「太陽の塔」からのおくりもの : ココット

　このお店はかなりいきました。
　たぶん、まだいくと思います。
　そして、かなりいろいろと試しました。いわゆるへヴィ・リピーター。

　だから、ワタシは、この店を、余すところなく、皆様にご紹介したいと思います。

　まず、接客は、この価格帯としてはかなり悪い。（接客に付した点数を見て頂きたい。）
　もはやレジェンドとなっている方々はもうどうしようもないわけです。
　他の方も、まぁ教える人がいないから言っても酷なんですが、
　お客様よりも自分の頭の中が優先されてテンパってしまう。
　この点、なんにも期待してはいけません。これは仕様です。

　次に、椅子が良くありません。
　いや、椅子はまだいい。右手の一枚板になっている側のクッションが、
　おそろしくクッション性に欠けます。こうなると長期でいられるところではありません。

　で。
　つまるところ、このお店に何を期待するのか？　というので、
　このお店に対する見方はだいぶん変わってしまいます。
　たとえば「洋食」というくくりで、香味屋だ三笠會館だ東洋軒だと
　高級洋食のくくりで期待していくと、そりゃあぜんっぜん違うわけです。

　そもそもこの店はハレの店じゃないんです。
　客層をよーーく見て下さい。どう考えたって半径5キロ以内の人々です。

　そういうお店なのに、どういうわけだか中井貴一に読んでもらったせいで、
　某お亡くなりになった料理研究家の箔がついてしまい、
　それ目当てでジモティが大打撃を受けたことがありました。
　ただでさえ接客水準が……なんですから、そりゃあ大変でしたとも。
　観光地化とはこういうことねーといろんなことを思いましたナァ。

　さて、ここまで読んで頂いたキトクな方々には、だいぶんいろいろ分かって頂いたと思います。
　じゃあ、どう使えばいいのか？　を、お伝えしておこうと思います。

　まず、予約をして下さい。これは必須です。
　このお店に対する地元民の愛は、ワタシもたまに引いてしまうくらいすさまじい。
　ふらっと入ろうと思われて門前払いを食うお客様のなんと多いことか。
　で、当日だと、下手をすると「いちばん早くて14時ですね」などとなります。

　これは単にディストリビューションが悪いだけで、実際は空いてたりするんですが、
　繰り返しますがこのお店はフロアの方のほうが客より偉く、
　地元民の大半はその圧政を承知してでもこの店に行きたいんです。
　大人しく従って下さい。稀に「あ、お客さんが出たから大丈夫です13時ちょっとで」
　などと言ってくれることもあります。ともかくますとびー予約。

　じゃあ、なにを食べるべきなのか？
　これは好みもありますので、あくまでワタシの独断と偏見だけをお伝えしましょう。

　このお店が確実に強いのはハンバーグとビーフシチュー。
　そしてなんといってもエビフライ。えびを二本串刺しにして大きくあげるのですが、
　衣はかりっと海老はほふっとまぁ美味しい。基本はコレ。

　ここで黒板を見ましょう。
　このお店の最大の強みは仕入れ、素材の良さです。
　西東京最強のハーブ畑ニイクラファームの野菜のみなさん。
　特にポタージュが書いてあったら追加注文すべきです。これはほぼはずれなし。
　一方で、黒板のメイン料理はそこそこのリスクを伴います。一見さんは見てはいけません。

　で。
　嫌いじゃないなら、黒板にあるハーブティを頼むべきです。
　繰り返しますがこのお店はニイクラファームからハーブを取り寄せてます。
　（トイレの写真をみてみましょう）
　そしてデザートは盛り合わせ。
　単品はあんまりおすすめしません。単品としてはそうでもないからです。
　ところが盛り合わせになるとまぁバラエティ豊かー。
　抹茶のプリンうまうまぶくぶくくー。
　これをハーブティで飲んで、さも身体にいいものを飲んでると錯覚しましょう。

　このお店は、いってみれば好又香の洋食版くらいの、
　ごくごく地元使い、あーもうお昼作るのめんどい、
　じゃあちょっと出て食べようかしらんくらいのお店です。
　なので、せいぜいのところ、五駅程度の範囲までの方にのみおススメします。

　ただ、地元民なら、注意事項遵守の上、絶対に抑えておくべきです。
　
　実は、なによりもこのお店が尊いのは、ご主人のお人柄です。
　「若い頃に二人で来ていたお客さんが子どもを育てられて、
　　そのお子さんがお店に来ておいしいと食べて下さる。それが嬉しい」

　このご主人が作っていらっしゃるからこそ、地元民は圧政に耐えてでも行きたいわけです。
　地元に溶け込み切った佳店です。