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〜 1度訪れただけで大好きになれる国立の独創的フレンチ 〜
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★たかし★
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店名 |
LE CIEL(ル シエル)
|
---|---|
受賞・選出歴 |
2020年Bronze受賞店
The Tabelog Award 2020 Bronze 受賞店
2019年Bronze受賞店
The Tabelog Award 2019 Bronze 受賞店 |
ジャンル | フレンチ、イノベーティブ |
予約・ お問い合わせ |
050-5592-5333 |
予約可否 |
完全予約制 ※当日、前日のご予約のキャンセル又は人数変更はキャンセル料を頂きます。ご理解いただけますようお願い致します。 |
住所 | |
交通手段 |
国立駅nonowa口より徒歩4分 国立駅から261m |
営業時間 |
|
予算 |
¥10,000~¥14,999 ¥6,000~¥7,999 |
予算(口コミ集計) |
¥10,000~¥14,999
¥10,000~¥14,999
|
支払い方法 |
カード可 (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) 電子マネー不可 QRコード決済可 (PayPay) |
サービス料・ チャージ |
5% |
席数 |
6席 (3テーブルのみ最大8席となります。ゆったりとした空間で安心してお食事をお楽しみ下さい。) |
---|---|
最大予約可能人数 |
着席時 8人 |
個室 |
有 (2人可、4人可) ご予約は2名様から4名様で承ります。 |
貸切 |
可 |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
無 近隣徒歩3分にコインパーキングあり |
空間・設備 | オシャレな空間、落ち着いた空間 |
ドリンク | ワインあり、ワインにこだわる |
---|
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
ロケーション | 隠れ家レストラン |
サービス | ソムリエがいる |
お子様連れ |
大変申し訳ありませんが、中学生以下のお子様のご入店はお断りさせて頂いております。 |
ドレスコード | 極端な軽装はお控えいただくようお願いしております。 |
公式アカウント | |
オープン日 |
2016年9月4日 |
電話番号 |
042-505-9029 |
備考 |
ご予約はお電話の他上記のインスタグラムからもお受けできます。 |
初投稿者 |
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わずかに雨がパラついていた。
雲は低く、秋の空を暗く覆い、まだ昼間なのにも関わらず、いつもよりも高速道路で見える視界を狭めている。とぎどき動くワイパーの音を耳にしながら、FMから台風接近を知らせるニュースが流れてくる。既に風は強く、ときどきハンドルをとられそうになりながら、僕は首都高を抜けて中央高速に入り、国立の街に向かっていた。LeCielを訪れるためだ。
この日の台風は空だけではなく、僕の予定をも狂わせていた。ずいぶん前に予約をしてこの日が訪れることを楽しみにしていた自分ではあるが、台風により一緒にいく相手がこれなくなり、困惑した。これが当日の朝の話であり、僕に残された選択肢は、キャンセルするか、初めてのお一人様フレンチで限りない孤独に包まれるかのどちらかしかない。
告白しておくが、僕はとっても寂しがり屋だ。この上なく孤独を愛するかのように見せかけておいて、本当はぼっちだと泣き出してしまうただの寂しがり屋さんなのだ。
僕は仕込みが始まるであろう時間にお店に電話をかけて事情を説明した後に告げた。ふたり分の料金は払うが、ひとりでいきます、と。ん?結局いくのかと、こころの中で僕は自分を問いただしたが、既に言葉は口をついて出てしまっている。手遅れだ。ぼっちフレンチを覚悟しながらも、やっぱりお店に申し訳ないとそのときの僕は思っていた。
国立の駐車場に車を停めるころ、一瞬だけ雨は上がっていた。今さらのように傘さえ持たずにやってきたことを後悔しつつも、僕は雨に打たれないことを祈ってLeCielまでの道のりを急いだ。空に向かって十字を切りながら...なぜ台風だと知りながら傘を持たずに来たのか僕にもわからない。
LeCielは少しいけば閑静な住宅街という場所にあり、小さなビルの3Fにこじんまりとお店を構えている。歩いているだけならそこにフレンチのお店があると気づかないだろう。階段を昇り、お店の入口まで来れば、小さくLeCielと記されたカッコいいシルバーのドアがあり、本当にフレンチのお店だったのだと気づくだろう。
お店に入ると、今回は大変でしたね、わざわざありがとうござます、と温かく迎え入れられて奥の個室に案内される。僕は、普段からひとりでもフレンチに来てると言わんばかりに背筋を伸ばして堂々と歩いてみせる。いったいなんの見栄だろうか?
個室は広く、シャレた内装であり、温かみもあった。ひとりには広すぎる部屋で椅子に腰掛けると、ソムリエでありオーナーでもある平田さんが僕を気遣っていろいろ話しかけてくれた。隠しているつもりが、寂しさが滲み出ていたのだろうか...
