やっぱり手打ちの生蕎麦は、美しく、おいしい。 : 蕎麦 坐忘

前回のレビューに「国産蕎麦の実を蕎麦粉にした "金沢 鶴一屋の御そば" (乾麺)が、おいしい！」と、書きましたが、比較すると当たり前ですが、生蕎麦の方がおいしいです。ただ、"内食" として家で食べるために毎回国産蕎麦の実を手廻しの石臼で蕎麦粉に挽いて、蕎麦を打つというのは専用の場所もなく、普通の人はやりません。

そうかと言って、昼近くになり『そうだな。そばでも手繰ろうか。』と、その気になった時、都心であればいくらでも徒歩圏内においしいそば屋はあるのですが、多摩地区に住んでいる私の場合、 "金沢 鶴一屋の御そば" を茹で、正しく引いた出汁で作った温かいつゆで「とじそば」に仕上げて食べると車を使うこともなく、 "隠居の特権 (昼酒)" の行使もできるし、「こりゃ気楽だね！」となり、『そうだ、多摩御陵の紅葉　見に行こう。』と、ならなければ西八王子の「蕎麦 坐忘」まで足を延ばすことはありません。

料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。

この店に来て、いつも思うのですが『蕎麦前とそばを同時に出さないでください』と、酒を呑んでいるのではありませんが、揚げたての熱々白子天ぷらを一つ摘んだところへ「お待ちどうさま」と、「もり」を持ってきてもらっても一緒に食べることはできません。結局、両方ともゆっくり味わうことができず、満足感はイマイチとなります。


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皆さん、傘は何本お持ちでしょうか？

気に入っているので所有している車を下取りに出せず増え続け、それぞれ二十年間、三十年間、七〜十六万km/台 も乗り続ける私は、物持ちが良いのか吝嗇なのか分かりませんが、使い捨てのビニール傘を一本も持っていません。雨の日に出歩かないのでほとんど使わないのですが、十二年前に買った傘は、急な大雨に遭遇して三越銀座店の紳士物傘売り場で買ったシャフトと全ての骨がカーボンファイバーで作られた軽くて大きなものです。もう一本は、三十年以上前に帝国ホテルの Alfred Dunhill ブティックで買ったステッキのように細い傘です。広げるとアーチが美しく気分が良いのですが、雨に日に差すのが勿体なくて車のトランクに置きっ放しです。

薄曇りのこの日、八王子市に小雨が降りました。滅多に広げない傘なので開いた途端にバリっと破けるのではないかと思ったのですが、妻と二人で差すには小さく私の左半身は少し濡れました。今度の日曜日にサファイア婚式 (四十五年目) を迎える "破れ鍋に綴じ蓋" の私たちは、どういう訳だか長持ちしています。

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　「蕎麦 坐忘って行ったことある？」

　「ないわよ。多摩御陵の近くでしょ。」

　「久しぶりだね。二人だけで "外食" をするのは。」


妻が飲んだアサヒビールの微アルコールBEERYとは、0.5%のアルコールが含まれる「ビールテイスト飲料」で、原材料は、麦芽（国内製造＝麦は外国産 ﾀﾌﾞﾝ）、スターチ、麦芽エキス、ホップ、コーン、米／炭酸

　「お車を運転される方には提供できないのですよ。」

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【いただいたもの】

・微アルコールBEERYのつまみ (塩豆)
・前菜三品 (小鉢)
　　枝豆豆腐 蕎麦味噌、みずの実のおひたし
　　かくやり、角槍 ?
　　みぞれ (蓮根、小芋、長芋、ぶなしめじ)
・天然舞茸の天ぷら
・みずの実の天ぷら　https://www.kinokosansai.com/shopdetail/002017000002/
・せいろ (妻)
・鴨せいろ (私)
・蕎麦ゼリー (食後のデザート)
・蕎麦湯　同上
・蕎麦茶　同上

料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。

前菜三品 (小鉢) は、出汁がとても優しく、塩加減が淡く、おいしく、私たちの好みでした。
岩手県産みずの実は、おひたしで食べると弾けるような食感が新鮮でも天ぷらにすると菱の実のような香りがする小粒の実です。今の時季だけの高級珍味は、とてもおいしい！！！

酒が飲めるようになったら電車に乗って来よう。


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清々しい朝を迎え、「ひとっ走りしてこよう。」と、La macchina の熱きV型ハートに火を点け、圏央道を南に向かって『空気のきれいな場所はないかなぁ。』と、探すも遠く富士は見えず、近くの丹沢連峰はPM2.5で霞んでいるので踵を返して高尾山ICで降り、『そうだ、多摩御陵をお参りしよう。』と、気の向くままのドライブを楽しみました。Navigation に操られるのが好きじゃないので搭載していませんが、東西南北 勝手知ったる八王子。スルスルと La macchina を滑り込ませ、テクテクと御陵に向かい歩いていると深緑に身を置くことによって自然からエネルギーを貰った気になり、俄に「腹が、減った..... 」と井之頭五郎のような言葉が出てきて健康に感謝した次第です。（チト長い）

