。
私たちには高級過ぎてまだ早い気もしましたが、いい経験が出来ました。
「定年後にでもまた泊まりたいね」といい、再訪を誓いました。