巡り合わせは【板そばとにしん】運しだい？ : そば処善之助

山形県の大石田町にある蕎麦屋さんです。『大石田そば街道』の加盟店です。御座敷で頂きます。営業日が不定休ですので、覚悟と事前確認をお勧めします。

◼️頂いたメニュー
・板そば　¥750 + tax
・にしん　¥350 + tax

2019.6
14店舗が加盟している「大石田そば街道」の中で、唯一の不定休を掲げるお店がこちらです。大石田のおそばを求めて、雪が降る頃から幾度となく訪れても営業日に遭遇したことはなく、私の中では、永遠の不定休とされていたお店です。それゆえ、店が開いていないことを確認した後は、隣の尾花沢市や村山市へと足を運ぶのがお決まりのコースとなっていました。

そして、冬を超え、春は終わり、6月を迎えた今日も、懲りずに開店時間にお店の前を通ってみたのです。すると何としたことか！今まで見たことのない黄色の暖簾が玄関口にかかっているではないですか！周囲に営業中ののぼりもなく、駐車場には車もなく、暗く奥まった玄関口に、唯一暖簾だけがかかっているのです。思わず、2度見、３度見して、深呼吸して心を落ち着かせたのでした。

これは行くしかないでしょう。と、思ったその時！

なんと玄関口が開き、割烹着を来た店主さんが出てこられました。もしかして、もう暖簾を下げてしまうのか？そんな焦りを感じつつも、離れて停めていた車の中から様子を伺います。すると、向かいの建物へと姿を消し、しばらくしてから、またお店の中へと戻られていきました。

・・・お客さんがいないから暇を持て余しているのだろうか・・・（失礼）

ですが、迷っている暇はありません。いつ暖簾を下げられるかわかりません。親父さんの後を追うように、暖簾をくぐり、中へと入ります。

中は、薄暗く、右手に厨房、左手にお座敷があり、奥の方から「いらっしゃいませ」と女の方の声が返ってきました。先ほどの店主さんも、低い声で「っらっしゃいませ」と迎えてくれます。店の周囲には、車はなかったので、私が唯一客だと思っていたのですが、何と予想外！お座敷に一組のお客さんが、先にそばをすすられていました。

私も、靴を脱ぎ、そそくさとお座敷の奥のテーブルへと座りました。テーブルのメニューを見ると、なるほど割といろいろあるようです。看板メニューが【芭蕉膳】というものですが、いろいろな小鉢が登場するので、時間がかかるとのことでした。

悩みましたが、ここは定番の【板そば】と【にしん】を注文しました。

最初にお茶と、漬物小鉢３点盛りを頂いています。注文から7分程度でそばが運ばれてきました。

【板そば】
板にのったおそばは、二人前とのことで、なかなかのボリューム。これで800円きっているのなら大したものです。女将さんに聞くと、そばは大石田の「来迎寺在来」を使用した二八とのこと。そばは細打ちで、薬味は、粗刻みねぎ・おろし・わさびが付いており、ついでにと女将さんから「超～辛い」と書かれた唐辛子瓶を頂きました。（本当に辛かったです）

まずはそばをそのまま頂きます。最初はごわってるかなと思いましたが、頂いてみると、割合喉越しよく、食感とともに、そばに甘みが感じられました。そばつゆとの相性も良かったのでしょうか。ねぎとおろしも味を阻害するわけではなく、わさびの辛味も気にならず、皿を舐めるようにきれいに薬味を使わせて頂きました。

途中途中で、箸休めとして漬物に箸を伸ばしてみましたが、わらびの一本漬け、ナスときゅうりの漬物、全てが上手に甘辛く浸けられており、非常に美味でした。こうした箸休めの味の良さが、そばの評価を高めてくれます。

【にしん】
調理中に向こうから、「チン！」と音がしたのは、もしかしたらこのにしんのためだったのかと思いつつ、出てきたにしんは、結構な大ぶりのものでした。おおぶりは柔らかすぎたり、小骨が気になったりするのですが、こちらはどうでしょう。箸で裂くと、なるほど柔らかめで、煮汁も幾分吸っているようです。私が口にした時には冷めていましたが、冷たくはなかったので調理はされたものでしょう。エラ部の皮は硬めでしたが、身の部分は柔らかさはあるものの、味も十分染みており美味しかったです。小骨も全く気にならずにぺろりと頂きました。

二人前の板そばとにしんで、結構お腹が一杯になり満足です。

店主さんは、元はお菓子屋さんという職歴があるようで、そば膳を良く見ると、デザートなどもあったので興味があります。機会があれば、そうしたメニューや、どんぶりものも頂いてみたいものですが、巡りあわせは運しだいなのでしょうか。

会計は注意書きにもありましたが、消費税別なので注意が必要です。帰りがけにお店の方に、最近暖簾を出すようになったのかと聞いてみたら「20年前からやってるよ！」とのこと。営業時に巡り合えなかったのは、他の仕事と併用（お菓子屋さんかな？）しているので、たまたま運がなかっただけだろうとのことでした。

おかしいなぁ～。でも、今回食べることが出来て良かったです。

結局、後客は訪れなかったので、私が店を出る13時前には暖簾は降ろされていたようです。

ご馳走様でした。