ぶっとびはしないけど、ちょっぴり飛ぶ : ぶっとび亭

山口県の新店舗（と呼ぶには随分時間が経ったのもあるけど）を３店、立て続けにレビューしたいと存じます。

いずれも食べログの評価はまあまあなものの、色々あり、まあ、一筋縄ではいかないなあって感じです。。

まずは柳井港ターミナル前にある同店『ぶっとび亭』さんから。。。

まずは、なんともなネーミングセンスですが、結論から先に言うと、まあ、

『ぶっとびはしないけど、ちょっぴり飛ぶ』

って感じでしょうか？？

場所は国道199号線沿い、駅まである柳井港ターミナル前の車寄せ駐車場に沿うようにあり、専用Ｐはありませんが、他のレビュアーさんによるとビルの裏手など、港なので駐められる場所はあるみたいです。

柳井港から出るのは現在、四国松山へ向かう便などだと思いますが、かつては目の前にある周防大島へも、昨年にタンカーが接触して水道管が破裂し、全島が断水した橋がなかった頃は使わざるを得ず、かなり賑わってました。

現在、同店がある辺りはお土産屋さんや食堂があり、さして美味くもない食事をした忌まわしい記憶が、かくいうワタシにもあります。。。

山口県東部、この柳井の辺りは妙で、山陽本線は通ってるのに国道２号線や山陽自動車道は岩徳線（岩国⇄徳山）と並行して内陸部を走っており、聞くところによると初代内閣総理大臣 伊藤博文侯への忖度云々だそうですけど、そんなこんなで、たいへん失礼ながら『半ば忘れられた地』みたいになっているのが残念です。。

美しい海のある瀬戸内のハワイ＝周防大島の魅力はなんとなく知られてますが、白壁に囲まれた柳井も、しっとりとした風情のある町なので、ぜひ一度訪れてみてください。。。

同店がある柳井港から松山市三津浜港を結ぶフェリーも乗ったことありますが、最初サメかと思ったら、人に聞くとスナメリが沿うように泳いできて、びっくりしたの憶えてます。。

瀬戸内、特に周防灘ってこのスナメリがやたらいて、あまり知られてませんが、それから何度となく目撃してて、つい最近も下関市の長府辺りで車から海を見たら、まるで人が溺れてるように波間に影が見えるので路肩に駐めて凝視すると、スナメリみたいでした。

話を同店に集中させると、車でなく、柳井港駅からターミナルまでも距離はあまりないので、まあ、暑くなり始めてますが、歩き慣れてる方ならなんら問題ないかと。。。

蛇足ながら柳井の白壁の町並みへも、柳井駅から徒歩で散策できる範囲だと思われます。

同店は、ヒドく失礼ながら入ってみると狭く、カウンターが数席とテーブル席も簡易的な造りで、奥まった場所は雑然と散らかっており、なんだか不安になってくるほど。。

しかも応対した女性従業員さん、若くて可愛らしいけど東南アジアかどこか他国の方で、言葉もたどたどしく心配は増すばかり。。。

『煮干し 中華そば 740円』

ですから、他のメニューについて色々聞いてみたかったものの、その彼女を見ると聞くより、意味なく互いに軽く苦笑し合い、デフォっぽい同メニューをオーダーしました。

やがて供された丼を見ると、まず半分ほど覆うチャーシューがピンク色で、

〝ちゃんと火が通ってるのかなあ？〟

と、これまた不安は募るばかり。。

もっとも、まずはスープから一口、

〝ううむ、美味い〟

と、やっとそこで安心しました。。。

コクある旨味と豊かな香りが漂う見事なイリコ出汁で、情報によると目の前の周防大島から、さらに船に乗らなければならない離島＝浮島産のイリコをこれでもかと大量に使ってるらしく、なるほどと首肯けました。

浮島（うかしま）産のイリコって周防大島のよりも美味いと評判で、後者のカルシウムの成分でワタシの何本かの骨は作られてるぐらい食べましたけど（出汁は勿論、思春期に生でバリバリ喰ってた）、前者のは不勉強で、つい最近まで知りませんでした。

周防大島にはご存知（？）イリコ出汁ラーメンがありますが、その美味さが周知されたのか、昨今では山口県内にもちらほら広がっており、同店も一役買ってるのかもしれません。。。

ただ、その多くが塩ダレが基本なのに対し、同店のは醤油ダレみたいで、となると、ちょっぴり甘さも感じられたこともあり、柳井名産の甘露醤油でも使っているのかと思いましたが、答えは定かではありません。。

甘露醤油は異様に甘く、大仰でなく、これなら浸ければどんなマズい刺身も食べられると思えるほどなので、やや値は張りますけど、ワタシも先日使い切ったばかりです。

と、醤油ダレということもあり、何件か続けてきた塩ラーメンから逸れますが、これまでも怪しさはあり、同店もワタシみたいなバカ舌なら塩と勘違いしそうなほど微妙なので、まあ、ほぼ同じ系統と考えて差し支えないと思います。

さて、問題のピンク色のチャーシューなんですが、もちろん火は通ってて、昨今流行りの低温調理なんでしょう、ゆっくりと炙っていったような感じがし、ほのかな肉の甘みもありました。

メンマも太くて、歯応えというよりもゴボウみたいで、おかしな話、これが一番の『ぶっとび』でした。。。

ただ、やや平打ちっぽい麺は、全粒粉という個人的にあんまり好きではないタイプで、その中では細めでマシな方でしたが、色味がかってコシが強く、喉ごし度返しの、わずかに引っ掛かるようなところがあり、なんかしっくりきませんでした。

これさえ普通のストレート細麺や好きな方のために縮れも選べたら、スープや具は抜群なので、より人気は上がると思いますが、どれがどれだけ出るか分からないし、まず揃えることじたい金銭的負担が大きいでしょう。

まあ、全体的には前述したように、

『ぶっとびはしないけど、ちょっぴり飛ぶ』

くらいで、俯瞰からで恐縮ですけど、現状でも食べログの評価通り、かなり美味しいお店に間違いはないですが、より一歩先に行くため細かいマイナーチェンジも必要かと思いました。


● 個人的 食べログ 評価点・・・3.6