腕の確かな女性バーテンダー。落ち着けるバー : アンノーン

こちらのお店に初めてお伺いしたのは確か３年くらい前だったと思います。
聖蹟桜ヶ丘に越してきてからずっと気になっていたお店だったのですが、
小さい子供を置いて飲みに行くわけにもいかず…
子供３人がようやく大きくなり、３人まとめて義母にあずかってもらえるようになった時に、夫婦で行きました。

主人は最初に行った時からすっかりこのバーのファンになりました。
といっても、夫婦そろって飲みに行けるなど年に一回しかなく、
通算４回ほどしかお伺いしていないのですが…

このお店は聖蹟桜ヶ丘にあるとは思えない（？）正統派の、落ち着いた雰囲気の本格的なバー。
ここのバーテンダー（女性）は、銀座のモーリ・バーというお店で修行された方です。
モーリ・バー（食べログ評価、2013/11現在3.86です）のバーテンダー、
毛利さんは世界カクテルコンペで日本代表として出場し、世界４位を取ったこともある一流の方で、
得意なカクテルはマティーニ。ということもあり、アンノーンのバーテンダーさんもマティーニがお得意です。

かといって、敷居が高いわけではなく、店内は落ち着いた雰囲気でおしゃれですがとんがった空気はありません。
雰囲気のいい常連さんもいらっしゃいますが、バーに不慣れな人でも大丈夫。
何を頼んでいいかわからなくても、おまかせで作ってもらえます。
「このお酒を使って」「爽やかな感じ」「甘めで」等のあいまいな注文でも、
ばっちり合うカクテルを用意していただけます。
バーテンダーさんが女性なので、女性がひとりでも入りやすいお店だと思います。

バーテンダーの腕は一流（銀座の一流バー相当のレベルだと思います）なのに、
お値段は「聖蹟桜ヶ丘価格」。このレベルのバーにしてはかなり安いと思います。
カクテルも800円からとお手頃。特殊なものをお願いしなければほぼ1000円以下です。

午後８時以降はチャージ500円（おつまみ付）がかかりますが、
メニューのおつまみは500円からと安いのに量が多めなのです。
先日はドライフルーツの盛り合わせをお願いしましたが、いっぱい入っていて食べごたえがありました。

おすすめポイントは、なんといってもカクテルの豊富さ。
メニュー的なものは少ないのですが、お願いすればたいていのものはできます。

ここのお店のオリジナルカクテルも多く、しかもそれがかなり美味しいのです。
私は今年伺った時に、泡盛のカクテル「シャイニングSUN」（写真あり）をいただいたのですが、
泡盛なのに爽やかで口当たりのいいすっきりとしたカクテルでした。
美味しいのでつい飲みすぎてしまいそうでしたが、泡盛なのでけっこう酔います(笑)。
これは全国泡盛カクテルコンテスト銀賞を取ったカクテルなんだそうです。


主人が感心したのが「ボンド・マティーニ」をレシピ通り作っていただけたこと。
「ボンド・マティーニ」とは、映画「００７」 のジェームズボンドが愛飲している、
オリジナルレシピのカクテルです。主人はボンドシリーズの映画が大好きなんです。
「ボンド・マティーニ」は「ジン３、ウォッカ１、リレ1/2、レモンピール」というオリジナルの配合で、
この「リレ」というお酒（ヴェルモット）を扱っているところが日本にはほとんどなく
入手が難しいのですが、このお店ではそれがしっかり用意してありました。

ボンドマティーニ自体は、００７の映画ではたびたび登場するのですが、
きちんとしたレシピが公開されたのは、映画「カジノ・ロワイヤル」が初めてなんだそうです。
この映画の中ではボンドガールの名前を取って「ヴェスパー」という名前をつけられています。
（写真あり）以下、主人がここでいただいた”ヴェスパー”についてのコメントです。

「ジンとウォッカのマティーニなので、かなりハードな口当たりになるかと
想像していたらまったくそうではなく、リレとレモンピールによって、
マティーニよりもさわやかな飲み口だと言うことに驚いた。でも、確かに強い酒ではある。
カジノロワイヤルのレシピでは、「リレ」ではなく現在製造していない「キナ・リレ」を使っているので、
映画のせりふに出てくる「後味が苦い」という風味は体験できないけれど、
その後継である「リレ・ブラン」も日本での入手はやはり少ない様で、
そうした意味でも映画のレシピのボンドマティーニが飲めるバーはかなり稀有なのではないかと思う。
ただヴェスパーもいいけれど、毛利さん直伝のマティーニのほうを一度飲んでみることをお勧めします」

私も後から「カジノ・ロワイヤル」のファンになったので、今年お伺いした時いただいてみましたが、
なるほどカジノ・ロワイヤルのヴェスパーのイメージに合ったカクテルだと思いました。
私は他の007シリーズの映画はあまり好きではないのですが
（ボンドがいつも女をひっかけまくっているので…(笑)）
カジノ・ロワイヤルのボンドはカッコよくて好きなんです。

ヴェスパーというヒロイン像も、お色気たっぷりの他のボンドガール達と違い、クールで知的なのです。
カジノ・ロワイヤルの、タフでハードで、かつ切ない空気感を思い出させる
「ヴェスパー」がこのお店で飲めることに、私も感動しました。


あと、主人のここのお店のおすすめポイントは、きちんとしたシガー（葉巻）が置いてあるということです。
ハバナ産などのシガーが置いてあるバーはあまりないのだとか。
私はシガーは吸わないので、主人のコメントを。

「シガーは、シガークラブというハバナ葉巻の日本総代理店から
直接取り寄せている物で数種類用意されている。
灰皿も、柄の長いマッチもシガークラブの物。
吸い口を切るシザーももちろんちゃんと用意してあり、初めての人にも火のつけ方、ふかし方を教えてくれます。
カクテルはもちろん、グラスも葉巻も本当に本物が、
しかもお手ごろの価格でサービスされているので、お酒をゆっくり楽しみたい人には本当にいい店だと思う。
バーにはちょこちょこ行っていたが、近隣にこんな良い店があるとは正直驚いた。」


私がひとつだけ気になったのが、最初に主人と行った時には、
バーテンダーさんに話しかけてもあまり話がはずまなかったこと。
私たちが夫婦で行ったので、距離感を取っていただいたのかもしれません。
でも２回目からはいろいろ楽しいお話を聞かせていただけるようになりましたが、
バーテンダーさんは少しシャイな方なのかなと思いました。

ちなみに、私のママ友が一人で行った時は、最初からすごく打ち解けてお話していただいたそうです。
もし初回の印象が固めだったとしても、何度か通うことをおすすめします(笑)。

本当によいお店なのですが、夜にはあまり人がいない聖蹟桜ヶ丘という立地のため、
お客さんの入りはやや少な目なのです。
ぜひ、もっと地元の方に（いや、地元の方でなくても）行ってほしいお店です。

我が家から一番近い「バー」でもあるので、続いてほしいですね！