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2019.2 山口萩マフグ白子の蕪蒸し 山口萩ムラサキウニ
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2019.2 萩マフグ昆布〆お造り 身皮添え
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2019.2 瀬戸内海スダレガイ 山口アワビ
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2019.2 アワビの肝ソース
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2019.2 山口下関アンコウの○仕立て
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2019.2 下関アンキモ
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2019.2 萩甘鯛一夜干し揚げ 中骨の出汁餡かけ
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2019.2 山口特牛キヨセ(マハタ)煮付け
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2019.2 山口阿武町イノシシ肉(ロース)1枚目
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2019.2 山口阿武町イノシシ肉(ロース)2枚目
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2019.2 瀬戸内海メゴチ天ぷら
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2019.2 瀬戸内海ナミガイ(白ミル)天ぷら
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2019.2 阿武町フキノトウ天ぷら
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2019.2 瀬戸内海ブトエビ(サルエビ)と鹿児島ソラマメの掻き揚げ
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2019.2 萩マフグと実山椒の炊き込みご飯
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2019.2 萩マフグと実山椒の炊き込みご飯
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2019.2 イノシシ鍋の残り汁に里芋と味噌を加えたお味噌汁
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2019.2 山口日本海ヤリイカのミミ天ぷら
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2019.2 福岡牡蠣天ぷら
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2019.2 日本酒のラインナップ
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2019.2 ドリンクメニューその1
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2019.2 ドリンクメニューその2
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2019.2 店舗外観
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4,207文字★
東京から山口県に旅行で来ております。
山口県の北に位置する「阿武町」出身の男性店主が地物食材を楽しませてくれる「割烹 吉岡(3.08)」。
店主曰く修業先は福岡県で、地元山口に戻ってこの地(湯田温泉)にお店を構え今年で10年。
本山葵だけは静岡県、牡蠣は福岡県、空豆は鹿児島県となりますが、
それ以外の食材は地物を使用しており山口県ならではの魅力を堪能できました。
(事前に出来るだけ地物を楽しみたいとリクエストした結果かも知れません。)
