《再訪》麺屋正路は隠れた名店也！ : 麺屋 正路

「麺屋 正路」、大久保で週二日のみの営業だっ
た頃、３度訪問して振られるという不運にもう駄
目かと思った矢先、忘れもしない一昨年の９月、
正路さんが荻窪に移転したという情報を得て、
やっとの思いで初訪して食べた時の塩ラーメンは
感動という言葉以外思い付きませんでした。

あれから１年４ヶ月余りが経過しましたが再訪す
ることはありませんでした。食べログを始めてか
らは未訪のお店を優先してしまうこともその理由
の一つだけれど、当時はまだラーメンの経験値が
浅く他店のレベルをよくわかっていなかったので
武者修行をしてからまた来よう！と思っていたこ
とも事実です。

そんなある日、偶然荻窪でBMしていたラーメン
店が臨休のため駅チカで食べようと思い、検索し
たら上位にランクされていたのがココ、正路さん

暫くぶりに行ってみよう！と、向かったのは、荻
窪駅北口からはほど近いビルの２階、一階にはド
派手なたこ焼きチェーン店があります。

お店に到着した時間は１８時半頃でしたでしょう
か、こじんまりした店内に先客はなく、券売機の
前に立つと、店員さんが側に寄られてきて、わか
らないことがあったら聞いてください！と無言で
も意図はよくわかる接客姿勢。

さて、券売機を確認すると開店当初は塩か醤油の
２択だった記憶がありますが、秋刀魚節の白と黒
の２択に様変わりしていました。また、味噌ラー
メンもラインナップにありましたが、私が選んだ
のは、「特製秋刀魚節（白）」。白は白醤油、黒
は黒醤油のようです。

店内はカウンター席が８席のみ、その端席に座り
大将の作業ぶりを見ていると、その手捌きや静か
な動作からしてとてもラーメン屋とは思えない、
和の職人の雰囲気が漂ってくるのは気のせいでし
ょうか？

待つこと５分ほどでラーメンが店主さんから手渡
されました。外観すると、スープは淡麗で塩ラー
メンのような透明感のある綺麗な色合い。

具は、鶏チャーシュー、ワンタン、味玉、メンマ
、野菜は水菜、紫玉ねぎ、青ネギ、柚子皮、海苔
といった内容で派手さは無いけれど、盛付けが整
然として見た目も楽しませてくれますね。

早速、スープを頂いてみると、まずは秋刀魚節が
ふわっと香ってきましたが、鰹のようにガツンと
くる節ではなく、上品ながらキレのある味わいで
癒やされるような感覚になります。

更に飲み進めると、秋刀魚節と霧多布昆布の上品
な魚介出汁の旨味に、鶏ガラと豚骨の清湯でスー
プに厚みが加わり、そこに白醤油の独特なコクが
感じられ、香味野菜で尖ったものは消されて円み
のある味わいはラーメンスープと言うよりは料亭
の和出汁のような深い味わいになっていて、とに
かくバランスが素晴らしい！

開店当初の塩ラーメンは、鶏白湯と鶏清湯の中間
のような絶妙な味の鶏出汁スープに唸らされたが
、その時の塩ラーメンを゛動゛に例えるなら、こ
の秋刀魚節の白醤油ラーメンは゛静゛と言えるか
もしれない。

このスープに合わせる麺は、独特な香り立ちがし
て、しなやかな細麺にして粘りのようなコシがあ
り、麺肌はツルツルっとして喉ごしのいい美味し
い麺です。淡麗なスープとの相性もよく、箸が止
まらないですよ！(笑)

お店情報によると、麺は国産小麦100％の低加水
麺と真空玉子麺の２種類とあったので、もちろん
これは後者の真空玉子麺ですね。独特の香りは卵
黄から、粘りのようなコシの強さは卵白から、と
卵麺の特徴がよく出た麺で本当に美味しいですよ

具の鶏チャーシューは低温調理のしっとりとした
味わいで歯切れがよく鶏の旨味がストレートに伝
わってきます。火の通りが絶妙で生々しさはない
のにしっとりとした味わいで唸らされます。

