【見事に受け継がれた美味しさのDNA…】 : 鮨 しゅん輔 阿佐ヶ谷

実は阿佐ヶ谷にあった『なんば』さん時代に今回の鮨店『しゅん輔』の大将となっている高岡俊輔さんには会っている。
2年半前のレビューを読み返してみると、握りは難波さん、最初のオツマミを現大将俊輔さんが出してくれたことを書いている。

彼がこの店の大将になってからは初訪問。
ぐんぐん評判が上がっていたのを、あちらこちらから聞いていた。

「前は個室で3年前くらいですよね」となんとなく覚えていてくれたみたい。

ビールで喉を潤した後、まずはお通しの
「あさりだしと海苔の茶碗蒸し」…相性が良いので途中で山葵を落として味変でいただく。温かで滋味たっぷり。胃を優しく包んでくれそうなメニュー。

ここからしばらく、　オツマミが続いていく。
「干し鰈」…塩でいただく。ときしらずはわさびかそのままでいただく。

「軽くスダチ落としてあるイカ」…ひとつをそのままいただき、イカの甘さを楽しみ、もうひとつは山葵でいただく。何もつけない方がイカの甘さを堪能出来ると思う。

「バイ貝の酒蒸し」…ぷりっぷりのバイ貝。

「ボタンエビ、昆布締め、エビ味噌と」…まったりと美味しい。なんばさん時代からのスペシャリテ。

「マナガツオ」…西京味噌をつけて炙ったマナガツオ。目をつぶったら魚というより貝にも近いまったり感。

「シマアジを大葉、胡麻、ガリで細かく刻んで」…見た目はなめろう的だが、食感と風味のそれぞれ素材が活きている。

「蒸し鮑、山椒で巻いている鮎」…
蒸し鮑も柔らかく美味しいがそれより味の強い鮎が勝つのはちょっともったいない気もした。一緒に並べなくてもよかったのに…別々に食べ方が幸せなのにと思ってしまった贅沢な時間。

「太刀魚」…身も柔らかく、脂も乗りも良い。


ここから握り。
「石垣貝」…茨城より北で獲れる貝。形はとり貝に似ているが真っ白な色をしている。今日は三陸のモノだそう。初夏が旬ゆえ出してくれてありがたい。

「白イカ（＝剣先イカ）」…これも夏が旬。
外側をはいで、中の甘いところだけを食べるようにしてくれている。ほんと甘くて美味。

「えぼ鯛の昆布締め」…まったり美味い。

「マグロ赤身」…キレイに整った味。

「中トロ」…とろける…美味しいなぁ。

「シンコ」…出て来ると嬉しい夏の江戸前寿司の主役。何だかこれを食べるために夏の寿司屋に来ている気持ちもあるし、この店のシンコも贅沢に4枚づけ。そして酢の効きは程よく強くなく極上の味。

「アジ」…赤酢メシとのコンビでモチっと美味しい。

「新モノ塩いくらを木製スプーンで」…これも塩味薄めであっさりと上品に美味しい。

「穴子」…甘めの煮切りをつけたふわっとした穴子と赤酢めしとの組み合わせが絶妙。

「車海老」…ぷりっぷりの柔らか海老はなんばさん同様相変わらず美味。鼻から抜ける香りまで絶品。

「うに海苔巻き」…利尻産雲丹を巻物全体に乗せ少なめの酢飯と一緒に巻いた一品。美味しくないわけがない。

「玉子」…海老のすり身の入った玉子焼き。〆に合う甘さ、柔らか優しい食感で溶けていく。

ちょっと食べたかった干瓢ワサビ巻きを追加しようか迷ったが、お腹と相談して今回は諦めた。既にお腹いっぱいで無理、と。

前菜・ツマミ10品、握り12貫の高岡俊輔ワールド。これで税込2万円は当時の「なんば」同様、地元価格か。阿佐ヶ谷近くに住んでいたら、月イチでは確実に行きたいくらい。
あ〜、美味しかった。

阿佐ヶ谷の「鮨なんばハナレ」へ。僅か7席の小宇宙。
ここはなんばが日比谷ミッドタウンへ移転すると使わなくなる空間になるんだそう。
元の12席ある「なんば」はそのまま二番手の高岡さんが切り盛りする予定。

今回はおつまみを高岡さんが出してくれた。
「カブと柚子の茶碗蒸し」…細かな柚子が乗り、繊細かつ爽やかな味。胃袋を優しく刺激し戦闘準備にさせてくれる一品。ゆっくりじっくり食べたいが美味しいので短時間でペロリ。
「煮ダコ」…神奈川佐島のタコ、柔らかいだけでなく旨みがスゴい。
「岩手大船渡の牡蠣」…ふわっと口に膨らむ風味は
「子持ちヤリイカ」…ふくよかな味、なんだろう、ここまで美味しいのも珍しい。

「あん肝、アオヤギ、エビ」…隣の人たちは完全に酒のアテにチビリチビリとやっている。
あん肝甘く、ワサビとも相性良く、アオヤギコリコリ、海老ぷりぷり。

「焼き穴子」…〆に出てくる穴子とは全く違う食味を味わう。歯ごたえを感じつつ穴子らしさを楽しむ。

「キンキの煮付け」…まずはキンキの身をいただく。甘みの出た出汁が至極美味い。
そこに赤酢飯を投入すると甘い出汁が酢飯でビシッとしっかり締まる。何とも美味しい一品。

