食べる標本図鑑と言っては失礼ですが… : 観光旅館 三頭山荘

観光旅館 三頭山荘

(ミトウサンソウ)

この口コミは、HKTさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

3.2

¥3,000~¥3,9991人
  • 料理・味3.2
  • サービス3.1
  • 雰囲気3.4
  • CP3.3
  • 酒・ドリンク-
2016/11訪問1回目

3.2

  • 料理・味3.2
  • サービス3.1
  • 雰囲気3.4
  • CP3.3
  • 酒・ドリンク-
¥3,000~¥3,9991人

食べる標本図鑑と言っては失礼ですが…

未来に残したい東京の山里の恵み

周遊道路を逸れて谷を下りてゆくと、周遊道路からでは木々に遮られて見ることのできない集落があります。
一見人が住んでいないような山あいですが、この土地独特の造りの古民家は柱がすすけて、ここで人々が営んできた暮らしの歴史を垣間見ることができます。戸を引くと土間があり、上って広縁を回り込むと広い座敷があります。他所様の家を訪ねるというよりは、田舎のおばあちゃん家に遊びに来たような懐かしさと安らぎがありました。

◇鴬

はじめに山菜小皿が13種供されました。
画像左上から右へ…
・山椒の葉…鮮烈な香りです。軸から葉が外れるほど形が崩れているのに力強い香りです。
・こごみ…色素が抜けないよう施されています。香りも歯触りもほとんどありません。
・ずいき…これは秋の幸、酢がなじんでチクチクするえぐみはありません。
・片栗の花?…ほんのりと花の香りがします。菊花のような歯触りがわずかにあります。
・こんにゃく煮…よく染みています。色見に反して薄味で好みです。市販のこんにゃくより粘りを感じます。
画像左下から右へ…
・舞茸?…歯切れがよいです。香りは特にありません。
・むかご…花のような香りがあります。ねっとりしています。
・百合根…噛まずともつぶれてしまうほど柔らかです。
・あけび?…皮の部分です。甘い味噌炒めのような風体です。苦味はありません。むべだったかもしれません。
・山蕗…醤油で炊いたお馴染みの味です。それほど塩辛くはありません。香りもわずかです。
・刺身こんにゃく…気胞はありません。薄造りでつるんとしています。山葵も地場産でょう。鮮やかな緑が綺麗です。
・山葵漬け…つんとする辛さは穏やかながら香りが清々しいです。酒粕が黄色味を帯びて風味に深みがあるのに甘くないところが好みです。
・柚子砂糖漬け…香りも糖味もやさしくマーマレードより生の風合いです。

・大根の炊いたものと大根葉の炒め煮…飴色に染みた大根は素朴な味です。出汁など無くとも美味しく仕上がるのでしょう。葉の炒め煮はやさしい甘じょっぱさがやはり素朴です。

料理がすべてそろってから撮影できないだろうかと思案しましたが諦めて箸をつけてしまいました。

・川魚塩焼き…野趣を感じます。皮が黒味を帯びて厚いので岩魚でしょうか。こんなに口を開けた焼き川魚は初めて見ます。骨離れはよいものの、身の強ばりはありません。はらわたの一部の、鰻の肝のようなこりこりしたものが面白い食感です。

・麦とろご飯と味噌汁…とろろは擂った素のままでしたので醤油を足します。麦飯がふっくらしています。味噌汁に含まれる木綿豆腐が秀逸に美味しかったです。そして味噌も良い香りです。天然の小さな茸が見えました。

・野菜の天ぷら…もみじ・大きな葉・大根葉・南瓜・さつまいも・三つ葉・舞茸
虫喰いになっていない立派な大根の葉でした。わずかに甘苦い青汁に似た風味です。南瓜は炊いてから揚げているでしょうか、飴色です。すべてのたねに言えるのですが、衣が厚く油切れがよろしくないです。そして衣もまた炭水化物なので、衣にノックアウトされてしまいました。

・水菓子…みかん
ごく普通のみかんでした。


総合☆2.8
秋の山の幸は保存されていないでしょうから美味しいのは当然です。しかしながら春の山菜は酢漬けがほとんどで、貴重な品なのは分かりますが、率直に言ってそれほどおいしいものではありません。いえ、一年を乗り切る分だけを採取・保存して、細々と食べながら新しい春を待つのでしょう。取り過ぎない心得が山と共存するということなのでしょう。また季節のものだけを食べているとひとつのものに偏るでしょうし、保存された惣菜が食卓を豊かにしていたのではと想像してみます。そして東京都の最奥の山里でこれほどの山の幸が得られるのは尊いことなのだと実感します。取り尽くさず翌年のために残す、都市化した現代日本人が忘れてしまった自然との共存を、慎んで思い起こしたいと感じました。