チャーシューをおもむろにひっくり返すと、綺麗
いな刺しが細かく入っており、その刺しの深さも
何とも絶妙で、これはやはり和の職人さんとしか
言いようがない。

ワンタンは肉の旨味が一枚の薄皮に封じ込まれて
いたかのように噛めば噛む程に旨味が出てこれも
実に美味しい一品です。

味玉は、黄身がトロっとした半熟で味付けは薄く
も玉子の旨味が引き出され美味しい一品。
メンマもサクッと歯切れがよく味付けもこれまた
上品な薄味ですが美味しく頂けました。

紫玉ねぎの刻みは甘味があり歯応えは自然に口溶
けしていくようで美味しく、水菜、青ネギはこの
スープにピッタリはまって清涼感があります。

ほどなく麺も具も食べ終え、残ったスープを味わ
いつつ頂きましたが、最後まで塩気を感じさせず
飲み干すのに全く抵抗感が無かったのは珍しいか
もしれません。

お店を後にする際は店員さんがお見送りして頂け
ましたが、最初から最後までその丁寧な接客対応
振りには改めて感心してしまいました。これも和
の職人ならでは。礼に始まり礼に終わるという武
士道に通じるものを感じます。

ただ一抹の不安は、最後まで客は私一人のみだっ
たこと…、こんなに美味しいラーメンが何故受け
入れられないのか不思議でならない。

ちなみに、先月２２日から日曜日は、鯛煮干しラ
ーメンの゛麺屋 鯱（シャチ）゛として営業してい
るようでこちらにも是非食べに来たいと思います

《味の評価》
・スープ◎
・麺◎
・チャーシュー◎
・他の具○

《全体の評価》
・外観◎
・ボリューム○

以上

今日訪問する正路さんは、荻窪駅前に開店して
まだ１週間足らずの新店ですが、私にとっては
漸くたどり着いた隠れたラーメンの名店です。

荻窪に新店を構える前は中央線の大久保駅に店
を構えていて、営業日は木曜日と土曜日のみ、
しかし大久保駅周辺では私がお気に入りの麺屋
翔よりも食べログの評価が高いラーメン店で、
通勤経路にあるので帰宅途中に３回訪問したの
ですが見事３回ともふられました。その訳は、
食べログには夜の営業ありとなっていながら、
実はランチタイムのみの営業だったことを後に
なって知ったからで、食べログにはご丁寧にも
スープ切れの際はその時点で終了と書かれてい
たので行く度にまたスープ切れか？って勘違い
してました。そこについ最近、荻窪に移転した
ことを知り、念願の初訪問です。荻窪では月曜
を除く昼、夜の営業、となっていたので安心し
て訪問できます。

お店は荻窪駅北口を降り、新青梅街道に出て、
荻窪駅の南口に向かって歩くとすぐに路地があ
るので右に曲がると正面に、ジャンボ総本店の
お好み焼き屋があり、そのお店の左脇に正路の
桃燈が出ています、その２階に正路さんがあり
ます。駅前なのに少々お店探すのに手間取りま
したが漸く数ヶ月思いこがれたお店に到着。

店内はカウンター席のみで１０人も座れればい
いほどの狭さですが、ラーメン店というよりは
小料理屋のような雰囲気が漂っています。

開店して間もないから外待ち覚悟してましたが
、意外にも先客２名で後客なし、すんなり入れ
ました。券売機で塩ラーメン（￥７５０）をポ
チして、店員さんに券を渡して端席に着席しラ
ーメンを待ちます。厨房内は大将１人で切り盛り、ホール担当の店員さん１名います。普通考
えるとこのこじんまりしたお店であれば大将１
人で十分だと思いますが、大将は料理に専念す
るも接客サービスも大事にされているのだと思
います。実際、入店からお店を出るまで店員さ
んの実にきめ細かい配慮には感服しました。