平田オーナーは元々銀座レカンにいて、恵比寿アムールの支配人を経た後にこちらの国立にお店を開いたという。今アムールはアロマフレスカグループで経営しているらしいが、これは知らず、どこか会話にも花が咲いた。こんなお喋りをしているうちに、僕はひとりでいることを忘れて、どこかしら楽しい気分に包まれいた。
LeCiel はかなり低価格でフレンチを提供しており、きっとそういう想いも重なって国立に店を開いたのだろうが、この日はより魅力を感じたく僕はちょっと高めのコースをお願いしていた。さて、そのコースは以下に。
1.アミューズ
ポンデケイジョとマカロンが小石が敷き詰められた器に盛り付けられる。ポンデケイジョは、まだ温かいパンにパルメザンチーズの風味が加わり、美味しい。マカロンはイカスミで黒光りしており、中にはイベリコ豚の赤いペーストが挟まっている。かわいらしく始まる。
2.フォアグラ 林檎
これは相当気に入った。フォアグラのテリーヌを皿の下に敷いて、フォアグラペーストを飴でコーティングした林檎飴をイメージしたものを横に添え、その上にサンダーで細かく砕いたクルミと林檎を散らし、最後にきな粉みたいに見えるフォアグラの粉で全体を覆い尽くす。
この粉は特別な機械でつくり、凍らしたアイスクリーム状のフォアグラをこの機械で粉砕するらしい。だからこちらはひんやりと冷たく、フォアグラの風味がまとわりつくように口の中にたっぶりと広がり、独自のその食感と風味をもたらす。
全体的には林檎の酸味が全体の味をそっと引き締める中で、様々な表情のフォアグラが楽しめて、とても美味しい。グリルしたフォアグラに少々飽きてきた自分には絶妙な味だ。
3.帆立 トリュフ
これもかなり気に入った。帆立のソテーにトリュフを散らした料理であり、ソースがこの上なく美味しい。ヴルーテというクラシカルなソースを真似たアメリケーヌソースで、ケッパーで酸味を加えて、ヘーゼルナッツ、クルトン、そしてなんとミミガーで食感にアクセントをつけている。低温調理でもない帆立が柔らかく、濃厚なアメリケーヌソースが相性抜群に絡みつき、コリっとした食感とともにトリュフの香りも心地よく鼻に抜けていく。うん、とても美味しい。いつの間にか、これ好きですね、となんか上からオーナーに感想を伝えていた。性格なのでお許しを...
4.かます 梅
大衆魚みたいな見た目に反して、カマスもジューシーで柔らかく、また奥深くて美味しい。フレンチの魚料理に関する恐怖は昔ホテルの結婚式で提供されたパサついた魚料理や、家で適当に塩焼きされる秋刀魚の大衆感であり、かますが提供された瞬間はそんな恐怖を感じたが、疑って申し訳なかったとひとり残された個室で僕は三つ指をついて謝った。
こちらはグリルしたカマスに、みょうが、菊、ハーブのディルでアクセントをつけて、大根と白身魚、ホタテのねりものを付け合わせ、有明海苔を添える。ソースはアサリ、鶏、ブイヨンをベースにして、梅が散らされるが、圧倒的なダシ感があり、シェフにも確認したところ、シラスから滲み出るダシの旨みなのだそうだ。
見た目以上に柔らかいカマスが、ダシ感たっぷりのソースにその身まで浸っており、たまらなく美味しい。
5.鴨 きのこ
鴨の胸肉をボルドーのシャンピニオンソースと赤ワインのソースでいただく。付け合わせは八王子で採れた小松菜のオーブン焼きに、きのこのピューレを絡めた麦のリゾットであり、発酵したマッシュルームパウダーを散らしている。様々な形で調理されたきのこが官能的であり、鴨肉も美味しくいただいた。トリュフを代表にきのこを官能的と感じてしまうことをご容赦願いたい。
6.栗 カカオ
カカオのアイスクリームに、マロンクリームと焼きメレンゲを合わせたパルフェ仕立てのデザートだ。カカオの苦味とマロンとアイスの甘みが絶妙で美味しい。
総括するまでもなく、とても満足ゆくコースだった。これでひとり6000円だというのだからコスパも極めて高いと言えるだろう。自分の味の好みを見抜いて味付けを変えてきたかもと思うほど、好みの味付けであり、独創性も感じられた。ひとの味覚はそれぞれであり、たいていが目隠し状態でどこの料理か言い当てられないように絶対味覚は限られたひとにしか与えられないのだから、結局は他人の評価に関わらず好きか嫌いかなのではないか。僕はとても好きになった。
コースが進んでいる間も、平田オーナーは何かとお喋りしてくださり、話題になっているお店の話や新しくできたお店の話、料理や味覚に関する話など、非常に楽しく過ごし、孤独感など感じる場面は一秒たりともなかった。初めてのおひとりさまフレンチも、いつもこうならもっといっぱいいってもいい。訪れる前まで寂しいとほざいて自分が、たいした変わりようではないか。信念は1秒で変わる人間だ。
会計を済ますとき、僕は自ら申告していた二人分の料金を払おうとしたが、一切食材は無駄にしていないので本日はこちらでと、ひとり分の料金しか請求されなかった。僕はこの粋な計らいを甘んじて受け入れて、絶対にまたLeCiel を訪れようとこころに決めた。
帰り際、窓の外を眺めれば、激しく雨が降っていた。台風なのだから当たり前だ。傘を忘れた僕は、忘れたとも言えず、ひとりモジモジしていた。それを察したオーナーが、よければこちら差し上げます、と傘を貸してくれた。なんという優しさだろうか、ホスピタリティたっぷりのLeCiel だ。いや、モジモジしている僕が見るに耐えられなかったのか...
こうして台風は予定を狂わせるともに、かけがえない素晴らしいひとときを僕に与えて、通り過ぎていった。
結局、僕が生きる中で求めているものは、こうしたハプニングや不測の事態がもたらす素晴らしい偶然であり、それを求めているうちはずっと安定なんて訪れないのかもしれない。僕は都市という要塞に守られながらも、さまよい、この先もひかりの街を旅し続けるだろう。不幸な瞬間も、幸せな瞬間も、きっとどちらも訪れることだろう。それでも、振り子のように感情が左右に揺れているほうが、何も起こらず魂が渇いていくよりも、遥かに生きているという実感が得られる。
今度、国立の街から雨があがり、優しい太陽に包まれたとき、僕はLeCiel に傘を返しにいこう。