シェフが変わっても艶やかに咲いていた : ヴァリノール

４年近くぶりに訪問。義理の母の誕生日ランチに。


だいぶ前にシェフが変わってたのに気付いたのは
予約を取ったあとでした。当時のシェフは、少し
創作寄りで、かつ魚の火入れが神がかっていて…
今のシェフはどんな感じなのかなと楽しみに。

まずもって、メニューの見せ方が変わってます。

・アミューズ
・アントレ
・メイン（魚）
・メイン（肉）
・デセール

の献立（\3500）なのですが、メニューでは

・トウモロコシ
・フヌイユ（※フェンネル）
・ビーツ
・パプリカ
・ルバーブ

との表記。使うお野菜で表現するのですなぁ。


①トウモロコシ（アミューズ）
　・トウモロコシの冷製　八角パウダーがけ
　・玉蜀黍ピュレ、フォワグラ、マデラ酒ジュレ

　⇒冷製が非常によい味付け。冷製ポタージュで
　　そのお店の力量・自分との相性が判ります。
　　僕にはちょうど良かった。八角との相性も◎

②フヌイユ（アントレ）
　ウイキョウコンポート、イシガレイ（軽く燻製）
　カチョカバロ、オレンジ。
　ソースはオレンジとペルノー。

　⇒酸味と甘みのバランスよく、サッパリ。
　　イシガレイ、口当たりよいです。

③ビーツ（魚料理）
　明石の鰆（ミキュイ）、ビーツ、クスクス
　ソースは赤ワイン＋ビーツジュース。

　⇒鰆はやや塩分が多かったけど、、、
　　以前のシェフに劣らぬ素晴らしき火入れ。
　　ビーツも複数の種類を使っているのか、
　　色々な"土っぽさ"を楽しめるお皿でした。

④パプリカ（肉料理）
　サガリのロースト、茄子、赤・黄パプリカ
　万願寺唐辛子の肉詰め

　⇒サガリは新鮮な肉味です。で、見事なレア。
　　万願寺の肉詰めは、肉はトウガラシらしいｗ
　　かけてきましたなー。いや、かなり旨いです。

⑤ルバーブ（デセール）
　ルバーブのジュレやコンポート
　ブルーベリーソルベ

　⇒ルバーブがふんだん。
　　酸味は無く、ほどいあまみが付いています。
　　
⑥ミニャルディーズ
　パティシエさんが何と仰ってたか忘れちゃった。
　中にリキュールみたいのが詰まったもので、
　単体として美味でした。クッキーとかより断然。


ということで、以前の創作寄りから、モダン系へ
シフトチェンジしたような印象でした。
が、かなりお気に入りのお店であることは変わらず。
引き続き自分との相性が良いお店なのだと思います。

新宿以西ではかなり有力なフレンチ。
新宿以西…なんて言わずとも、出るとこ出れば
普通に評価される力量のお店と思いますが。
小ぢんまり系ですが、居心地の良さが丁度よく、
カジュアル過ぎないけど緊張感もない。
そんな雰囲気作りをされてるギャルソンお二人が
かなり良い仕事をされてるな〜と感じました。

味の作り方はちょいクリエイティブ系。（？）
シンプルに素材を引き出すというより、あ〜、
これは美味だろうなという組み合わせで若干の
創作的なうまさを産み出す技巧派と思います。

盛り付けも。全ての皿が色鮮やかで、あでやかで
はっきり言って名店かと。日本人好みのフレンチ
と思いますし、個人的にもとても好きな味。

以下の組み立てで１人6000円。
全皿、最高級でした。リーズナブルです。


◽️食前
　ひとまず柚子と生姜のジュースで食欲を刺激。

◽️アミューズ２品
　１つはブラックオリーブのマドレーヌ。
　しっとり温かく、オリーブの香りが強い逸品。
　もう１つは厚岸産牡蠣のボイル。
　グリーンオリーブとトマトで作ったソースの
　発色が目を引く、季節柄うれしい一品。

◽️アントレ①：いわし
　いわしのマリネにチーズを乗せて。
　少量のキヌアにビーツのソースをかけたものが
　土台に。桜チップの上に置かれた容器は、提供
　される時はフタがされており、瞬間燻製を造る
　パフォーマンスで立体的に楽しませてくれた。

◽️アントレ②：アオリイカ
　これはめちゃくちゃ旨いですね。
　朝獲れの五島列島産アオリイカ。実に柔らかく
　ねっとりとした食感。甲殻類のブイヤベースに
　イカスミを混ぜてかけ廻しているが、これまた
　ねっとり円やか、コクがあり…。
　フェンネル等の黄色いソースもオリエンタル感
　を醸し出す、極めて良い仕事をしてました。

◽️アントレ③：たら白子
　北海道の介党鱈白子のムニエル。焦がしバター
　ソースで、じゃがいもチップスを乗せて。
　ほうれん草ソテー、トマトが添えられて。
　じゃがいもが若干のジャンキーさを加えるので
　ちょっと上の家庭料理的な印象。
　野菜と一緒に頬張ると素晴らしい一体感。

◽️メイン①：ヒラメ
　こりゃあ、最高に旨いわ。
　５日熟成させた五島列島産のヒラメに、トマト
　コンフィ、ちりめんキャベツを乗せて。
　ヒラメのなんたるフワフワさ。綿を口に入れて
　いるような食感というか、見事なシルキーさで
　崩れていく。身の味も最大限引き出せているし
　本当に素晴らしかったです。

◽️メイン②：丹波黒鷄
　丹波黒鷄を３つの部位で、インゲン豆も乗せて。
　むね、もも、ささみの炭火ローストです。
　これもめちゃ旨いです。モチモチの肉質が最高。
　絶妙の火入れにより、ぷるんとした歯応えを
　思う存分に堪能できますね。
　２種のソースがまた良くて。
　クランベリーソースと、鷄スープにマデラ酒、
　白ワインを使ったソース。これかなり旨いよ。

◽️デセール①：林檎
　林檎のタルトタタンを崩して成形したような。
　パイ生地にヨーグルト。爽やかに口直し。

◽️デセール②：シトロン
　銀座のアポロで食べたようなレモンスイーツ。
　でも、リモンクリーム、塩使いのメレンゲ、
　バジルと、あちらより酸味が強く甘みは控え目
　で、食べやすいと思った。

◽️ミニャルディーズ
　ミニシュークリーム。甘みが良い感じで、
　これで締められるのは良いなと感じた。

◽️ハーブティー
　カフェイン控え中の妻とハーブティーを。
　なんだか素晴らしい抽出と思えました（＾ω＾）


アントレは量が控えめで、ひょっとしたら少し
足りないかと思いましたが、メイン２皿は予想
よりもボリュームがある感じで腹八分に。
まさか荻窪の線路沿いにこういうお店がある
とはな〜。
非常に良かったので、またお邪魔したいです。
いや、是非にもお邪魔します。