ここで、大将の難波さんにチェンジして、握りスタート。
「鯛」、「スミイカ」、「カスゴ」…鱗、皮を全く感じない処理は見事。
鴨川で上がった「鯖」、「シラウオ」…ギリギリのバランスの茹で具合。
「アワビ」…食感柔らかく、甘みも絶品。
下田の「マグロ」…艶っぽい。
大間冷凍の「トロ」…えええ？これが冷凍？それを感じさせない丁寧な戻し方での旨さ。

5日寝かせた「コハダ」はふっくらとした感触。

「カワハギ&肝」、は相変わらずのたまらん絶品。
「鯵」…脂もちょうど良い乗り具合。
「うに」手巻き…海苔も酢飯も平川水産の甘いウニもナイスバランスでめちゃくちゃ美味しい。

瀬戸内海西端の大分の姫島の「車海老」。海の好漁場で『姫島車えび』はブランド。毎年10月下旬に『姫島車えび祭り』が行われる名所。ぷりっぷりの食感と歯応え、鼻から抜ける風味、口の中に残る余韻、全て最高で、食べることが本当にありがたい、と感じる。

「河豚の白子」…こんな大きな白子、見たことない。。おそらく7、8キロの河豚のモノだとか。。まずはごはんと白子をグチャグチャに混ぜて半分いただく、続いて出汁をかけて茶漬け風に半分。クーっ、、たまらない美味しさ。ヤバイです…お代わり欲しいくらい。

「穴子」…ふわっふわっ。とろける感覚。それでも今は対馬のモノを使っているが、本当は梅雨時の江戸前が最高だと大将。うわぁ、そう聞いたら絶対梅雨時食べたい、来たいと思ってしまう。予約取れないよなぁ…。

そして最後の〆は「海老のすり身の入った玉子焼き」…甘み抑えめ、優しい食感。主張し過ぎず、さりげなく控え目な玉子に感服。

そう。先月に続き、友人の好意によりラッキーにも予約困難店への訪問が出来た。
大満足の3時間半近くに及ぶ会。
誘ってくださった方に感謝。そして大将難波さんと、高岡さんに感謝。

3月末大将は活動拠点を日比谷ミッドタウンへ移す予定。
なかなかチャンスのなかった阿佐ヶ谷の「鮨なんば」さんに、日比谷に移る直前に知人のおかげで滑り込み初訪問出来た。

握る大将の真ん前に座らせてもらえた。しばし軽くお話ししつつ、①「白子のスープから」。そしてツマミ系が続く②「鰹」、③「アオヤギ」…食感がぷりサクっとふくよか、④「牡蠣」は滋味深い旨み。
⑤〜⑦「あん肝、カラスミ、蛸」の3点盛り。ちびりちびり食べる…。これはお酒が進むし、この蛸の柔らかさといったら表現出来ないくらい。さらに⑧「穴子」と続く。

そして握りが❶「小鯛」からスタート。大将からかなり出しますけど、大丈夫ですか？の声がかかる。「よし、頑張ろう」と気合を入れて臨む。赤酢のすし飯、固さもベスト、小ぶりなのも食べやすくて嬉しい。

おっと、気合い入れたらツマミに戻り⑨「平貝の磯辺巻き」。海苔のパリパリ感までご馳走。

握りが2貫、❷「鯛」、❸「鯖」
⑨「蕪と柚子の茶碗蒸し」、握りの❹「すみイカ」
再度ツマミで⑩「キンキの煮付け」…この出汁、甘みが出て美味いのなんの…。

❺「マグロ」…うん、うん唸って言葉がない…。
❻「城ヶ島のアワビ握り」…あの昔よく遊びに行っていた城ヶ島でこんな上玉が獲れるなんて、ビックリ。イカやクロダイ、スズキ、メジナが取れることは知っていたが、こりゃスゴイし、柔らかく香り高い。鼻腔に抜ける空気まで幸せ。
❼「トロ」…大間のマグロ、159キロ。脂を和らげる為に酢飯の温度を少し上げるキメの細かさ。もともと帽子被ってないけど、脱帽。
❽「蒸した宍道湖白魚」…ホロっと崩れるギリギリまで蒸した白魚。これまた繊細な一品。
❾「鰤漬け」…見た目も艶やかに美しく、味もなんとも上質。
➓「コハダ」、(11)カワハギ…口の中で溶ける肝と一緒に。自分も溶けて行く。
(12)「サヨリ」、(13)「鯵」、
(14)「雲丹」…美味しい海苔とこの絶品ウニの組合せは、本当に贅沢な味。
(14)「車海老」…泡吹く生きた車海老に対面後、キレイに茹で上がった美人な海老ともご対面。これがぷりっぷりの食感で、口の中が相当リッチな気分に。
(15)「穴子の握り」…トロける穴子。
(16)「玉子」…甘さも固さもちょうど良い。

そしてアンコール、1貫目はマグロの巻物、と言うか太巻きサイズ。
アンコール2品目は意外にも「ケンズカフェのガトーショコラ」。これは大将のシャレで出してくださったオマケ。

途中、何回も「お腹入りますか？」と心配して下さったが、意外にもペロリンと行けてしまった。なんでだろ、美味しいからは当たり前なんだけど、なんだか「よろにく」でたくさん食べてももたれないのと食後感が似てる。
ご馳走さまでした。日比谷の店は難波さんがやりたいことをもっとビビットに出来るように席数を減らすそう。ヤバイな、これでまた席がさらに取れなくなる。