阿佐ヶ谷の蕎麦屋帰りの定番 : ジェラテリア シンチェリータ

　蕎麦屋の「達吉」に寄った帰り、かつてはバスが往来していた「松山通り」の商店街を北に向かう。
　お目当ては過去何回か訪れている、人気のジェラートショップである。
　阿佐ヶ谷には私のお気に入りの蕎麦屋が数多く点在しているが、その帰りに必ずと言って良いほど足を運んでいるのがこちらである。

　少し前まではカップ詰めのテイクアウトだけにしていたようだが、現在は営業時間を短縮して＇食べ歩き＇のスタイルでも再開している。
　しかし店内のイートインコーナーは使用不可で、店内に入れる客も一組ずつに限定している。
　フレーバーも普段より幾分少なめのラインナップとなっており、客はショーケースの前であれこれ選ぶのではなく、店頭に置かれたメニューから予め注文を決めて購入させるスタイルを取っている。
　店頭には子供連れなど2組ほどが居たが、混んではいなかったのでほとんど待つことは無かった。

　私は色のコントラストや写真栄えも考慮して「ピスタチオ」と「フランボワーズ エ ショコラ」の2種をコーンでもらう。
　カップの方が食べやすいのだが、私は子供の頃に食べたアイスクリームに添えられたウエハースへの郷愁から、サクッとした食感が楽しいコーンが好きだ。

　小さなコーンに高さを持たせて、左官屋さんが鏝を扱うように盛られて手渡される。
　通常は2種盛りは540円だが「ピスタチオ」を選択すると180円プラス、またコーンは60円の加算となるのでトータル780円となった。
　歩きながらでも良かったのだが、もたもたしていると垂れて来そうなので、店頭に置かれたベンチに座って突き刺さったスプーンで食べ始める。

　選りすぐった素材を自家焙煎してペーストにしたという「ピスタチオ」は、香りとコクがあって美味しい。
　「フランボワーズ」は深紅の色合いと、甘酸っぱさが好ましかった。
　相変わらずの美味さに大いに満足。

　ここから現在バスが走っている「中杉通り」に出るには訳なく、すぐにやって来た中村橋行きに乗って帰路に就いた。
　こちらにはこれからも蕎麦屋とセットで訪れることになると思う。

　蕎麦屋の「一栄」を後にして中杉通りを渡り、少し入ると旧道の松山通りに出る。
　ほんの1.2分でこちらの前に到着。
　実は今回、阿佐ヶ谷の数ある蕎麦屋の中から「一栄」を選んだのは、帰りにこちらに寄るには一番近いからと言う理由も有った。

　こちらには前回のレビュー以降も季節を変えて数回訪れているが、書き込みは約2年振り。
　この暑さながら時刻はまだ1時頃のため、お客は疎らの状況。
　いつもはコーンを選んで、帰りの道すがら歩きながら頬張っていたが、今回はテーブル席が空いているのでゆっくり出来そう。

　ショーケースの向こうの女の子に＇おすすめ＇を訊ねると＇今の時期はフルーツを使ったものが美味しいですよ＇という答え。
　選んだのは味とともに彩りも考えて、「ネクタリン」と「アップルミントミルク」の2種をカップで注文。
　これをテーブルまで運んでくれた。

　まずパステルカラーの色合いを愛で、その後に丹念に味わって行く。
　ネクタリンは皮ごと砕いており、甘酸っぱい風味が生きている。
　青リンゴとミントは爽やかな香味で、こちらも上々の仕上がり。

　相変わらずの安定した仕事ぶりを確認。
　私のような年代の男性客でも、臆することなく立ち寄れるチャーミングな店である。
　

　日曜日の3時過ぎ、「薫屋」を出た足で「松山通り」を阿佐ヶ谷駅へ向かう。
　200mばかり進んだ左側に、こちらの店が見えてきた。

　此処はこの近辺では、知らない人は居ないジェラート専門店。
　多くのマイレビュアーさんの書き込みにも高評価が見られ、一度寄ってみたいと思っていた。

　休日のこの時間なので混んでいるかと思ったが、確かに店内の脇のベンチ席は、家族連れなどで一杯だったが、ショーケースの前に人だかりは無かった。

　こちらは月毎に、5.6種類の季節に応じた新作を入れ替えており、旬の色や香りを楽しめることが魅力の様だ。
　今回は初物の岡山産の白桃を使った「ぺスカ」、それにこれも今が時期の淡いピンク色が美しい「ルバーブ」の2種類を、コーンに盛ってもらった。

　白桃の香りが芳しいぺスカ、独特の酸味と細かな繊維の存在も感じられるルバーブ、どちらもなかなかの美味さ。
　どことなく、ベニスの海辺で食べた味が思い出される。
　季節の味を楽しみに、これからも時々寄ってみたいと思う。