こちらは週末だけの営業。長年の懸案店をついに訪問 : くりはら

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3.8

¥3,000~¥3,9991人
  • 料理・味4.0
  • サービス3.5
  • 雰囲気3.8
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク3.5
2018/06訪問1回目

3.8

  • 料理・味4.0
  • サービス3.5
  • 雰囲気3.8
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク3.5
¥3,000~¥3,9991人

こちらは週末だけの営業。長年の懸案店をついに訪問

 梅雨空模様の土曜日の昼、長年懸案だったこちらの蕎麦屋を訪れる。
 かなり前からBMしていたものの、週末のみ(土・日の昼、金・土・日の夜)の営業のため、なかなかタイミングが合わなかった。

 場所は下北沢の北口から、鎌倉通りという古い道筋を笹塚方向に7.8分歩いた所で、ほぼ住宅地の真ん中と言った立地。
 3階建てのやや歴史を感じるビルの1階に入っているが、この建物全体が自己物件のようだ。
 
 ご主人は元々趣味で蕎麦打ちを始めた方で、使用する器も自ら作陶するなどの話題性もあり、オープン当初はマスコミに登場する頻度も多かった。
 下北沢駅周辺には最近注目店が次々と誕生しているが、こちらは開店から15年以上にわたり、年配のご主人夫妻が変わらぬペースで商売を続けている。

 時刻は開店から間のない、12時を少し回った頃。
 混んでいるかなと言う予想に反して、先客はカウンターに2名と言う状況。
 店内は木を多用した、温かみのある空間が広がっている。
 'どこでもどうぞ'というご主人の声に、ホール中央に2つ置かれた大テーブルの一方の隅の席を選ぶ。

 まずは生ビール(ヱビス樽生)をもらう。
 お通し(これは客全員に出されるようだが)に「揚げ蕎麦チップス」が付く。
 
 卓上に置かれたプレートには、食材についてのこだわりが綴られている。
 蕎麦粉は主に茨城県桜川市の「常陸秋そば」を使用し、それを電動石臼で注意深く挽いているとのこと。
 これを水だけで打つ'十割'だが、加える水にも茹で上げる水にも気を使っている。
 さらに「つゆ」に使用する醤油や、出汁を取る鰹節も厳選していることが記されている。

 品書きは一枚に纏められており、蕎麦は「盛り」一種類。
 肴類は結構豊富で、いずれも魅力的。
 その中から特に気になった「珍味三種盛り合わせ」(500円)と「春巻二種」(600円)を選択。

 「珍味」の内容は次の通り。
 「豆腐味噌漬け」:大根の薄切りの上に盛られており、甘みは少ないがまったりとした食感はクリームチーズを思わせる。
 「鱈子ニンニク和え」:ほぐした塩漬け鱈子をニンニクの摺り下ろしと青葱で和えたもので、バジルの葉が一枚添えられており、面白い食感と味わいが酒に合う。
 「柚餅子」:こちらも自家製で、毎年100個ほどは仕込むとのこと。薄くスライスして供された。
 若い人は「柚餅子」自体をご存じない方も居るだろうが、身をくりぬいた柚子にもち米と味噌や砂糖を混ぜて詰め、蒸し上げた後で風に当てて乾燥させた、古より伝わる保存食である。
 地方により多少製法に違いがあり、クルミを混ぜたり味噌の種類や砂糖の量のなどの変化で、お茶請けにも酒の肴にもなる。
 こちらは味噌は「八丁味噌」のようで、漆黒の色合いと独特の渋みが好ましく、酒に合うように糖分が控えめなのも嬉しい。

 「春巻き」は具材にエビ・イカ・ホタテが入ったものと、鶏胸肉でグリーンアスパラを巻いた2種類。
 注文が入るごとに、女将さんが丁寧に巻いて油で揚げる。
 和風の趣で、塩で味わうとパリッとした歯触りと素材の旨味が楽しめる。
 いずれにもきちんとした仕事が認められ、内容からすれば値段は良心的。

 酒は新潟の「鶴の友」が数種類用意されており、その中から「純米」を選ぶ。
 ご主人お手製の洒落た片口で供され、ぐい飲みも客の好みで選ばせるシステム。
 これらで暫し寛いだ時間を過ごす。

 酒が尽きかけた頃「盛り蕎麦」を注文。
 微粉をやや太めに繋いだ綺麗な麺線。
 しっかりした歯ごたえで十割のため滑らかさは少ないが、噛みしめると香りと味が溢れる。
 
 つゆは濃いめでやや醤油の尖りが気になるが、甘さを排した直線的な味わいがこちらの蕎麦に合っている。
 陶器の水差しで出される蕎麦湯は、多少白濁しているが嫌らしい粘度が無いため、気持ち良く伸びてすっきりと〆られた。

 葱などの薬味を付けないのがこちらの流儀のようだが、卓上には「一味唐辛子」が置かれており、メニューの'蕎麦に直接振りかけると風味が引き立ちます'の添書きはちょっと意外。
 もり蕎麦に七味などの唐辛子を振りかけるのは、江戸前蕎麦屋では昔から間々見られた食べ方で、今でも江戸っ子気取りでこの方法を試す人も居るようだ。

