ジロリアンへの道　第百三十四回　－喰い気に反応して下さる洒落っ気がイイ－ : ラーメン階杉 ゆめタウン大竹店

山口県岩国市発祥のラーメン階杉。岩国本店、大竹店、周南店と3店舗の展開。看板メニューの汁なし担々麺は地元の周南店で喰えるから、大竹店にやって来る狙いはただ一つ、実質的に山口県初の二郎系である杉二郎を喰うのみ。とにかく大竹店の杉二郎は盛りが素晴らしいから。

【杉二郎大の麺増し（4玉）】880+100=980円
ここんとこ喰い気は益々インフレーション気味で、もはやメニューに載る最大盛り、大（麺3玉）じゃちょっと不完全燃焼。なので、更に麺増しコールして麺4玉がマイ･デフォ。ななもの極太麺1玉120gが4玉で茹で前480gって事は、ほぼ本物二郎の大って量感だ。地方の触発二郎としては、ちょっと思い切ったボキ麺で、これが結構な喰い応えである。ジロリアンも納得の麺喰いを堪能可能。

しかも、何が嬉しいって、最近始められたこの擂り鉢盛りである。確かにこれまで、通常の丼にトッピングしまくってたら、敢え無く丼淵決壊してた。要は丼容量に対して中身の量が多過ぎるのだ。それを解消するが故の、つまり必然としての擂り鉢盛りであって、そこがジロリアンには堪らぬ演出なんである。流石にこのサイズの擂り鉢だと容量は余裕タップリ。これならまだまだ増せて実に頼もしい。ま、私にはここら辺りが身の程知ったる限界量なのだが。

【まとめ】
この辺りじゃ稀有な、擂り鉢盛りされる（場合のある）触発二郎。私の知る限り、あとは北九州に一軒あるだけだ。ジロリアンの喰い気に反応して下さるこの洒落っ気が粋。なので喰い手も応えて乾杯する気になる。そんな無言の遊び心の応酬、この無言の会話感が、微妙に心地良いんである。毎度ご馳走様でした。

階杉。そもそもは汁無し担々麺専門店。で、この触発二郎もこの店舗だけのメニューなのだが、これがホンマにブレが少ない。もう面白味もない安定度。すなわち、いつ来てもハズレなし。しかも地場スーパーにテナント入りしてるから、正月以外は無休の通し営業。ここまで好条件揃い踏みの触発二郎ってのは、実は全国的にも結構貴重なのだが、これが二郎僻地の中国地方ともなれば、超貴重な触発二郎。ちょっとオーバーかも知れぬが。いや、決してキックバックなんぞは受け取っちゃいない。念のため。

【杉二郎大の麺マシ（4玉）】880+100=980円
今回は麺3玉となるデフォ最大盛りの杉二郎大をベースに、野菜や豚のトッピングはそのままとし、100円で更に1玉120g麺マシの魅惑オーダー。店長殿にお伺いしてOKを頂けた故のオーダーである。普段だったら野菜ダブルマシ、豚ダブルマシなんてやっちゃうので、デフォ盛りの野菜山なんぞは瞬殺。で、麺マシして4玉の茹で前480gとなった階杉麺に集中する。微妙な粉感ないしザラツキ感を伴う、チョイ硬め茹での角断極太麺である。マシ野菜山成敗の呪縛から解かれた舌は、階杉十八番の解し豚をおかずにしつつ、のっけから脇目も振らずに麺を味わう。そしたらこれが中々に良い。今更言うのもなんなのだが。もちろん野菜山がペケって訳じゃない。たまにはトッピングそのままで、あくまで麺を楽しむのも良いもんだって事。野菜の水分で微妙に薄まることも無い、階杉独断場の極乳化濃厚豚骨汁も、何時にも増してマッタリとした喉越し。う～ん、重いです。旨いです。

【まとめ】
既報で書いて来た通り、この丼はあくまで二郎もどきで、いわゆる見た目二郎。何故ならば、麺、豚、豚汁の3大要素がどれも二郎的じゃない。それは重々承知の上で手繰るべき。それでも喰い終わり満足感や、食後に腹の中で無用に膨張し続ける頑強麺がもたらす満腹感の持続は、二郎のそれに比肩する。繰り返しになるが、二郎僻地の西国では貴重な触発二郎である。

2017年の二郎始めである。しかしまあ何回通ったことか。郊外型スーパーにテナント入りしてるので使い勝手が良いことこの上ないのだ。とにかく、スーパーが営業してる限り何時でも喰える。昼休みもなけりゃ、年中無休な二郎系ってのは実にありがたい。

【杉二郎（麺3玉、肉ダブル増し、野菜ダブル増し）】880+100+100+50+50=1180円
今回は、ほぐし豚を200円投入してダブル増しに。その丼姿はほぼ肉の山である。これじゃ、こいつがラーメンって言われても俄かには信じ難かろう。何にしても中々インパクトがあるでしょう?もちろんこの豚山、全部ほぐし豚な訳じゃない。コアは100円でダブル増しした野菜である。僅かに脂が混ざり込みつつも基本赤身なほぐし豚は旨いのだが、先にもやしと一緒に喰っておくべき。一旦、豚汁に沈めてしまったら、完汁せねば救出が困難になるから。

ここの麺は、広島汁なし担々麺の有名店である「國松」のセントラルキッチンで打たれたもの。通称「ななも製麺」ブランドで、広島県西部から山口県東部の縁故店に供給されているようだ。これが中々どうして本物二郎に迫るほどの良い香りで、10手繰り辺りまでは、ちょっと本物二郎麺と錯覚するほど。大オーダー（麺3玉）だと、120×3=360gの茹で前麺量となるから、ノーマルなジロリアンならばほぼ満足できる量だろう。麺の出来栄えと量感は、近隣五日市の新興店と並び、中国地方じゃトップクラス。

