東小金井：小金井天津丼の旅（６） : 中華料理 揚子江

2020.09
　結構ブランクのある店が増えたことに気づいたのでテーマを天津丼に決めて久々に小金井中華を廻って見ました。
　６軒目は、代替わり後も中々立ち直れない宝華に替わって東小金井で最強中華の座を守っている二代目揚子江。

◆天津丼
　見た目は濃そうなビジュアルですが、甘辛の餡は出汁が効いていて純粋な旨味を感じさせる作り込み。
　玉子にはネギを多めに混ぜ込んで食感に変化を付けており、かなりオリジナリティのある、でも十二分に納得の美味さの天津丼でした。

◆串焼き（ラム）
　新メニューで、ラム(\150/本)・牛(\150/本)・手羽(\100/本)からラム２本をチョイス。
　下味を付けて、その上にスパイスとハーブをたっぷり擦り込み、そして仕上げ焼きした串は柔らかくてジューシー、意外なほどレベルの高い焼きでした。

　代替わり直後は日本で求められる料理を掴めていない感じでしたが、近年は上手く調整できており、本当に美味い。
　徐々に東小金井でも中華の代替わりが進みつつありますが、現状ではヒガコでは最強。
　機会がありましたら、ぜひ・・・　

2018.10
　初代の親父さん引退に伴って店を引き継いた二代目揚子江、開業から10年近く経った2018年は技術的にピーク期に入ってきている感じです。
　正直なところ開業当初は初代の味どころか小金井の並の中華のレベルにも追いついていなかったのですが、2017年に料理の大化けに驚き、今年は安定感に強く頷けます。
　二代目宝華がようやく復活に向けて再始動しつつも技術的には未熟の域を脱しない現時点では、揚子江がヒガコNo.1中華職人と言って良いと思います。

◆天津丼(\730)
　見た目はごく普通ぅーーの天津丼。
　ですが、まず甘酢餡の出汁感に「流石・・・」と頷き、卵の絶妙なふわふわ炒めにニヤけ、そして具に入っている本物の蟹に驚く三段仕掛けの一皿。
　小金井で中国系の方が経営している中華は多いのですが、本物の蟹を使っている店は殆どありません。
　というか、本物を使って今回の値段は破格すぎ・・・
　大盛り無料で今回の写真のイメージということはボリューム勝負の開業当初から方向転換し、クオリティ勝負できるようになったこと、つまり良い常連さんが増えてきた証左だと思います。

◆水餃子(\480)
　焼餃子より100円高いとは、これ如何に？と思った前回ですが、今回食べてみて納得です。
　具と皮のクオリティが明らかに高い。
　酢醤油なしで、おかずではなく単品料理としてオーダーすることを強くオススメします。

　という感じの二代目揚子江２０１８でした。
　家族連れも多かったですし、明らかに地元の支持層が広がっていると思います。
　忘年会で２階を貸し切る調整がつけば、かなり満足度の高い宴会になりそう。
　小金井中華の三聖と呼ばれた櫻華＠五日市街道、宝華の初代親父さん(経営者ではなく本物の職人さんの方）＠東小金井、そして揚子江の初代親父さんが不在となった小金井ですが、ムサコでは嵐屋が、そしてヒガコでは二代目揚子江が技術的なピークを迎えていると思います。
　更にムサコには総合力で小金井No.1中華の福源居があり、若手が育ちさえすれば凄い店になるのは確実です。
　代替わりして面白くなってきた小金井中華の名店の一つとして改めてメモしました。
　ぜひ機会を作ってお試しいただければと思います。

2017.01訪問
　小金井屈指の名匠として知られた親父さんの引退に伴って若い夫婦が始めた二代目揚子江、開業当時は本音ベース料理が「水準未満」レベルでしたし、常連さんも殆どついていないように思えました。
　が、しかーし、久しぶりに行ってみたら料理が驚くほど化けて美味くなっています。

◆揚子江チャーハン（￥６００）
　炒飯メニューも相当増えていますが、今回は開業当初から変わらない基本炒飯をオーダー。
　追加料金なしで大盛りにできるので、お願いしました。
　パーツ類は基本的に変わっていませんし、味付けも強めという点も同じ。
　ですが、炒め技術が格段に上がっており、スプーンが止まりません。
　付け合せのスープの旨味も十分で、メチャお得な一皿。
　というか、ベースのスープが美味くなっているということは料理全体が美味くなっていることを示しています。
　俄然テンションが上ってきた一皿目。