 しかしこれは蕎麦屋が自家製粉などを始める以前の習慣で、その頃は新蕎麦が出回る時期に挽いた粉を纏めて仕入れて翌年まで使用するのが一般的で、次第に香りが失せていく蕎麦に風味を添加するための方策であったもの。
 最近の蕎麦屋では挽きたての香りの良い蕎麦粉が何時でも手に入るため、卓上の唐辛子は専ら温蕎麦用で、香りを重視する「もり」などへの使用、増してや蕎麦に直接振りかける手法はお勧めできないと言う考え方が現在では通説となっている。
 
 こちらでは敢えてこの食べ方を推奨しており、私も試しに最後に直接「一味」を少し振ってみた。
 正直言ってあまりピンとくるものは無かったが、供えられているのが一般的な「七味」ではなく「京一味」である点に、一理あるのかも知れない。


 高齢のご夫妻がマイペースで営んでいる感が強く、料理の出はゆっくり目。
 しかしその分丁寧な仕事は貫かれており、決して趣味の延長などでは無いことを確認。

 今回は天候のせいか空いていたため、それほど時間がかかった印象は無かったが、立て込んでくると待たされる状況も懸念される。
 しかしBGMにショパンが流される中、ゆったりとした気分で楽しむ「蕎麦屋酒」は快適である。

 住宅地の中で近隣住民に愛されてきた、独特の存在感を示す佳店である。
 これからも体調を考慮されて、末永く続けられることを願う。

  • くりはら - 「珍味三種盛り合わせ」

    「珍味三種盛り合わせ」

  • くりはら - 生ビール・蕎麦チップス

    生ビール・蕎麦チップス

  • くりはら - 豆腐の味噌漬け

    豆腐の味噌漬け

  • くりはら - 鱈子のニンニク和え

    鱈子のニンニク和え

  • くりはら - 自家製'柚餅子'

    自家製'柚餅子'

  • くりはら - 「春巻き二種」

    「春巻き二種」

  • くりはら - 「エビ・イカ・ホタテ」入り

    「エビ・イカ・ホタテ」入り

  • くりはら - 「鶏胸肉とアスパラ」入り

    「鶏胸肉とアスパラ」入り

  • くりはら - 冷酒「鶴の友 純米」

    冷酒「鶴の友 純米」

  • くりはら - 選べる盃・ぐい飲み

    選べる盃・ぐい飲み

  • くりはら - 「盛り蕎麦」一式

    「盛り蕎麦」一式

  • くりはら - やや太めの十割

    やや太めの十割

  • くりはら - 蕎麦を手繰る

    蕎麦を手繰る

  • くりはら - メニューに記されたとおりに「一味」を振って

    メニューに記されたとおりに「一味」を振って

  • くりはら - 蕎麦湯入れ

    蕎麦湯入れ

  • くりはら - 蕎麦湯は自然体

    蕎麦湯は自然体

  • くりはら - 品書き

    品書き

  • くりはら - 食材へのこだわり

    食材へのこだわり

  • くりはら - 卓上の調味料

    卓上の調味料

  • くりはら - 店内

    店内

  • くりはら - 外観

    外観

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蓼喰人

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店舗情報(詳細)

店舗基本情報

店名
くりはら
ジャンル そば
予約・
お問い合わせ

03-3466-7980

予約可否

予約可

住所

東京都世田谷区北沢4-16-10 1F

交通手段

小田急線、京王井の頭線下北沢駅西口より鎌倉通りを北に徒歩7分右側
京王線笹塚駅南口より鎌倉通りを南に徒歩8分左側

下北沢駅から592m

営業時間
  • ■ 営業時間
    [土・日]
    昼 12:00~15:30(ラストオーダー14:30)
    夜 18:00~22:00(ラストオーダ-21:00)

    ■ 定休日
    営業は土・日のみ(全休の週もあるので要問い合わせ)
予算

¥2,000~¥2,999

¥1,000~¥1,999

予算(口コミ集計)
¥3,000~¥3,999 ~¥999

利用金額分布を見る

支払い方法

カード不可

電子マネー不可

席・設備

席数

21席

(大テーブル(最大8席)/×2台&カウンター5席)

個室

貸切

(20人以下可)

禁煙・喫煙

全席禁煙

駐車場

空間・設備

落ち着いた空間、カウンター席あり

メニュー

ドリンク

日本酒あり、焼酎あり、ワインあり、日本酒にこだわる、焼酎にこだわる、ワインにこだわる

特徴・関連情報

利用シーン

家族・子供と 一人で入りやすい 知人・友人と

こんな時によく使われます。

サービス

テイクアウト

お子様連れ

子供可(乳児可、未就学児可、小学生可)、ベビーカー入店可

オープン日

2001年11月23日

備考

営業日以外でも、貸切会食、宴会のご相談(日時・人数・予算等)承ります。

お店のPR

石臼自家製粉碾きたて十割蕎麦の他、無農薬有機栽培野菜から調味料まで安心食材を使用しています

茨城県産常盤秋蕎麦の実を、石臼で、打ち粉までも自家製粉し、繋ぎ無しの水だけで打つ十割蕎麦ですが、何度も石臼を調整したことで、ぼそぼそせず喉ごしが良くしかも歯ごたえのあるのが特徴です。また打つ時に加える水はもとより、茹でるのも流水に晒すのも業務用活水器を通しています。そして「蕎麦つゆ」を始めとする食材は、無農薬、無添加等すべて安心して口にできる素姓のはっきりしたものを使用しています。

初投稿者

ビックミルビックミル(11)

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