地産地消、万歳@庄内平野 : アル・ケッチァーノ

鶴岡です。

羽黒山で酷使した膝をいたわりながら、タクシーでお店まで向かいます。約二十分程度で到着。街道沿いの昭和のドライブインといった風情でしょうか。

街の中心から離れた街道沿いに名店が佇むのは、北イタリアも同じ。期待させる雰囲気を纏っておりました。

開店の六時にドアが開き『お待たせいたしました』と中に案内されます。

他には車でいらした若いカップルが二組。

小デブは入って左手の二人席に。街道を臨む窓際なので、なんだか旅情が盛り上がります。

まずはグラスのフランチャコルタで唇を湿らします。居酒屋の、取り敢えずビール、と一緒ですね。

料理は予約時にフルコースをお願いしているので、ユックリとボトルのワインリストを眺めます。

この時間が楽しい。

よし、決めた。
魚料理が多いので、白を一本、熟成牛のところでグラスの赤にチェンジ、締めは言うまでもなくグラッパで。

いただいたものは以下の通り。

サービスは付かず離れず、都会のスノッブないやらしさなど微塵も感じられない温かいものでした。

近くに住んでいたらご常連様になっちゃうかも。

そしてご馳走さまでした。


＜お料理とお酒＞

全体を通してシンプルな味付けでした。
シチリアのオリーブオイルと、新潟で満月の夜に作られる『月の雫』という海塩がベースです。

●Franciacorta Alma Gran Cuvee：
好きなベッラビスタ製。シャルドネ主体のピノビアンコとピノネロの混醸

●ツブ貝とメロン子のタルタル：
匠系の鮨屋で口直しに出される漬物のメロンですね。庄内砂丘で栽培とのこと。ツブ貝の個性的な磯臭さに、青臭い子供のメロン玉が仲良くハグハグ。シチリアの草香るオリーブオイルと新潟の海塩との相性も抜群でした

ここで早くもボトルワインに手をつけます

●Sicilia Menfi DOC Chardonnay：
大好きな作り手のPLANETA。カリフォルニアほどくどく無く、エーゲ海の爽やかな柑橘系の香りを堪能します

●石鯛の冷製カッペリーニ：
庄内浜で上がった石鯛、宮崎の養殖チョウザメのキャビア。少な過ぎる。もっと食べたい！

●ヒラメとセロリのセビーチェ：
所謂レモン締め。ベースのオイルと塩にイタリアンパセリを足し算。ヒラメは身と縁側。

●マルズワイガニとキュウリのサラダ：
缶詰で良く売られているズワイガニの仲間。キュウリで水分を、コリアンダー（パクチー）で香りを添加

●メバルとモロヘイヤソース：
魚料理はパーフェクト。皮目のパリパリ、モロヘイヤのねばねば、セロリの青い香りとトマトの酸味がマリアージュ

●メジ鮪と小松菜：
庄内浜の近海鮪の子供。デッカくなる前に食べちゃってゴメンね。鶴岡は井上農場製のスーパー小松菜と、焦がしたアンチョビとガーリックの香りが効いていました

●三瀬の稚鮎と茄子の田楽仕立て：
稚鮎の若い脂を吸収した茄子。美味い。背中を手前に配膳されるのは、右側の尻尾から食べ始め、最後にお腹の苦味を味わって欲しい演出

●辛子のジェラート：
口直し。和芥子の風味がアクセント。乗っかっているのはキュウリ

●甘鯛の松笠焼きとはえぬきのリゾット：
一言、Benissimo！
スプーンでほぐして混ぜ混ぜ

●きんから鯛とルッコラのアクアパッツァ：
きんから鯛とは連子鯛の地域名。ムールやアサリ、トマトやにんにくの定番は入っていないけど、庄内産野菜のグリーンアタックに悶絶。
夏野菜のエンドウ豆、オカヒジキ、ズッキーニ、ルッコラ、セロリなどなど

ここでグラスの赤にチェンジ。グラスでは目星いイタリアものが無かったので、山形の地酒ならぬ地ワインに挑戦しました。

●かみのやま市のワイナリー：
カベルネソーヴィニヨン。軽い。若いサンジョベーゼのよう。
でもこれからが楽しみ。十年たったらボルドーに追いつくぞ（＾◇＾）

●熟成山伏牛の内腿、クレソン添え：
一般的には山形牛に含まれるようですが、羽黒山の麓で飼育されている和牛。頭数が少ないので希少

●三種の自家製パン：
チャパタ、セモリナ粉のパン、フォカッチャ。朝の六時から仕込みが始まります

●サクランボの温製フェデリーニ：
黄色い粒は幻の月山錦。デカイ、美味い、地産地消万歳。他の赤い粒は佐藤錦、香夏錦、高砂、紅豊

●羊の外腿、シキンボのロースト：
ここでラギオールのナイフとフォークにチェンジ。嬉しい、肉を食うぞーという感覚に。
白山地域のだだちゃ豆の殻を食べて育った丸山さんちの羊。
タイムの葉に岩塩。シェフの小技。つけ添えの野菜は、ブロード出汁にセロリ、ミョウガ、パプリカ、ミニキュウリ、オクラなどなどを和えたものかな

●マンゴープリンとシャーベット：
胃が落ち着きます

●Grappa Elisi
ベルタ社製、銀座のLa Violaでいただくのと一緒。一息で飲み干します

●ダブルエスプレッソ：


庄内平野の海の幸、山の幸を堪能した三時間弱の晩げはこれにて終了。

タクシーを呼んで鶴岡駅前まで戻ります。繁華街らしき照明は見当たらないので、大人しくホテルで寛ぎます。


＜追記＞
ここからは出羽三山の旅日記です。
ご興味のない方は読み飛ばしてください。

ホテルに荷物をあずけ、駅前からバスで羽黒山の頂上を目指します。小一時間の行程。柔らかい陽射しに気持ちよく微睡みます。

正午前に到着。
お土産物屋さんで肉うどんをいただき、杉並木を散策しながら麓まで石段を降ります。

日頃の不摂生のせいか、膝が笑う笑う。小デブの横を遠足の園児達が足取り軽く追い抜いていきます。

おじさん、大丈夫かな？ という視線が痛い。

汗を拭き拭き国宝の五重の塔まで到着。
二階から中心の心柱を覗きます。

五角形。

周囲の補材と蔓で一体化。室町時代に建立されたなんて、昔の人は偉大だなぁ。感嘆しました。

夕方、なんとかホテルまで辿り着き、三十分ほど昼寝して、タクシーでお店に向かいます。

あーっ、疲れた。
でも美味しいものが待っているはず（＾◇＾）