◆春巻（２本、￥３５０）
　自家製の細めの春巻です。
　これがまた絶妙に美味い。
　以前は皮を二重・三重にしていて火の通りが浅い部分の味が今ふたつでしたが、今回は薄皮でサクサク感があり、しかも具の旨味も濃い一級品でした。

◆焼き餃子（５個、￥３８０）
　ＯＰＥＮ当初から美味かった焼き餃子、さらに進化していると思います。
　昔のように辣油を具に効かせる独自性は薄れていますが、誰もが美味いと思える肉汁たっぷり餃子を素晴らしい完成度で出してくれます。
　焼き具合、皮の美味さ、具の肉汁、どれをとってもヒガコではトップクラスだと思います。

　でもって、ＤＡＹ－２。
◆カニあんかけチャーハン（￥８２０）
　炒飯の炒め具合は上々ですし、カニも蒲鉾ではなく本物。
　餡は少し強めの味付けで、小金井No.1の福源居（ムサコ）のカニあんかけチャーハンに比べるとオトナ向け・酒との相性重視の作り込みでした。

◆水餃子（￥４８０）
　これも美味い・・・のですが少しだけ謎。
　茹で餃子で、それ自体はマジ美味です。
　ただ、スープ無しの茹で餃子で大きさも個数も変わらないのに焼き餃子より１００円高。
　焼きの方が手間がかかると思うのですが・・・
　スープが格段に美味くなっているので、スープ餃子にしてほしかったかも。（スープありなら１００円高も強く納得）

　という感じの進化版の二代目揚子江でした。
　初代からの引き継ぎ当初は１Ｆのみでカウンター４席とテーブル１組だけ、マダム不在時は一人で店を廻していました。
　が、改装した今は２階席もあり、厨房に常時２人、２階にも人がいます。
　お客さんもひっきりなしに来ますし、「こんばんわ」と挨拶する男性客に店が「今日は遅いですね」と返すところが常連客の拡大を示しています。
　ＯＰＥＮ当初は厳しいかも、とも思ったのですが、今の料理であれば賑わうのも納得です。
　ヒガコの中華、南口の宝華が２００９年の厨房総入れ替わり事件から全く立ち直る気配を見せず低空飛行を続ける一方で、北口の西エリアは俄然面白くなってきました。
　安定している寛（ひろ）、がんま、ファンタジスタに加えて新店ピッツェリア「タルタルーガ」、そして大化けした二代目揚子江、色々な通い方ができそうです。
　機会がありましたら、ぜひ・・・

　少し経営体力が落ちて来てるかも、と心配だった二代目揚子江です。
　何とか継続できているようですが、流石に先代のように上客を掴みつづけるレベルに達するのは難しそうです。

◆蟹餡かけ炒飯（★3.0）
　新メニューだったので試してみました。
　炒飯は味付けを（二代目揚子江としては）薄目にしており、個人的には好みでした。
　餡はドーナツ型になった炒飯の中央にたっぷり入っており炒飯を崩しながら食べていきます。
　餡の味は少し刺激感がありますが、この辺りは好みの問題でしょうか。
　若い学生さんには好まれるかもしれませんが、無化調（or少化調）でも旨味を出せる店を多く知っている大人にはちょっと・・・

◆焼き餃子(★4.0）
　餃子は相変わらず美味い。
　ジューシーな具と厚めの皮は値段以上の満足感です。
　そして今回気づいたのですが、具には辣油が混ぜ込まれていてピリ辛の独特の風味です。
　結構面白い餃子でした。
　焼き餃子は結構お勧めかも。

◆ホイコーロー丼（★3.5）
　何気に黄金丼2011だったりします。（レギュラーメニューとの違いは人参が江戸東京野菜になるか普通の野菜になるかの一点）
　フェア期間中は何となく意欲が起こらなかったので写真のみ残していました。
　黄金丼としては特徴がなさすぎる一杯なのですが、全体としては、まとまりの良い丼です。
　特に、味噌系の味付けは元々濃い味の二代目揚子江に合っていると思います。
　迷った時の一杯としてお勧めです。

　開店初期よりは料理のレベルが上がっていると思いますが、少し微妙なラインでもあります。
　何かブレークするきっかけの料理が出ないかな・・・・