態々訪れる価値のある日本酒と摘みの相性が素晴らしい日本酒割烹 : 光壽おおやま

既に何度か訪れている飲み友さんからのお誘いで、金曜日の19:30から伺いました。東武東上線の大山駅から歩いて3分ほどの距離にあります。ビルの一階が大山ホルモンの三階に上がります。

入り口を入るといきなり一段上がったところに席がありますが、ここはテラス席用のテンポラリー席。左に曲がっていくとカウンター6席があります。つい先ごろテラス席も出来上がったようで、6人ほどがゆったりと座れるようです。

光壽は、神田、新橋とも昔行ったことがありますが、所謂日本酒好きの集まる店でありますが、早々人気で騒然とした雰囲気が馴染めなかったので、余り通っていません。日本酒を新たに飲み始めた頃は、いろいろな蔵の味を試しに、いろいろな居酒屋を巡っていましたが、その内自分の好みが分かるようになると、居心地や店主の対応の良い店に自然と寄りつくように思います。その点、新規に開店なさったこちらは、少人数で社長が直にお客様に接したいという思いで開かれたようです。銘酒居酒屋として繁盛すると四ツ谷のあそこやこちらの様にだんだん分かっているお客様とゆったりと接客するスタイルのお店を開店されているのは、やはり、お酒に対する思いが強いのだと思います。

社長の大野さんは、当時ブログで走り屋さんのイメージがあったので、以前お目にかかった時はずいぶんと違った印象だったことを思い出します。それからだいぶ経ってはいましたが、今ではレースもおやめになったようでさらに穏やかなお人柄になっていました。

さて、こちらおおやまの方ですが、店主の城下さんが社長とお二人で切り盛りされる新店舗（と言ってももう3カ月ほどたってますが）です。おもてなしコース (8,000円)で、おまかせお料理と好みのお酒を飲み放題というコースだそうです。

待ち合わせ時間より早く着いたので、最初に生ゑびすを頂いた所為か、途中量を抑えましたが、9種17品をいただきまして8000円というのはお値打ちだと思いました。

若駒夏コマ 4++- 夏らしいスッキリした飲み口(今時期は口開けに最高）

町酒造純米吟醸袋吊り斗瓶取り光壽超限定 5+++　光壽限定醸造品、口当たりの味も広がりも喉越しも何もかも一級品。見直しました。

雨後の月純米大吟醸斗瓶取り愛山50 5++- これも普通ではなかなか味わえない愛山でふくよかで芳醇綺麗なつくり。

白露垂珠純米吟醸無濾過速火入芳醇辛口 4+-- 白露垂珠らしいスッキリと透き通るような飲み口でありながら、芯のある味の太い辛口。

醸し人九平次純米大吟醸山田錦50 5++- 九平次らしい振れないあの味。当然文句なし
磯自慢吟醸山田錦50 5+-- 磯自慢の吟醸ですが、中庸なバランスがとても清々しい一杯。ちょっと珍しい。

黒松仙醸純米吟醸特別限定袋吊り金紋錦 4++- 金紋錦らしい米の味の絡みが若干ありましたが、それでも綺麗に芯の通った一杯でした。

風の森純米大吟醸無濾過無加水キヌヒカリ 3+-- 数々ある風の森の中では、珍しいお米です。小生は少し物足りなかった。

作特別限定杜氏選抜酒5++- 言わずとしれた作ですが、これも限定。しかし、これには唸りました。今まで飲んだ作の中では一番の出来です。

以上お酒に関しては、社長のこれまでのご努力と御関係から光壽ブランドを含め、一級品の数々。普段ここまで上級のお酒たちを飲み倒すのは不可能に近いでしょう。

南瓜のスプーン 南瓜を丁寧に裏ごしした一口

ブロッコリのポタージュ フレンチには負けますがなかなかどうして、素敵な味でした。

パクチー餃子 これは最近の流行りでしょうか？ニラに対して香菜を使った餃子ですが、これと日本酒を合わすのはどうでしょう。また、三品目というのは順序が早いような気がします。

丘若布、茄子、山東菜、丘ひじきのお浸し これは本日壱でしたね。なんの気ないお浸しですが、出汁と野菜の味のみで完成しています。

トマトの漬け良く熟したトマトを蕎麦の返し（出汁の素の濃いもの）でつけたもの。これは初めての体験でしたが、なかなか美味です。

金時人参の葉のお浸し、タルタル添え　和製の金時人参の葉をお浸しにしたもの。タルタルは不要だと思いました。人参の生の細切りが有ったらタルタルと合うのにと感じました。

しじみ汁　中ほどにはちょうど良い冷製の後に出てくるのは良いです。

はまぐりジュレ乗せ　蛤の茹で加減がちょうどいい塩梅。生でもなく身も固くなくするっと口に滑ります。ジュレは気持ち透明感に欠けますが味付けの目の付け所としては良いです。

鰆焼き人参ソースの上に乗せ　鰆は良く焼けてますが、人参のソースとどうやって出すか。小生は普通ですが、おろしの様に皿の横緒に持っていただければ十分と思いました。

胡麻豆腐きんつば風　自家製の胡麻豆腐を金つばの様に衣をつけ焼き目をつけたもの。周りの葛の衣のさくっとした口触りに濃厚な胡麻豆腐がプリンの様な食感で広がる良品。

かつをたたき　たたきの火加減がこれまたとても薄く仕上がっておりなかなか。

鮪漬け　先ほどの蕎麦の返しを使ったものなのか不明ですが、やさしいつけ汁の加減でとてもナチュラル。

合鴨　ジューシーで且つ噛むほどに味がある。

生ハム、桃、チーズ　生ハムに桃とは意外ですが、チーズの分量とのバランスがもう一つ。

すき焼き　なかなか上等な牛に白身と黄身を分けて別々に泡立てた特製玉子で頂きます。

鯛茶漬け　その場で例の高級炊飯器で炊いたご飯に、結構な分量の鯛の胡麻だれでお茶づけに。ゴマダレの塩加減がちょっと辛かったと思います。

酒粕アイス（OR抹茶アイス）　どちらかの酒蔵（伺ったのに失念）の酒粕を使ったアイス。酒粕はおそらく吟醸以上のものと思われます。

以上、酒呑みが好みそうな17品ですが、一つだけ小生の悩みどころが。
今回はお酒は社長にお任せしたのですが、一品一品にお勧めの合わせ方が有ろうかと思いますが、自分で試したい時やお酒を自由に選ぶ場合や、そうでなくとも和食としての定番の順序というのがあります。

これを組み合わせる妙もあろうかと思いますが、本日は、一品一品が出てくる順番については時に戸惑う事があり、コースの順番をやはり定番の和食の出し方に倣うほうが良い気がしました。（料理の用意の手順はあろうかと思いますが、敢えて申します）

それから、ちょっと0次会且つ生ビールなどと言う普段飲まないモノを先にやったのが災いしていますが、やはり、小生は、摘みよりも酒を飲みたい方なので、もう少し品数は絞ってもらった方がいいような気がしました。と思ったら調べたら、旬の小鉢コース2500円(すき焼き お食事 デザートなし) プラス3500円飲み放題というのもあるみたいです。次回はこちらで頼んでみましょう。

いろいろ書きましたが、ひさしぶりの光壽、大人の雰囲気でゆったりと飲み食いで来て1万円しないのは驚きです。至福の時間が過ごせました。店長も割烹出身かと思ったらそうではなく、特別に和食の修業もせずにこの味が出せると言う事に驚きました。逢坂の大将の薫陶を受け、これからも益々進化する事でしょう。

予約が取れなくなる前に、何度か伺っておこうと思います。