無料会員登録/ログイン
閉じる
気になるお店はこちらで保存ができます
空席確認・ネット予約
閉じる
リクエスト予約希望条件をお店に申し込み、お店からの確定の連絡をもって、予約が成立します。
1 予約の申し込み
ご希望の条件を当サイトよりご入力ください。
2 お店からのメール
ご予約が承れるか、お店からの返信メールが届きます。
3 お店へ来店
予約が確定した場合、そのままお店へお越しください。
電話なら予約できることがあります
閉じる
03-3729-7607
最新の情報は直接店舗へお問い合わせください。
魚又っていう鮮魚屋
秋の微笑み
早朝の出勤で退社時刻は15時40分。
社屋から出れば太陽は秋の微笑みを地上に返している。
気持ちの良い空気に包まれて秋の酒を求めて歩き出す。
この時刻で飲めるのは。。
呑川と並行した谷底の道を進み希望ヶ丘商店街の入り口にある伊勢屋を目指す。
4時過ぎの店内は誰もいない。
大型テレビの画面は4年前のラグビーワールドカップの対、南アフリカ代表戦のハイライトを流している。
五郎丸の独特の祈るような緊張感あふれるその指先が懐かしい。。
その画面を前にして生ビールと焼酎ロックで20分弱を費やす。
そろそろ5時が近いのでどこでも飲めるだろう。
伊勢屋を出て幾つもの急坂を上り下りしてバス通りに出る。
緑のテントに魚又と記した鮮魚屋がバス通りにある。
仕事帰りこの魚屋で刺身をちょくちょく買っている。
娘は此処の刺身を大いに気に入って鯵の叩き、鰹の叩きなんぞをペロッと飲み込むような姿である。
この鮮魚店は真横に寿司屋「魚又」の暖簾も出している。
5時を回ったばかりの店先で鮮魚の親父がニコニコとしている。
挨拶をすると「毎度」と反ってくる。
「のどが渇いているんでお店でビールでも飲みたいのですが」
少しばかり逡巡の表情をされたが「はい、いいですよ。いま用意しますね」
親父は鮮魚店に入り暫くすると寿司屋の暖簾から顔を出して「お入りください」
暖簾をくぐるとゆとりのあるカウンター席が出迎えてくれる。
熱いおしぼりと敷紙が出てくる。
敷紙は夏を象徴する紫の可愛い朝顔が描かれている。
「ビールでしたね」
「はい」
熱いおしぼりで手と顔をぬぐった後は麒麟の大瓶で喉がほっと潤う。
「あと帰りに刺身買って行きたいのですけど、鰹の叩き、鰺の叩きを2人前づつ」
「はい、わかりました」
赤貝が冷蔵のネタケースの中で自信あり気にしている。
そいつのひもをつまみで頼む。
ひもは好物のひとつである。うまい。うまい。
その白身をキラキラとした淡い脂で包むシマアジ、こいつもべらぼうにうまそうである。
つまみで頼む。
想像以上のうまさが舌の上で踊る。
「こいつはうまいすっね~」
「ぷりぷりしてますでしょう、、さっきまで生きていたとばかりに」
シマアジ相手のぬる燗もなんとも良い。
やっぱり秋が来たんだね。
聞けば寿司屋はお客がいなければ鮮魚店に合わせて8時過ぎに閉めると言う。
魚又は親爺さんとちゃきちゃきの女将さんおふたりで営んでおられる。
寿司屋の方は全盛期には夜中12時過ぎまで開けていたと言う。
当時、目の前にあった銭湯が12時までで風呂帰りの客も結構いたらしい。
今は銭湯もなくなりこの辺に4軒あった寿司屋も2軒だけになったと言う。
シマアジとぬる燗を平らげたのでそろそろ帰るか。
寿司屋と鮮魚屋は店の中で通じている。
親爺さんが鮮魚に通じる空間に消え、再び刺身が入った袋を持って空間から現れる。
刺身を含めた代金は4700円と良心的である。
「ご馳走様でした」
「毎度、ありがとうございます」
黄昏の急坂を刺身の袋を手にして家に急ぐ。
カウンターの敷紙は夏の朝顔であったが季節が移り、陽が傾いた坂道は初秋の微風が柔らかである。
坂の下を新幹線が爽やかな風を切る様にして軽快な音を立てながら一気に走り去ってゆく。
口コミが参考になったらフォローしよう
sequence
利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。問題のある口コミを連絡する
sequenceさんの他のお店の口コミ
店舗情報の編集
閉じる
「みんなで作るグルメサイト」という性質上、店舗情報の正確性は保証されませんので、必ず事前にご確認の上ご利用ください。 詳しくはこちら
店名 |
魚又
|
---|---|
ジャンル | その他 |
予約・ お問い合わせ |
03-3729-7607 |
予約可否 | |
住所 | |
交通手段 |
都営浅草線 西馬込から徒歩15分 西馬込駅から908m |
営業時間 | |
予算 |
¥2,000~¥2,999 |
予算(口コミ集計) |
|
席数 |
15席 (こ上がり4人用テーブル席 1席) |
---|---|
個室 |
無 |
ドリンク | 日本酒あり、焼酎あり |
---|---|
料理 | 魚料理にこだわる |
利用シーン |
|
---|---|
オープン日 |
1968年 |
初投稿者 |
食べログの会員になるとレストラン情報を編集する事ができます!この機会に是非ご登録ください!
この店舗の関係者の方へ
食べログ店舗会員(無料)になると、自分のお店の情報を編集することができます。
店舗会員(無料)になって、お客様に直接メッセージを伝えてみませんか? 詳しくはこちら
店舗会員になると、無駄な広告費をかけずに効果的なPRができます。詳しくはこちら
紙ではできない予約管理を。いますぐ無料ではじめよう。詳しくはこちら
既に会員登録が完了している方はこちらからログインできます。ログインはこちらから
自粛要請が続く中、家で飲む他に手立ては無い。
外飲みの回数が減り財布の減り具合が遅くなったかと思えばあにはからんやである。
仕事帰りにスーパーに寄って酒を仕入れたり好みのアテを購入したりで常であった立ち呑みの安酒に比べても思いのほかに金を使っている。
久しぶりに鮮魚屋に寄る。
期待を込めて冷蔵ケースを覗けば期待通りにあるじゃない。。
「カツオの叩きあるじゃないですか!!」
「今日から始めましたよ」と親爺さん。
落ち葉の晩秋に姿を消したカツオが桜がすっかりと終わった晩春に戻って来た。
ここのカツオの叩きは最高に旨いのである。
添えられた沢山のつまと薬味が一層とカツオを引き立てるのだ。
¥600の叩きをふたつと¥300の小肌をひとつで計¥1,500。
確かにつまみだけで立ち呑みの料金なみである。。
刺身を手に提げ急坂を登り始めるとヒューと音を立てて切通しの中を新幹線が近づいてくる。
空席だけの速度を上げた流線型は無機質の弾丸で流れ去る。
人々がいるありきたりの日常が懐かしい。