最近感じるのは、ジロリアン目線でのここの豚汁の特異性。こいつはかなり本格的な豚骨豚汁で、そのクリーミーな濃厚さは豚骨ラー発祥の福岡久留米に比肩するんじゃなかろうか。本物二郎的な極太麺と、この濃厚豚骨豚汁の組み合わせは、二郎系としては相当偏差した立ち位置である。もちろん、本物二郎に近いか否かが全てだとは思わないけれど、広島県の触発二郎を俯瞰してみると、本物二郎に近づけようとしてるココやココやココに対して、階杉の丼は盛りは二郎的だがあくまで独自のキャラを作ろうとしているのが良く分かる。

私の居所から最も近い二郎系である。なので、レビューは2報目だが、その実もっと頻繁にリピってる一軒。本物二郎とは確実に棲む世界が違う、アレンジものの典型的触発二郎だけれど、ここまで喰い慣れちゃうと、二郎と似てるか否かと言う尺度は殆ど意味を持たなくなってて、それよりも階杉二郎の個性と言うか、その立ち位置についてに興味が向くようになってくる。ま、中国地方で喰える二郎系の中ではかなりの個性派であることは確か。

2016年4月2日

【杉二郎（大3玉、野菜ダブル増し、肉増し、ニンニク･油増し）】880+100+100=1080円
前報の画像と見比べたら一目瞭然。盛りのアルトラ暴力度がかなりブーストアップ。とりわけマシ背脂の、目を覆いたくなるような不健康盛は天晴と言ってやりたい。冷静に画像を見返せば、こりゃもう五十路オヤジが喜々として喰らい付く丼じゃないのは容易に飲み込めるのだが、やはりこれに対峙するリアル瞬間は、そんな冷静さは全く持ち合わせていないのであって「よっしゃ、ようやった!!ワシが成敗してくれん!!」と、立ち向かうのがオヤジってもんだ。今日の麺はかなり上出来。麺の香りも誠に良いし、ちょいとゴワな食感も階杉麺としてはベスト。日間差の範疇とは言え、これだけプラス側に振れてくれると、大盛オーダー麺3玉、茹で前麺量360gに膨れ上がる麺も、妙に少なく感じるもんだ。野菜はダブル増しで500gオーバーと、相当な量に膨れ上がるし、解し豚も増しオーダーで100g程に。とにかくこの、ヤル気全開の爆量には笑みが止まらぬ。楽しいやっちゃなぁ。豚汁は相変わらず薄口系で、塩豚骨かとからかいたくなるほどカエシが少ない。が、一方でかなりしょっぱい。塩でここまで持上げるくらいなら、いっそカエシをドン増して欲しいところだ。ま、いずれにしても、杉二郎としての個性がきっちり座って来た感がありあり。これなら味☆4.0へアップしたい。かなりファンになって来た証左なり。

2015年8月8日

外出張から戻ってきたら、ラーメン喰わないと正気に戻れぬのは私だけではないだろう?ちょっと問題なのは、喰うべきラーメンが近くに無い事。ちょっとそこまでって訳に行かぬのが、自県に二郎系を持たぬ山口ジロリアンの辛さである。さ～西（福岡県）へ行くか、東へ(広島県）行くか･･･ま、アホさに大差は無い。どちらもほぼ100km彼方だから。

で、今日は東に行くことに決めた。と言うのも、数少ない広島県下二郎系の1店が宿替えしたのである。我が家にちょっとだけ近づいたのは朗報なのだが（それでも80km）、移転後再開までの間には二郎系はメニューから落ちるとか落ちないとか噂もあって、ちょっと気を揉んでいた。で、移転してまだ10日そこそこの新店に調査に赴いた。

【杉二郎（大3玉、野菜増し、肉増し、ニンニク･油増し）】880+50+100=1030円
ありましたよ、愛しの杉二郎。その他の汁無し担々麺系メニューも含めて、一別する限りメニューは前店と大差はない様子。やれやれ一安心である。帰国一杯目ラーメンだし、ここはお店の最大盛りで行くしかなかろう。麺は3玉分となり茹で前360g。野菜は50円で買い増して、デフォの200gが倍増の400gほどだろうか。俯瞰してみると、解し豚とネギとニンニクの色合いは、天地返しでもして麺をほじくり出さない限り、殆どラーメンには見えぬ三食丼風情。この華麗で豪華なトッピングこそ階杉触発二郎の美点の一つ。とにかく野菜山は全く文句なしの出来栄え。

麺と豚汁も相変わらずの仕上がりで非二郎さがプンプン。恐らく関東ジロリアンがこいつを喰ったら「全然二郎じゃなくね?」と言う事必至だが、これはこれで立派にローカルな個性がある。ひつこく煮出された豚骨汁に、多量の背脂と極少のカエシ。醤油しょっぱい二郎系豚汁になれた舌には、薄味故に相当背脂パンチの効く仕上がり。しかも、喰った後に胃の中で膨れ上がる麺のせいで、食後30分程ほど経ってから満腹ピークがやってくる騙し打ちのようなオマケ付き。実は本物二郎以上に秘めた破壊力のある階杉二郎である。

【まとめ】
いわゆる典型異的「盛りだけ二郎」は健在だった。広島県西部から山口県東部の豚骨醤油ラーメンを、ジャンキー度バッチリな二郎系にカスタマイズしたご当地らしさが個性。野菜、豚、麺、豚汁が上手くバランスしてて口当たりは意外とマイルドだけれど、食後も尾を引き続けるガッツリ感は意外と喰い応えがあり、二郎系の名に恥じぬ実のある一杯。