百名店の中でもトップクラスのベーカリーと見ました。 : チクテベーカリー

食べログパン百名店2019もいよいよ49店目になりました。年末までの休日（翌日にパンを食べない大みそかは除く。）はあと6日間ありますので、50店クリアーはほぼ確実になりました。
あとは50店目を何処にするかですね。

49店目の当店は、普段の生活圏からはかなりはずれる場所にあり、百名店なかりせば恐らくご縁がなかったお店だと思います。

当店の最寄り駅は京王相模原線の南大沢駅。
仕事の関係で、車では近くまで来たことがあるエリアではあるのですが、電車で訪れるのは記憶している限りでは今回が初めてだと思います。

当店は北村千里さんとおっしゃる女性オーナーのお店です。
その北村さんは美大出身という異色のキャリアをお持ちの方。
しかも美大では、陶芸を学んだそうですから、今放映中のＮＨＫの朝ドラ「スカーレット」とも重なり、ちょっとした時の人になっているのかもしれませんね。

パンとの出会いは、美大卒業後は映像系の仕事に就きたいと思っていて、アルバイトでテレビ番組の手伝いをしていた時だそうです。
その際、ディスプレイ用にパンを使ったことがあり、ちょうどその頃は、アルバイトではなくしっかりとした職に就きたいと考えていた時期でもあり、そのパンを見て「これだ！」と思ったことがきっかけになったそうなので、分からないものです。
すぐにアフタヌーンティーのベーカリーにアルバイトで入り、パン作りを学ぶことになります。
そして友人の紹介で訪れたルヴァン富ヶ谷店で天然酵母パンと出会い感動することに。
残念ながらご縁が無くルヴァン富ヶ谷店で働くことはなかったそうですが、この出会いが北村さんの天然酵母への思いを喚起したのは間違いないようですね。
その後、原宿の国産小麦、自家製酵母を使用していたベーカリーで1年ほど働いた後、鎌倉の「cafe Takaraya（現：KIBIYAベーカリー）」に転職し、そこで本格的に自家製酵母のパンを学ぶことになります。

そして美大卒業後6年を経た平成12年11月に町田市小山ケ丘の自宅1階で卸と個人配送のパン工房を開業、さらに平成14年に2坪の店舗もオープン（チクテベーカリー）します。
評判が評判を呼び、小さな店舗は大繁盛するわけですが、それから10年以上を経た平成25年に八王子市南大沢の古い団地の商店街にカフェスペースも備えた当店をオープンするに至ります。

当店のパンの特徴は開店から20年近く継ぎ続けているという自家製天然酵母を使用していること。
レーズン酵母、全粒粉の酵母、ルヴァンリキッド、ライサワー種の4つの酵母を使い分けているそうです。

この日は、南大沢駅に12時半過ぎに到着しましたので、早速当店を目指します。
駅改札を出て左手に進み、イトーヨーカ堂の横の横断歩道を渡って、南大沢文化会館の方へ進みます。
同会館を右手に見ながら遊歩道的な道をひたすら南へ進みます。
溜池公園、南大沢中学校の横を通って、駅から歩くこと10分程度で当店に到着します。
コーシャハイム南大沢という団地内の一角にお店を構えていますが、一昔前の昭和の団地商店街という感じの場所ですね。
団地そのものはかなり老朽化していますが、老朽化と住民の高齢化は多摩ニュータウン共通の課題ですので、その一端を見た思いです。
当店は、商店街の入口にあり、外観はとても質素。
店内もコンクリート打ちっ放しで、木製の平台にパンが並べられています。
あまり飾られていないことと自家製酵母のコンセプトはどことなく親和性がありますね。
店内は調理服に身を包んだ店員さんがきびきびと働いており、とても活気があり、そして接客もとても丁寧です。
この様子だけ見ても、当店は並みのベーカリーとは違うなと思わせます。

パンは、ハード系、セミハード系が中心ですが、どれもとても美味しそうです。
例えば、バゲットについても数種類のラインナップがあるのですが、なかなか一品に絞るのが難しいくらいです。
対面販売方式で平台の前に並んでいる人が順次店員さんに注文を伝えます。
結局、以下2点を購入しました。
・リュスティック アーモンドゴーダ＠300円
・チクテバゲット チョコ＠310円
合計610円

決して安くはありませんが、比較的大きなサイズなので、シェアするかどうか迷うところ。
なので、それほど高くは感じません。

持ち帰って、翌日の朝食に供しました。
朝のお腹の調子を見てシェアするかどうか決めようと考えていたのですが、いざ朝になったらお腹は絶好調。
これくらいなら一人で楽勝みたいな気分になり、独占することにしました。

リュスティック アーモンドゴーダは、レンジで20秒チンした後、600Wのオーブンで4分間加熱していただきました。
リュスティックですから加水率の高さに由来するもっちり感が出ていますし、生地に練り込まれたゴーダチーズがいい風味を出しています。
そしてたっぷり埋め込まれたアーモンドの粒が風味、食感と色んなところで強く主張し、それが生きています。
とても美味しいパン。

実は、購入する際、これにするかカシューナッツとペッパーのバターバゲットにするか迷ったのですが、後悔しない美味しさでした。
それでもリュスティックでこの美味しさならバターバゲットの美味しさも推して知るべしと思われましたが・・

チクテバゲット チョコは、ちょっと変わった形をしたバゲットで、そのままカットしていただきました。
しかしとにかく引きがとても強いパンなので、ちゃんとしたナイフでないとカットが難しいくらいです。
中は空洞になっており、そこにビターチョコレートがびっしりと包まれています。
噛みしめると小麦の風味とチョコレートの香りがミックスして素晴らしい美味しさです。

この内容ならコスパ的にもむしろ高く評価したくなります。
当店、パンの美味しさは文句無し。
パン百名店を特にこの秋以降は精力的に回って来ましたが、その中でも最上位と言っていい秀逸なお店だと思います。
近くにあれば間違い無くリピートしているお店です。
もちろんパンは個々人の好みに左右される面があるのですが、私とは相性がバッチリなお店だと言っていいでしょうね。
南大沢でも次は橋本あたりに良いお店を見つけて、当店と組み合わせようかななんて本気で思わせてくれる素晴らしいお店でした。