富士そば/ら　ら　ら　ラ～メン : 名代 富士そば 東十条店

食べグロで勝手にフォローさせていただいている御方が、昨今の状況下にあってもお客さんの要求に応えていたらしい居酒屋さんを“地元酒飲み最後の牙城”と好意的にご紹介されていたリポートを目にして、ちょっと思い巡らせてしまっている。
また先日仕事絡みで、埼玉の、新しく出来上がったような小さな駅前で飲んだのだが、その取引先の方もえらい酒飲みのようで、駅前のほんのわずかな飲食店街の中でもいきつけのお店をちゃんと確保し、時短営業の中、とりあえず居酒屋～スナックのママと「ロンリー・チャップリン」をデュエットさせていただける、という流れを作っていただき、いたく感謝させていただくともに、たいへん驚かされてしまった次第

いや、それに引き換えこの自分の体たらくはなんだ !　という無力感に思い巡ってしまっているのだ。
永年通い続けたお店たちは、シャッターをなるたけ長い間閉めたほうがお金になると気付いた瞬間から、私をボロキレのように見放した。
もともと常連が来る土日しか開けなく、しかもそれでも、そこで雨が降ったらもう営らないようなお店や、スナックの女の子からBarのオーナーになったは良いが、出産の為にそもそも営業ままならなくなったお店たちに、新型コロナという神風が吹いたのだ。
(まあBarのオーナーとは、その前に絶交してたけど)

そんなママも、とうとうそのまま店を閉めるという決断に至ったらしい。
ただ協力金が出続ける限り、営るだろう。閉めるという恰好で店を営り続ければ、その間だけ、ちゃんとお店を営ったときの何倍ものお金がもらえるのだから、そりゃ営り続けるだろう。
そんな永年同じ町、同じ店で飲み続け、気付けば自分を守ってくれる牙城のひとつも築けていなかったというバカな酒飲みの、見苦しいグチである ……

<日付も変更となり、R4.4.8>

「富士そば 東十条店」

またまた新橋で遅くなり、這う這うの体で戻ってきた東十条。
「カメレオン・アーミー」に私の完璧なコンテンポラリーダンスを振りつけて、何度も何度も繰り返し歌っていたような気がするが、果たしてエメロンの人は、そんな私の姿を見てどう思っただろうか。
灼熱のダンサーとして、この地中海の舞踏でその人の強く心を揺り動かしてしまったとしたならば、きみにはぼくなんかよりももっと相応しい人がいるからと、そのプロポーズは丁重に辞退させていただきたいと思う。
そして私がまだ未完成である髪の水分チェック・マシンを完成させた暁に、あらためて、今度はぼくのほうからプロポーズさせていただくと同時に、アクアチェックさせてもらいます

“ラーメン” @覚えてないけど、400円over

こちらのお店は富士そばさんの中でも幻の乱切りそばが食べられる、非常に稀有な店なのだと何度も何度も熱く語って言い聞かせたにも拘わらず、さきこは私の目の前でラーメンのボタンを押した。
そんな数年前の想い出がふと頭をよぎり、今夜ぼくは、初めてラーメンのボタンを押した

私の名前はラ～メンです
もちろんあだ名に決まってます

自分を励ます為、私はまた頭の中で歌う。
もう音楽の中でしかさきこに会えないのだろうか ?　いや、それは違う。彼女はきっとまた、財布を落としたとき、いや、言い方を変えて財布を落としたとき“だけ”、「財布落とした　お金貸して !　とりあえず飲み行こ ～」と私にLINEしてくるはず

ラーメンという料理はすべからく、このように澄んだつゆのsurfaceに油が浮き、そしてナルトが浮いているべき !
それらが忠実に守られた優しいラーメンには、蓮華がついている。
かけそばには蓮華がいらないがラーメンには蓮華が必要、というこのmechanismを解くにはもう、夜が更けすぎていた。
今私の頭の中にあるのは、そこの通りで果たしてタクシーに乗車拒否されないかどうか。

どこまでも夜空。私を守ってくれる親衛隊などいない。
それどころか、カード破産しても確か7年ほどでブラックリストから外してもらえるというのに、タクシー運転手さんたちには、いつまでもブラックリストから外してさえもらえない。
さきこが身につけていた、タクシーにパニックブレーキをかけさせ、ロックさせてでも止めるという魔法を、いつかぼくも身につけたい。
魚をかけたときのヘラ師のように、肘を曲げずに腕一直線、且つ指先までピンと伸ばす、という形だけは理解しているのだが ……

ガード下のチェーン居酒屋など、11時くらいで止めてくれるのかなと高を括っていて、「蛍の光」が聴こえてきたと思ったら、久々にまるまるお昼(12時)まで飲んでしまっていた。
誰と飲んでいても一番終電が遅いということを強みとしている(それを威張って言うな !)私なので、帰宅になんら問題はない。
駅から下りてくると「富士そば」さんの明かりが頼もしくも煌々と灯っていたので、抗えずに吸い寄せられていく

<R4.3.31 深夜>

「富士そば 東十条店」

入口でもっともシンプル、且つそば料理としての王に君臨し続けるフランス料理のボタンを突いて、茹で場を守るネパール人(かは知らないけど)の彼に委ね、その茹であがりを待つ。
こちらにはその昔、店長だったのかな ?　社会のどこへ出ても必ずやっていけるだろうと思わせるほどに聡明で感じの良い方がいらっしゃったのだけれど、まだ彼はどこかの飲食系で頑張っているのであろうか

“もり” @いくらか忘れたが300円以上はしたはず

そしてわたしのおそばが出来上がる。
それはふつうの「富士そば」さんのおそばではなく、職人の包丁切りのように、粒状感を纏って少々不揃いの、“乱切りそば”と呼ばれる幻の富士そばで、都内でも数件、「富士そば」さんの中でも社内技能オリンピック金メダリストだけが操作できる(かも知らないけど)特別なマシンから絞り出されたものなのだ !

きちんとアルコールの飛ばされたかえしのみりんに、胃から揮発する大量に摂取されたアルコールが還元されてゆき、ふたたび生(き)のみりんに還ってゆくという、極上のサステナビリティ―を暫し堪能させていただく

持続可能な酒飲み、毎日大量に飲み続けることを可能とする酒飲みになる為の自己改革目標、SDGsを掲げる私の孤軍奮闘は、明日からもまた続くだろう。
そしてその為には、深夜まで営っているおそば屋というものが必ず必要なのだ

<R1.9.24 東十条>

「富士そば 東十条店」

久々、他にどうしようもなくって富士そばにやって来た。
ちょうど去年の夏あたりをピークとし、学生生活最後の夏休みを謳歌する女子大生と、よく深夜のこの街を追いかけっこしたのも、もう随分と前のことに思える ……

東十条の富士そばのそばは“乱切りそば”という他店では食べられないレアなものなのだと力説する私に、「その話もう何回も聞いた !　聞き飽きた !!」とキレてきたあなた。最初に一緒にやってきたとき、ぼくが何度も何度もその話を熱く繰り返したにもかかわらず、あなたはラーメンを食べましたよね。

そのとき、ぼくはほんとうに悲しかったです