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「蕎麦 坐忘」多くの蕎麦通から高い評価を得ている西東京名店の一軒です。

【いただいたもの】

・ふきのとうの天ぷら　　715円
・わかさぎの天ぷら　　　770円
・せりざるそば　　　　1,210円
・蕎麦ゼリー　　　　　　　無料

車での訪問ですから酒を飲むことができず悔しい思いをしましたが、それを忘れさせる落ち着いた雰囲気の中での蕎麦食いです。

山菜の味が生かされ、余分な調理がされていません。どれも春の苦味を感じる仕上がりであり、ツユも塩も使わず素の状態で食べるのが一番です。インターネットで山菜の食べ方を調べてみると胡桃を擂り潰して和えたり、マヨネーズや辛子を使ったりして「苦味が気になくなります」と、書かれたものが多いです。いつの頃から日本人は軟弱になったのでしょうか。山菜には 苦味、渋味、甘味、歯触りがあるからおいしいのであって、これを減衰させて余分な味を付けてしまったら "おこちゃま" の食べ物になってしまいます。

「かんだやぶそば」のような余分なモノ(chlorella)を混ぜたのではない自然な蕎麦粉の微かに緑色を帯びたこちらの蕎麦は、美しく、喉越しが良く、甘く、品の良い辛汁に調和して「あのー、すいません。おかわりせいろ、ください。」と、ゴローのように言いたくなったのですが、グッと堪え、おいしい蕎麦ゼリーで〆ました。


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昨日の東京は、青く爽やかな空が広がり、巻雲（すじ雲）が、高い空に浮かんでいましたが、昼過ぎには薄雲に覆われてしまいました。

近世においては女性が強くなり、恋愛の主導権を握るその心変わりを嘆く男性が増えましたので、タイトルの表現としては、後者が適当かと思われます。同様に女性以上に嫉妬深くなったのも男であり、組織やグループの中で繰り広げられる男同士の嫉妬には目も当てられません。

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さて、私の「天ぷらそば探訪」も佳境に入ってきました。

今回は、東京郊外まで足を伸ばして八王子市にある「坐忘」を訪れました。
坐忘（深い瞑想状態やまどろみの状態）することによって、脳波の一つθ(シータ)波が現れ、免疫機能が活性化し、各器官の回復や成長などが行われ、心身ともに健やかになるだと、偶然見た NHKの「ためしてガッテン」で紹介されていました。現在、常時まどろんでいる私は、ストレスも抱えず、生き続けてしまうかもしれません。

午後1時、店の前の専用駐車場に愛車を停め、引き戸を開けました。雰囲気の良い、清潔な店内には数組の客が居るのですが、静かです。皆、黙想しているのでしょうか。この雰囲気を好きだという人と厭だという人がいます。最近、都心の老舗そば屋を巡ってきたので、チョット違和感を覚えました。私は、どちらかといえば江戸っ子の気風の良いそば屋が好みです。尤も、東京郊外に生粋の江戸っ子なんか居ませんから、この演出が高い評価を得ているのだと思います。

まずは、「粗挽き蕎麦」から。(920円)
固茹でのコシのしっかりした蕎麦です。喉越しも良いのですが、噛みしめると蕎麦のみの甘みが口に広がり、香りも一層立ってきます。良い蕎麦です。薬味は、晒し葱、本山葵、おろし大根です。どれも使わず、深い蕎麦猪口の底に5mmほど注いで、摘んだ蕎麦の先だけを浸して食べると美味しくいただけます。汁は蕎麦の旨味を引き出す、丁度良い塩っぱさと甘さです。

次に、「天ぷらそば」。(1,730円)
写真にあるように天ぷらが別盛りになっています。茗荷、蓮、丸十、そして大きめの天然海老(車海老ではない)を小分けしてかき揚げにまとめた逸品です。このかき揚げは初めてです。頭と尻尾は取られていますが、頭側の身には包丁が入っていて、中華料理で出てくるプリプリ海老のように身が開いています。二尾の良い部分だけを使っているようです。かき揚げにまとめた後、最後に細かな衣を振り掛けているようで食感がとても良いです。

先に丼に浮かんでいる小松菜と野菜天を少しいただいた後、箸で熱々のかき揚げを持ち上げて、かけそばに移しました。油切れも良く、再度、香ばしい海老の香りが立ってきました。温かい蕎麦を啜る ⇨ ふ〜っと吹いてから汁を飲む ⇨ 熱々の海老天を頬張る ⇨ また、蕎麦を啜る　これの繰り返しです。私は、猫舌ではないので、トンカツを食べると後で上顎が火傷していることに気付くのですが、蕎麦で火傷したことはありませんが、体が熱くなってきました。温かいそばの汁は薄めで妻好みです。

「もり」も「天ぷらそば」も麺は、一枚(一杯)で充分な量が入っています。二種類のそばを食べて、お腹が大きくなりました。美味しかった〜！