特に新たな発見だったのが赤貝よりも真っ赤で鮮やかな色合いだった「スダレガイ」。
東京ではまず出会えない瀬戸内海ならではの食材(鳥貝やホヤを思い出すような味わいで美味しいです)。
また店主の出身地である阿武町のイノシシやフキノトウも山口県ならではの楽しみ。
純粋に美味しさだけを求めると兵庫、滋賀、岐阜、長野といった東側の山間部で獲れた、
高級店だけが扱えるような最上級のイノシシのほうが格上とは思いましたが、
山口県で獲れるイノシシの味わい、フキノトウの味わいは現地でしか楽しめないと思います。
こういう経験に価値を見出せる人にとって、特に高い評価となるお店ではないでしょうか。
店内は緩やかなカーブの曲線で厨房を囲むカウンター6席。
奥に4人テーブル2卓(お誕生日席を使えば最大2卓10席ぐらい)
ご主人とお手伝いの女性スタッフ(学生さんでしょうか)計2名で切り盛りしていました。
弟さんが交通事故で車椅子での生活となってしまったとのことで、
そういう意識もあって店内のトイレは車椅子でも入れる広いスペース。
日本酒などドリンクについては写真をアップしているのでそちらをご参照ください。
料理ですが事前に予約すれば昼でも夜のコースを楽しめて時間の融通も利くようです。
これはこの後に飛行機で東京に帰る予定の旅行者にはありがたいご配慮。
昼は2,500円から、夜は4,500円から、リーズナブルに楽しめる地元に根付いた割烹なのですが、
東京からの旅行者ということで傲慢にも15,000円のおまかせをリクエスト。
隣県となりますが小倉の佐藤がおまかせ12,000円or15,000円で食べログ4.32のハイスコア。
このエリアの日本料理店の実力を比較してみたいと、
佐藤と同じ15,000円のおまかせをリクエストしてみました。
(同じく湯田温泉に在る割烹ひさごでも15,000円のおまかせをリクエスト。)
食べログで高い評価を受ける都内の日本料理店は最低でも20,000円。
場合によっては50,000円、あるいはそれ以上となることも珍しくありません。
「引き算の料理」と言われる日本料理だけに、お店の真の実力を引き出すには、
ある程度の予算が必要であろうと、東京よりは安く、小倉の佐藤と同じ15,000円と設定しました。
(ついでに筆者の通う都内の某鮨店も12,000円~20,000円のおまかせという価格設定です。)
食べログ全国TOP50に入る超高評価の日本料理店といえども、
予算5,000円では美味しく出来ないだろうというのが筆者の持論です。
(スパイスやハーブで料理を昇華させるインド料理店やタイ料理店はまた違うと思います。)
本日のおまかせ(15,000円)の内容は以下の通り。
01.山口萩マフグ白子の蕪蒸し 山口萩ムラサキウニ
02.萩マフグ昆布〆お造り 身皮添え
03.瀬戸内海スダレガイ 山口アワビ アワビの肝ソース
04.山口下関アンコウの○仕立て
05.下関アンキモ
06.萩甘鯛一夜干し揚げ 中骨の出汁餡かけ
07.山口特牛キヨセ(マハタ)煮付け
08.山口阿武町イノシシ肉(ロース)出汁しゃぶ煮を3枚
09.瀬戸内海メゴチ天ぷら
10.瀬戸内海ナミガイ(白ミル)天ぷら
11.阿武町フキノトウ天ぷら
12.瀬戸内海ブトエビ(サルエビ)と鹿児島ソラマメの掻き揚げ
13.萩マフグと実山椒の炊き込みご飯
14.イノシシ鍋の残り汁に里芋と味噌を加えたお味噌汁
15.山口日本海ヤリイカのミミ天ぷら
16.福岡牡蠣天ぷら
夜はおまかせ最低12,000円で満席が常態の佐藤、ふぐコースを設定している割烹ひさごは、
15,000円のコースで天然トラフグを出してきましたが同店はマフグ。
これはお店の抱える事情があるので仕方ないことだと思います。
白子の世界で最強と謳われる天然トラフグの白子に比べるとマフグはどうしても見劣りしますが、
北海道では無く地物のムラサキウニを添える粋な演出は好印象。
フワフワ食感の蕪や出汁の美味しさも申し分無いと思います。
マフグということでトラフグより旨味が劣るため、お造りは昆布〆にすることで旨味を補完。
繊細な白身魚ゆえ昆布の臭みの影響を受けてしまうのが痛し痒しなのですが、
技術で食材力をカバーしようとする姿勢は好感を持てます。
ポン酢だけでなく藻塩も貰って、身皮とともに堪能しておりました。
そして本日の白眉と思ったスダレガイ。
真っ赤で鮮やかな色合いなので、東京の飲食店もインスタ映え狙いで欲しがりそうです。
もちろん見た目だけでなく鳥貝やホヤを思い出すようなその味わいにも妙味。
処理が良いのか鮮度が良いのか貝特有の嫌な臭みも無くて美味しい。
スダレガイと共演していた地物のアワビもやわらかな食感で良いです。