さて、注文から着丼まで３分、早い。大将から
手渡される時には「頂きます」とまず一礼！、
箸に手をつける前に手を合わせて「頂きます」
と二礼、これラーメン道の流儀？ いや我流で
必ずやっいます、特に渾身込めて作られた一杯
のラーメンには礼を尽くして頂きます。

まず、ラーメンを外観すると、見目麗しきかな
、そう言いたくなる程、塩ラーメンの綺麗な色
のスープ、惚れ惚れします。具は鶏チャーシュ
ーに大振りのメンマ、海苔に刻んだ青ネギと実
にシンプルです。

まず、香り立ちは鶏の出汁、スープ表面にも鶏
油が広がり、これは鶏ソバですね。

そのスープから頂くと、旨い!! 実に旨い!!
一口めで、これは白湯スープと思うほどのまっ
たりとした鶏の旨みを感じましたが、飲み進め
ると、まろやかで実に清涼感溢れる味わいに変
化、しかしスープの色はよく見ると白濁してい
て白湯にも見える、そして塩ラーメンで一番気
にる塩加減が実に絶妙で、これは塩一つまみ多
ければ塩気を強く感じ、一つまみ少なければ味
が薄いと感じるほどの繊細な塩加減ですが、私
のバカ舌でもその繊細な味わいに舌を巻きまし
た。そして肝心の白湯か清湯かはわからぬまま
ただただ、その旨さに酔いしれて完飲しました
が、とても気になったので大将に後で聞いたと
ころ、白湯でもなく清湯でもなくその中間だと
言われる、鶏ガラを強火でガンガン炊き込むの
は白湯と同じだが、白湯になる手前のスープら
しい、ゆえにスープは半透明で薄く白濁してい
るんですね、塩加減といい何とも絶妙な技で作
られた渾身のスープ、これには感動しました。

そしてスープに合わせる麺はストレートな細麺
箸で持ち上げると、しなやかです。若干前回の
ZUND-BARの細麺が頭の中を過りましたが、
一口すすると、ワッ…これこそラーメンの麺だ
、コシがあり歯応えがありながら喉越し良し!!
厨房内の麺のトレーを見ると、東京蒲田の菅野
製麺所とあります。こちらの麺ですか、少し加
水高めですがモチッとして、スープにもよく馴
染んで相性もよし、麺からは卵の香りがほんの
り感じられるので麺に卵も練り込まれているの
かな？いずれにしても風味も実にいいです。

これは、ZUND-BARのオーナーにも食べてもら
いたいですね、正路さんも淡麗スープなので
条件は同じですよ。

そして具のメンマ、分厚いのですが口に入れる
とシャキッとして噛むと程よく解れていくこの
感触、味付けも絶妙でこりゃ今まで食べたメン
マの中でも最高の逸品ですよ、メンマなんか手
を抜く店や流行りの穂先メンマを出す店が多い
中でこれは昔ながらのメンマでありながら今ま
で味わったことがない旨さにビックリ、お持ち
帰りして酒のつまみで頂きたい(笑)

チャーシューは鶏のむね肉ですかね、レアぽく
見えますが、頂いてみると、ワッ、柔らかく、
噛むと肉の繊維が解れていきますが肉の旨みと
味付けが実に絶妙です。味のないむね肉を平気
で出す店も多い中で、仕込みの妙技でしょうな
、実に旨い逸品です。

完飲完食、そして感動しました。

塩ラーメンと言えば進化さんですけど、進化さ
んは出汁に魚介など鶏以外の具材も使ってあの
味わい深い塩ラーメンに仕上げていますが、
正路さんのつくる塩ラーメンは鶏ガラの出汁の
みにしてこの絶品のスープに仕上げる大将の腕
は素晴らしいですね、ビックリしました。

こんなに美味しいラーメンのお店にも関わらず
お客さんが少いのは何故かな？ まだ一部のラ
ーメン通にしか知られていないお店だからでし
ょうが、正路さんのラーメンに限って旨いか不
味いかの賛否両論なんて関係ないでしょう、
本物の旨さってこういうラーメンのことを言う
んだろうな、とつくづく思いました。

次は醤油ラーメン食べに来るとしますか。