いいお店でした♪ : 洋食小料理屋　ディディ ワン ディディ

全国的に若者の街として有名な1年中賑やかな下北沢、そして商店街が充実、しかもスーパーが3つも駅の周りにある梅ヶ丘に挟まれ、実に何もない街、世田谷代田。そんな外食に出かけられるお店もあまりない地元に、先月出来たばかりのこのお店、隣町に住む友人と訪問。

開店の6時を30分ばかり回ったお店、雨の週半ばの平日ということもあってか、我々がこの日初めての客。
友人が到着するまでの間、お店の女性の方(あとで名刺をいただいたが、店長さんであった)と「何もない街世田谷代田」について雑談したら、地元の御客様からすでにいろいろな情報を聞いているようで、すぐに話が弾んだ。下北沢にあるお店の2号店というお話も伺った。
そして友人到着。お通しが出るけれど、苦手なものはありませんか、と聞いてくれ、又、お勧めメニューを説明しながら、さりげなく友人が置いた雨に濡れた折りたたみ傘を丁寧に丁寧に畳んでくれていた。こういう女性らしい気遣いは嬉しい。

最近は物忘れも加速し、写真を撮っても、はてなんだっけ？？とお店の方の説明やメニュー名を忘れてしまうので、今回は店長さんに、出していただいた品のメモ書きをお願いしたら、快く応じてくださったので、それを元に記述。

お通し(500円)
　　　　　そら豆のコンフィとパルミジャノ
　　　　　ホタルイカとアスパラとトマトのマリネ
　　　　　鶏出し汁で炊いた竹の子
これが少しずつだけど、綺麗に３種盛りとなって出てきた。まさにどれも春を感じるものでGood!

ロールキャベツパテ　(950円)
　　豚と鶏レバーのパテを春キャベツで巻いたもの。とてもボリュームもあり、美味しかった♪

エビパン　(980円)
　　参宮橋の有名なタルイベーカリーの食パンをカリッと焼き上げた中に、芝海老の真丈をサンド。パン好きの友人も大満足。

5種のチーズの土鍋リゾット(1500円)
　　お店のお勧めが土鍋を使ったリゾットだという事で、3種のリゾットのメニューから、これをチョイス。
　　コンテ、ミモレット、ゴルゴン、パルミジャーノ、タレッジオのチーズが土鍋で炊いたごはんに混ざってる。特筆すべきは、チーズはもちろんだけれど、ご飯1粒1粒がパラパラで、何とも言えず美味しい。ご飯がねばっとしていないので、チーズがご飯の粒の周りにコーティングされたようになっていて、口の中でホグホグとチーズ本来の風味を味わう事が出来た。思わず、ご飯美味しいですね、と言ったら、なんでも様々な土鍋で炊き加減を試行錯誤したのは無論、このリゾットに合うお米を、お米屋さんと相談しながら選んだそうだ。う~ん、やはり研究してこだわって提供されるものは、風味の奥行きが深い。次回はほかのリゾットも食べてみたいな。

あまり飲まない我々、ドリンクは1杯ずつ、食後にデザートが欲しかったのだけれど、この日はたまたま無くて、一人当たり3000円と40円。(メニューの金額は外税)

あとから続けてお客さんが入ったほぼ満卓のお店を一人で切り盛りするホール担当の女性店長さんは、可愛い笑顔を絶やさず、接客は最後まで非常に感じのいいものだった。

さて、地域密着型のお店を目指しながらも撤退していくお店が多い、なかなか飲食業をやるには激しい世田谷代田、こういうきちんとした料理を出す感じのいいお店はぜひこの地で繁盛店となって続いて欲しいことを心から願うのだけれど、街を歩く人も非常に少なく、歩いているのは住民だけ、という、人の集まる賑やかな下北沢とは全く環境の違うこの街の特殊性を考えると、地域住民によほどリピートされないと非常に商売は厳しい。
ざっとメニューを見た限りでは、家族で通うダイニング使いとなると、ちょっと値段が張るかなあ。
友人と軽く飲んで食事も、、的な使い方なら、一品一品、とても丁寧に作られていてどれもとても美味しく、CP的には何も問題ない。お手頃な値段だと思う。でも友人と割り勘ではなく支払う財布がひとつの家族で食事を兼ねて頻繁に気軽に行けるかと言うと、飲み目的ではなくても一人税をいれると540円のお通し代がまずは人数分かかってしまう。気軽に飲みたい人には、手の込んだお通し500円はむしろ安いが、気軽に食事目的で寄りたい家族連れは頻繁には通えない。
夕飯の場所と考えると近くのベビアモーチスーやフォルクスはもう少しCPがいいし、家族連れも入りやすい連日地元客で繁盛している居酒屋『ケムリ』は単価的には安くてお腹いっぱいになれるメニューがたくさんあるので、もう少し単価の安いメニューや、コジャレてなくていいので食事代わりになる気軽に頼めるメニューを増やした方がリピート率上がっていいと思う。
ダイニング系の洋風居酒屋としては味もいいし決して高くないし何より女性店長さんの笑顔が素晴らしくて充分いいお店だと思う。でも、飲み屋を探すフリーの客はまず通らない地区なので、もう少しだけ手軽な食事系メニュー充実させて、地元のお腹の空いた学生や会社帰りの住民があの店長さんの素敵な笑顔を見に頻繁に通える路線の方が定着する気がするのは私だけかな。
事実、駅前という立地条件がいい場所に、飲みを全面的に打ち出したお店は昨年も二軒あった。常連さんもついて食事メニューもいくつかあるのは看板でアピールしていたけれど、食事メインではなんとなく入りづらそうな雰囲気で、結局両者とも撤退してしまった。もっと昔には居酒屋もあったのだけれど、そこもダメだった。一方で夜の駅前のコンビニは家で食べる夕飯を求める人で電車が着く度に大変賑わっている。お腹を空かせた自炊しないような大勢の人が毎晩この地に帰ってくるのである。
有料だけど美味しいお通しが出てくる雰囲気も味もいいバー的要素が強いお店よりも、お通しはつかなくてもお手軽な食事メニュー豊富でお酒もついでに飲めてCP良く気軽に頻繁に通えるダイニング的なお店こそが望まれる気がする。

もっともまだ開店したてなので、お店の方向性やスタイルはお客さんの反応を見ながらまだまだこれからいくらでも変わっていくのだと思うし、地域に愛される店とはそうやって育って行くんだろうな。
駅周辺の再開発工事終了と共に生まれ変わろうとしている過渡期の世田谷代田の住民が気軽に集えるお店として繁盛していってほしいなと心から思えるお店です。

店長さんの素敵な笑顔と寡黙そうだけどきちんとした料理作る若いシェフのこのお店、このへんでいいお店を探しているかた、ぜひ行ってみてくださいね。