近所の見つけにくいラーメン屋 : ブン ブン ブラウ カフェ ウィズ ビーハイヴ

近所で評判の店だった。ラーメン屋なのに二階にあるし、かき氷などもやっている。

今まで何度か行こうと思い、
覗いて見るとそのたびに行列が長くて諦めていた。

夜の8時を回り、この日は行列は出来ていなかった。誰も並んでいなかったどころか、嬉しげに「二人です！」と指をVサインにして駆け込んだ僕の目には客は映らなかった。

聞くと扉の所に「かき氷のスタッフはお休み中。」と書いていたのがポイントだとお店の人が教えてくれた。「平日の夜なら、ラーメンのお客様は狙い目ですね。」と情報も頂けた。

親切なお店だった。
何事も丁寧に復唱して間違わないようにしてくれるし、落ち着いた対応は通常のラーメン屋とは一線を画したものごし柔らかい対応だった。

マスメディア系には引っ張りダコの様子で、壁には芸能、メディア系の色紙がぐるりと張り巡らされている。

一緒に行った息子も、「〇〇と〇〇が来てるんだね。」と色紙を観察し、反応している。

ラーメンは、数種類スープがあるようだが、醤油がまず書いてあるので、売りはこの醤油。
次に白トリュフの入った塩ラーメンが売りのようであった。

僕は白トリュフの塩が食べたかったが、しばらく悩み、息子の好みの醤油を全部のせにして、息子の嫌いなタイプのラーメンだった時の予備の為に、担々麺をカバーフォーメーションとしてオーダーし、そのさらなるカバープランとして、卵かけご飯を追加した。

パパの選んだラーメン屋に行って、好みに合わないからと言って空腹で店を出るわけにはいかなかった。
そんな事をしでかすと息子の夜ご飯の為に立ち寄ったのか、僕の趣味の為に立ち寄ったのかわからなくなり、主旨がズレてしまう。

卵かけご飯は卵が選べるタイプで楽しい。

醤油ラーメンのスープは少し甘みが強く、背脂は乗ってないが、以前食べた尾道ラーメンのスープに似ている。

麺は細麺で、緑色がかっている。
店内にスピルリナの事がたくさん書いてあったので、健康にいいラーメンを食べてもらおうという志向だろう。

飲料用の水も水素水を使っているとのこと。

担々麺を一口。
「おー！旨い！これはいけるよっ！」息子にたくさん食べられるだろうと予測がつくうまさ！

醤油ラーメンの全部のせを順調に食べ進む息子を見て、担々麺も食べたいだろうと誘いかける。

担々麺を口にすると、息子まず、「うまーい！それ、たくさん残しておいてー。」
…ここが想定外の始まりだった。

あれ、僕の取り分が少ないぞ？
と感じ、すぐさま店の人に「塩もお願いします！」もオーダー。

しばらくすると、醤油ラーメンの3分の1の麺を残し、息子の食いが悪い。
「担々麺を残してあるから、こっちを食べるかい？」と聞いても、返事が悪い。

「なんか、醤油ラーメンもいらなくなっちゃった。」固めの麺が好きだからか？甘めのスープが嫌なのか…？

卵かけご飯はしっかり食べたが、いつもラーメンのお替りをするのに、なぜ？

「大人の味だよここのラーメン。」とのこと。

おかげで、僕は醤油ラーメンの残りと、担々麺95%、塩ラーメン100パーセント、卵かけご飯少々を胃の腑に収める事となった。

息子とのエピソードは別として、旨味のキレは塩味と甘みのバランスで変わるが、甘みに重心があると食後に近づくにつれ面倒なものになる傾向がある。

たしかに僕も最初に飲ませてもらったスープの印象と、後から飲むスープの印象では大きく違って感じた。

最初には甘さと旨さのバランスが取れたように感じたスープは満腹に近づくとフレンチのコースのコンソメ然とした柔らかさはキレに欠けたように感じられ、重さに繋がるような気がする。

塩ラーメンの白トリュフはおそらく複雑に織りなす香りに通じているのだろうが、僕にはあまり感じられず、「どこに白トリュフ？」と聞いたほどだった。

まあ、もっとも話題としては面白いが、さすがにキロ100万の食材は必要なく、それよりは素直な方にシフトすれば良いのにと感じてしまった。

クオリティの低い安い白トリュフなど使っても香りに余り貢献しないしね。

麺は同じ細麺の緑。
ツルリンとした食感は練りこんだスピルリナのおかげもあるのだろうか、おそらく改装を練り込むへぎそば的な感じ。

ただし、旨いを追求するなら、スピルリナなど入れず、もう少しキレやコシのある麺で小麦の香りが強い方がこの手の出汁自慢のスープには合うのにな。

健康を志向しすぎで少し味にはウエイトを軽くしてるのかな。

担々麺はインパクトがあり、麺も全く違うスタイルで提供され、この店のラーメンのなかでは少し違うドメインで存在する。これは練りゴマも含めて旨さに一直線のシナリオが見えるくらいストレートにこってりと辛味も効いていて旨い。

スープは甘みを重点に置かず、後半に向けて味が酸味や塩味に向けて動くなら面白いのにな。

それから、健康的なラーメンなら、スピルリナより、やはりグルテンフリーの方がいいけどね。

これからは、足すより引く。

腕のある料理人ならなおさら足すより引く。

ラーメンに限らずそうだけど、足すだけなら誰でもできる。

引くのは出汁が良くないとできない、つまり腕がないとできないからね。

それから、僕は嫌いじゃない味だったけど、子供が好むのは幼稚な味ではなく、シンプルに旨いかまずいかだから、最初はうまかったけど、あとからあまり感じなくなったというのが正解かもしれない。

味覚の感じ方も、変化も、ただ変化するだけでは面白くなく、最後まで美味しい方がいいような気がします。

僕はかき氷はあまり狙って食べるタイプではないので、食べる機会があるならやはりラーメンかな。

旨いヘルシーなラーメンなら、また一人で食べるときには確認の意味も含めて寄ってみたいな。

非常に今後にも興味はそそるラーメンでした。