”NEW　YORK STYLE” : ベアポンド エスプレッソ

なんとなく、珈琲屋さんを並べてみたくなりまして・・・。

本日ご紹介しますのは、下北沢Bear Pond ESPRESSO。

現在エスプレッソの流れは、スタバなどに代表されるシアトル系と
ザネッティなどのイタリア系とに大別されてますが

こちらのエスプレッソは、そのどちらにも属さない。

”どちらかというとシアトル系”ではありますが
味わいや方向性は全く別物だと感じました。

オーナー田中さんはニューヨークで20年バリスタとして活躍し
ここ下北沢の商店街の一角に当店をオープン。だそうで

店の作りも、カフェともイタリア式のバールとも
一線を画す独自のスタイルでとっても面白い。

”ニューヨークスタイル"

まず店に入って驚くのが、床の多さ。笑
そして無機質、、ていうのかな

壁に沿って簡易式のちっこいテーブルと椅子
窓際にベンチ、以外は床なんですよ。

かといってバールみたくバンコがあるわけでもなく。
6坪ぐらいの店内は、10人も入ればまぁパンパン。
6人は立ちでね、みたいな。

床はコンクリート打ちっぱなし。
壁には白いペンキが塗れており、見上げると木が組まれた天井。

ショーケースには、プレッツェルやアメリカの空港でよく見かける熊ん形したグミなど。

メニュー構成も至極シンプルで
エスプレッソを使ったカプチーノにラテ、マッキャートなど数種類のみ。

それに、エスプレッソトーストなるものがあるようですが

メニュー数は多いほうが良いんでない？という昨今の概念に逆行。。
このストレート感、というか方向性大好きです。

この日は、エスプレッソとカプチーノ
それに、アイスのカフェラテをオーダーしました。

ここのアイラテは独特。
まず、氷の入ったビンを冷凍庫で凍らせておきます。

オーダーが入るとその中に直接エスプを抽出。
次にミルク(タカナシ3.6)を６分目まで注ぎ

振るんです！シャカシャカというよりは、、グリングリンとね。

蓋をとって「はいどーぞ。」

供されたアイラテは表面にワシャワシャと茶色い泡。
それに、、全体をなじませたことでキンキンに冷えてんの。

これが、とっても美味しい。
エスプレッソの角がとれてコクのあるバランスの良いカフェラテ。
もともと、イタリアには「アイスカフェラテ」なんてものはなく
シアトル系独特の商品ですが、ここのエスプレッソはミルクとの相性がとっても良い。


次に、エスプレッソ。

マシーンはホワイトのマルゾッコ2連。

”万人に愛されたいとは思わない。
ごく少数の人に、病的に愛されたい。”

わたくしが愛して止まないデザイナーキャロル・クリスチャン・ポエルの言葉ですが

そんな感のエスプレッソ。

ミルサーからこんもりと多めの豆をドーシング。
1回目のタンピングで軽めに押さえて均す。
それを作業台の上にガンと打ち付ける。

そして2回目。体重かけて強めにタンピング。
３０キロ近い負荷がかかってる模様。

抽出ボタンを押すと

案の定点滴のように滴るエスプレッソ。
単なる抽出過多ならポタポタ。。

けどここのは、ボトッボトッって落ちてくる。
圧を強めに設定してあるのか尋常じゃない力で抽出されてるような。。

広尾のマキネスティと抽出の仕方が似てる。

こうしてゆっくりとそしてじっくりと落とされたエスプレッソは20ccほど。

表面にクレマはなく、濃い茶色のエスプレッソ。

そもそもエスプレッソそのものを楽しむように淹れられたイタリア系のエスプレッソに比べ
ミルクと合わせる事を前提としたシアトル系のエスプレッソは豆の煎りが深く
エスプレッソそのものはローストの香りが強すぎて余りお勧めできるものではありません。

ただ、ここのエスプレッソは、それ以上に、独特。
エスプレッソそのものが物凄いインパクトを舌に与えてくれます。

ローストや雑味によるインパクトではない

"スパイシー"

一般的なエスプレッソは酸味・苦味・渋み
そしてローストや豆の香りなんかの総合で味を判断してますが・・・

まずはそのまま。１秒後に舌を一瞬でかけめぐるような強い刺激が広がって、次の瞬間酸味を感じる。

最後に後味としての苦味。
これまで感じてきた雑味はないんだけども
不快な刺激が残るのがなんとも･･･

砂糖を入れると、ほんとにシロップのような。
これで少し平静が保たれるかなと。

前知識があれば良かったけど
いつものノリで飲むとびっくりします。笑

最後にカプチーノ。

これはシアトル系のように、やや大きめのカップにエスプを抽出。

ミルクのスチーミング。丁寧に泡立て。14秒程でしたが
ミルクの泡立ては控えめ。大理石で出来た専門の台にジャグをコンと打ち付けると
表面の泡の層が薄いもんだから上にミルクが飛び散る。

「だ、大丈夫？」

供されたカップの表面には綺麗なラテアート。

このアートはとっっても難しくて
長きに渡って身に付けられた熟練した技術が見て取れます。。

んで、一口。やっぱり･･･泡が・・・うっすい。

一般的にカフェラテと呼ばれてる部類。んで、ミルクの温度が高い。
供されて写真とって飲む時点で70℃弱だったと思います。

とは言え、エスプレッソとミルクの味わいは程よくて良い感じに仕上がっていました。

てな感じで、エスプレッソは個性的過ぎて余り口に合わず。
好きな人は好きだと思いますが。

アイスのカフェラテは美味しかった。お勧めします。
カプチーノは、カフェラテだど思えば美味しく頂けると思います。

ただ

なんとも、居心地が悪い。

田中さんご本人が完全な職人気質。
店のスタイルとして、ホスピタリティという概念があまりないような･･･

エスプレッソに拘り抜いたのはわかりますが
6坪程度の個人店であれだけ温かみがないと不快にすら感じてしまいます。

テイクアウトならありかな。

あ、もう一度エスプレッソ頂いてみます。

ご馳走様でしたー