無性に旨い…出会うべきラーメンにようやく出会えた感ある : みんみんラーメン 本店

相模原から車を飛ばして４０分ちょっと、秋川街道沿いにある八王子ラーメンの老舗、「みんみん」さんに行ってきました。というか八王子ラーメン自体これまで食べたことがなく、せっかくの僕の初めては「みんみん」さんに頂いていただこう…違うチガウ頂こうとずっと心に決めておりまして、念願叶っての来訪でございます。ラーメン屋というより、古くからある町の中華屋的な佇まいで、街道沿いには現代風のファミレス・ハンバーガーチェーン店の画一的な建物が立ち並ぶ中、その一角だけ時代から取り残されてしまったかのような、鄙びた雰囲気。店の前に車が数台停められるスペースがありますが、秋川街道自体かなりシビアな道路で、歩道もないに等しく、一発で駐車するのはかなり難易度高いと思われます。

ちょっとこれ壊れてるんじゃないの? ってくらい重くてガタガタするドアをこじ開けると(笑)、外観に相応しい年季の入った店内。油まみれの厨房にお似合いの、油まみれな冷房がまず目に入ったが、よく見るとコンセント抜けてる、壊れてるのか…? そりゃ壊れるよな…。カウンター席５、座敷席(畳)には２０人くらい座れるんでしょうか、靴を脱いで上がるスタイル、まさに町の中華屋さんですね。店員さんは、不愛想なイケメン兄ちゃん(調理係)とラーメン屋の女将にしてはきれいなおばあちゃん(調理補助)とちょい派手めの若い姉ちゃん(接客・配膳係)の３人体制。先客はカウンター席に１名、座敷に２名。昼時はかなりの行列で待ち時間も相当になると聞いていたので、時間を外してきて正解でした。まあ後客としてカウンター席３名・座敷の方に学生の５人組が入ってきたから、単にタイミングが良かっただけかもしれませんけど。冷水を持ってきたお姉ちゃんにさっそく注文、「バラチャーシューメン大盛」(８６０円)。食べログで店のメニューをチェックしたとき、そのメニューに「※おすすめです」って書かれていたので、そういう文言には最初は素直に従うことにしているのです。

カウンター上に置いてある記念の盾とか(食べログの１００名店のやつとかですよ)、座敷席の上に飾られている写真が気になっていたら、僕の注文が配膳されてきました(７，８分くらい?)。おー、まずバラチャーシューがインパクト。中央に刻み玉ねぎを配して、まるでお花のようではないですか。「ドンブリに咲いた一輪の花、チャーシュウ満開でぇ〜す」ってかw(僕はあのクサいセリフを聞くのが耐えられなくて、けっこう近くにあるんですけど片手で数えられるくらいしか行ってないのです)。そして色黒で無骨なメンマ、Oh海苔!! こんなに小さいサイズの君に会うのは初めてだw で、当然のように麺は見えない…心のひだを隠そうとする彼女にそうするようにチャーシューを１枚やさしく剥がしてやると、ストレートな細麺がきれいに折りたたまれて沈んでおりました。だけど、脂の膜が浮いていて否応なく食欲高まる醤油スープをまずはいただく。くわっ!! ガツンときた!! 昔懐かしのやさしい醤油味を想像していたら、とんだ見込み違いだった、鶏ガラか豚骨か、魚介系のダシも加わって粗雑だが鋭角な風味が鼻から延髄へ突き抜けるよう。そして濃厚にしてまろやかなカエシがラードの前のめりなコクに踊らされて、けっこうしょっ辛いのにレンゲが止まらないっ!! そこで生きてくるのがたまねぎ。これみじん切りだけでなく、摩り下ろしも入ってて、摩り下ろしはとても瑞々しくてスープのしょっ辛さを中和してくれるし、みじん切りの生辛さはコッテリを中和してくれる、そんなハイブリッドたまねぎ超素敵。

箸で持ち上げてみるとけっこう黄色いストレートな細麺は、やや固めで小麦粉の風味を残している、素朴な味わいが良い。薄切りされたバラチャーシューも申し分なし。メンマはそれ自体濃いめの味がついていて、ソロ活動も十分いけるタイプ。ほんと旨いわこのラーメン、ライス食べたい、ビール飲みたいっ。というか、初めて食べるんだから懐かしいはずないのに、"懐かしく感じられたらいいな"という願望を抱かせるものがありますね。僕は相模原で育ってきたからラーショの味に懐かしさを感じてしまいますが、もし八王子で育っていたら、この「みんみん」の味に懐かしさを感じていただろうなあ、という直感――庶民的だから家族で入りやすくて、味が濃いぶんだけ思い出も濃くなる、というか。ちなみにブラックペッパーを振ると平凡な中華そばに収まってしまうのでおススメできませんが(ダシの尖っているが繊細な味わいが取って代わられてしまう)、すりおろしニンニクを投入したら動物系ダシのテンションが俄然高まってくるよ。僕はこういうラーメンが本当に好き。また来たい。何度でも食べたい。僕は正直者だから、どんなに美辞麗句を並べていても、高評価でも、「一度行けばいいや」って思った店に対し「また来たい」とは決して書かないから。出会うべき店にようやく出会えた感あるよね。きゃー。