趣味を越えた食麺の世界【手打ちラーメン】 : 手打ちそば 趣味の店

山形県の新庄市にあるそば屋さんです。普通のお宅です。お座敷にはテーブル席(4)があります。

◼️頂いたメニュー
・手打ちラーメン　¥700

2019.11
ご当地ラーメンの鳥もつラーメンを食べに来た新庄市で、腹を満たし、次に何をしようかと新庄駅構内を散策していました。そんな時に、新庄市出身の漫画家冨樫義博先生が紹介されている漫画ミュージアムへと顔を出してみました。以前は漫画を前面にだした展示会場でしたが、現在は、新庄を舞台とした小説関連の展示が半分を占めていました。平日ということもあり、訪れる人もなく閑散としていました。

そこをぷらぷらと見ていた時に、案内のお姉ちゃんに声をかけられたのをきっかけに、展示品や漫画展のこと、またそこから考えられるこうした素材を活かした新庄市の活性化についてとか、いろいろ熱いテーマを語り合ってしまいました。そうした中で、話は新庄の美味しいラーメン屋さんの話題に移り、その方がおすすめだと教えてくれたのが、今回2軒目はしごで向かうこととなったお店でした。

ネットで検索すると、お店はすぐに見つかりました。「趣味の店」これがお店の名前ですが、ラーメンが食べられるというより、手芸を連想させられるようなネーミングですね。さっそくとナビで住所を入力して向かってみます。

場所は中学校の側という話は聞いていましたが、向かった先は、まるっきりの住宅地です。住宅地の中を進んでいくと、向こうにのぼりが見えました。ですが、お店はどこでしょう？すると袋小路の行き止まりのところに、丁度車が一台停まるところでした。どうやら、他のお客さんも着いたばかりのようです。その袋小路に並んで車を停めました。隣の住宅を見ると、玄関口には「営業中」の札がかけられています。ここで間違いないようです。

玄関の扉を開けて中へと入ります。やはりどう見ても普通のお宅です。玄関前に呼び鈴が置かれていましたが、声をかけると奥様がパタパタと台所から顔を出してくれました。奥のお座敷へ、と声をかけられて襖を開いて中へと入ります。先に入られていたご夫婦は、すでに注文を終えて、座られていました。私も空いていたテーブルへと腰を下ろします。やはり、どう見ても普通の家の普通の客間です。

注文を確認しにきたお母さんに、さっそくと先ほどお姉ちゃんから聞いてきたことを告げてラーメンを注文しました。お姉ちゃんは言っていました。

こちらのラーメンは『まぐろで出汁を取った珍しいラーメンなんです』と。まぐろ出汁、それが私の心の琴線に触れました。お母さんに、マグロの出汁のことを聞いてみたところ、笑いながら「マグロだけじゃないんだけどね。マグロはそのうちの一つよ。」と応えてくれました。

パタパタと台所に戻られた奥様。客間に残った私は、先客のご夫婦ともいろいろ話をしたところです。ご夫婦は新庄の方で、ここにはよく来られているのだとか。地元の人からも愛されているお店のようです。

10分ほどで順々にラーメンが配膳されました。

【手打ちラーメン】
沢山のことにびっくりしています。マグロ出汁のスープということもそうですが、驚くべきは、とにかくお母さんのサービスが良いこと。ラーメンどんぶりだけではなく、玉子焼き、煮物、漬物、ついでブドウジュースまで持ってきてくれました。これで700円というから大したものです。これぞ山形のお・も・て・な・し。

そしてこのラーメンですが、名前の通りに麺が手打ちなんです。透明色のスープに沈むバラバラかつ不規則な太さの麺こそ手打ちの証。スープ表面に漂う油もどことなく丁寧に洗練されたように見えます。

さっそくと麺をひっぱり出すと、なんかすごく丁寧で繊細な麺で、心躍りました。透明な中に柔らかさがあります。口に含み、舌の上で麺がとろけていく優しい食感です。スープも美味しい旨みが溶けこんでいるのか、何度も口に含みたくなるような味わいあるスープです。チャーシューも、臭みなく旨みがあり、程よい食感は食べやすいものでした。メンマもきれいに整っており、なんか都内のシャレた店で出されるようなそんな美も感じられました。

お腹はいっぱいでしたが、スープも残すのがもったいなかったので、全部頂きました


ここは来たかいがあるお店でした。駅のお姉ちゃんとの雑談がなければたどり着かなかった場所です。やはり、美味しいものとの巡りあわせは地元の方との触れ合いが大切なんだなと思ったところです。

ご馳走様でした。また来たいと思ったお店でした。