食事を終えて外に出ると、根と同じくらい葉を伸ばした大根が積まれていました。こんなに綺麗な大根は初めて見ました。
庭の池には清水が引かれ、岩魚と山女が泳いでいました。岩にはクレソンが根付いています。そのクレソンは川魚塩焼きに添えられていました。話し声が耳に入ったのでそちらを向くと、まさにシニアの女性が籠を背負って山に入って行こうとするところでした。

時代や科学技術の先端を行くものに価値を見出さなければならないことなどまったくありません。山と暮らす生活様式もまた文化なのです。絶やしては復せないと考えると、続けられる限り現役で山と向き合っていくであろう姿を頼もしく感じるとともに、他人事として傍観していてはいけないのだといううしろめたさを感じるのでした。

ご馳走様でした。貴重な品の振る舞いに恐縮しました。ありがとうございました。
益々の繫栄を期待申し上げます。

  • 観光旅館 三頭山荘 - 外観

    外観

  • 観光旅館 三頭山荘 - 内観

    内観

  • 観光旅館 三頭山荘 - 大根二種

    大根二種

  • 観光旅館 三頭山荘 - 小皿群

    小皿群

  • 観光旅館 三頭山荘 - 小皿群

    小皿群

  • 観光旅館 三頭山荘 - 山里の幸

    山里の幸

  • 観光旅館 三頭山荘 - 小皿群

    小皿群

  • 観光旅館 三頭山荘 - 川魚塩焼き

    川魚塩焼き

  • 観光旅館 三頭山荘 - 麦とろ飯

    麦とろ飯

  • 観光旅館 三頭山荘 - 天ぷら

    天ぷら

  • 観光旅館 三頭山荘 - 天ぷら

    天ぷら

  • {"count_target":".js-result-Review-60170215 .js-count","target":".js-like-button-Review-60170215","content_type":"Review","content_id":60170215,"voted_flag":null,"count":17,"user_status":"","blocked":false}

口コミが参考になったらフォローしよう

HKT

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。問題のある口コミを連絡する

HKTさんの他のお店の口コミ

HKTさんの口コミ一覧(1161件)を見る

この店舗の関係者の方へ

ユーザーから投稿された口コミに対して、お店側からお礼や情報追加などの返信を行ってみませんか?

「みんなで作るグルメサイト」という性質上、店舗情報の正確性は保証されませんので、必ず事前にご確認の上ご利用ください。 詳しくはこちら

店舗基本情報

店名
観光旅館 三頭山荘(ミトウサンソウ)
ジャンル 旅館・民宿
予約・
お問い合わせ

042-598-6138

予約可否

予約可

住所

東京都西多摩郡檜原村数馬2603

営業時間
予算

¥1,000~¥1,999

予算(口コミ集計)
¥3,000~¥3,999

利用金額分布を見る

支払い方法

カード不可

席・設備

席数

40席

駐車場

空間・設備

落ち着いた空間、座敷あり

メニュー

ドリンク

日本酒あり、焼酎あり、ワインあり

料理

野菜料理にこだわる、魚料理にこだわる

特徴・関連情報

利用シーン

知人・友人と

こんな時によく使われます。

ロケーション

景色がきれい、一軒家レストラン

ホームページ

https://hinohara-kankou.jp/spot/mitosanso/

初投稿者

かおたつかおたつ(0)

最近の編集者

編集履歴を詳しく見る

ブログに店舗情報を貼る

食べログの会員になるとレストラン情報を編集する事ができます!この機会に是非ご登録ください!

従来の問い合わせフォームから問い合わせる レストラン情報編集のガイドライン

この店舗の関係者の方へ

食べログ店舗会員(無料)になると、自分のお店の情報を編集することができます。

店舗会員(無料)になって、お客様に直接メッセージを伝えてみませんか? 詳しくはこちら

周辺のお店ランキング

奥多摩町×その他のランキング(点数の高いお店)です。

食べログ限定企画

店舗運営者の方へ