蒸してから煮上げているそうで、高級鮨店で出てくる蒸し鮑より更にやわらかい食感。
肝ソースは味付けが単調なのは気になりましたが臭みは少なくて食べやすいです。
こちらも地物のアンコウはコトコト煮込んで○(まる)鍋のように仕立てています。
胃袋、肩あたりの骨付き肉、ヒレなど、軟骨ごと食べられるぐらいやわらかくなっていました。
濃厚嗜好の筆者とは相反する優しい味わいでしたがアンコウのコラーゲン的な部分は美味しい。
一方で濃厚嗜好の筆者が好むアンキモ。
水でさらして血を抜いて炊いただけとのことですがトロトロやわらかで蕩けます。
国内最高級ブランドである北海道余市産アンキモと比べると素材力は見劣りしましたが、
この超絶なやわらかさは評価に値するところでしょう。
しかしアワビ、アンコウ、アンキモ、どれもやわらかく、店主はやわらかマニアなのでしょうか。
一夜干しにして鱗ごと揚げたという萩の甘鯛はパリパリした皮目あたりが何とも美味。
東京の高級店でも甘鯛の産地は萩ということが多いような印象です。
流石はブランド産地といったところでしょうか。
味付けは中骨から取った出汁の餡かけ、ワカメ、菜の花も添えられていました。
山口県の特牛(こっとい)で獲れたというマハタ、このあたりでは「キヨセ」とも呼ばれるそう。
当初は唐揚げで出す予定が筆者の天ぷらリクエストにより煮付けに。
脂ノリ良く皮ごと美味しくて、上品な煮付けの味わいも割烹仕様といった印象。
マハタに添えられている蓮根も相変わらずやわらか。
しかし個人的に蓮根はあのシャクシャクした食感にも魅力を感じるので、
やわらかさ一辺倒でなく食感にアクセントを出すほうが理想と思います。
地元の猟師から分けて貰ったという阿武町のイノシシのロース肉。
出汁でネギと一緒にしゃぶしゃぶ(しゃぶしゃぶよりは火を通しているそう)。
1枚目はツユあり、2枚目はツユ無し、3枚目はツユあり、味変アイテムに甘い味噌も。
中国地方で獲れるジビエは岡山県のスズメぐらいしか記憶にない筆者。
(岡山県産のスズメはスズメの世界ではブランドとなっているそうです。)
山口県産のイノシシは初体験です(こういう食体験が現地ならではの貴重な体験)。
国内で食べた最高峰のイノシシに比べると脂身から感じる旨味や甘み、
肉質のやわらかさなど物足りない部分もあるのですがフレッシュで悪くないです。
ジビエの世界も美味しさがピンキリなので難しいところですが、
中クラスぐらいの美味しさではあると思いました。
そして温度管理、揚げ油への投入の仕方など、店主のこだわりを強く感じる天ぷら。
大根おろし、天つゆ、抹茶塩と客側で好きなように楽しめるのも嬉しいところ。
今回は地物の天ぷらを多めにリクエストしてあります。
まず地物のメゴチがフワフワ食感で美味しいです。
東京の高級天ぷら店が活きたメゴチをその場で捌いたあのシュワッと感には及ばないも、
この旅で食べた広島県某鮨店のメゴチ天より格段に美味しい。
瀬戸内海の白ミル貝(ナミガイ)は貝特有の臭み無くて風味良く美味しい。
火入れが良くて衣のサクッとした食感と貝のクニュッとしたやわらかさを楽しめます。
広島県の一部には「ホルモン天ぷら」というソウルフードがあって、
白肉(牛ミノ)の天ぷらも安くて美味しいのですがこの白ミルには到底敵いません。
店主の実家近くでお母さまが採ってきたという阿武町のフキノトウ。
美味しさという点では長野県で採れた山菜に比べるともう一歩でしたが、
おそらく初体験であろう中国地方の山菜ということで何とも貴重な体験。
掻き揚げ、更に追加でヤリイカのミミ、牡蠣など楽しんで天ぷら尽くし。
そして途中からは天ぷらをおかずに「マフグと実山椒の炊き込みご飯」を堪能していました。
お手伝いの女の子がマフグの中骨から身をこそげ取ってくれて食べやすいご飯に。
都内の高級割烹に比べると地方はご飯がやわらかい傾向にあるような印象で、
実際に同店も都内よりはやわらかめな炊き加減なのですが許容範囲のやわらかさ。
地方のご飯にしては硬めなほうだと思います。
お造りではトラフグより旨味に劣って昆布の力を借りていたマフグですが、
中骨(つまり骨周り)の旨味はしっかり強くて、ご飯ともマリアージュして美味しい。
イノシシしゃぶしゃぶの残り汁は味噌汁になって土鍋全てのご飯を完食。
水菓子は無くて炊き込みご飯とお味噌汁でコース終了となります。
小倉の佐藤、同じく湯田温泉に在る割烹ひさごの15,000円コースに比べると、
豪華絢爛さというか使用する食材のブランド力は見劣りしたのですが、
ここでしか味わえないであろう地物食材をこれでもかと満喫できた点は唯一無二。
食べログのスコアは冴えませんが山口県の隠れた名店の1つと言えるでしょう。