二足のワラジのオヤジ 2度目の春草 : 春草

ミシュランスターの和食屋「春草」に1年ぶりに行く。
コースは3種類あるが、真ん中の¥6000くらいのヤツで。

スタートは「鮎の炊き合わせ」
今年、初めての鮎。
去年は和食～イタリアンまで、毎回鮎で、
見ただけで、あの青臭いにおいが鼻に着いたもんだが。

骨まで柔らかく煮込まれ、一口で季節を味わえる。
稚鮎ほどじゃないが独特の香りがほんのりと。
この季節の鮎が一番好きかも。

後ろにはナスを中心に、夏野菜の炊き合わせ。
ジュレが少し濃い味で、食欲が進む。

この店のシグネチャー「八寸」
9種類の前菜の盛り合わせ。

きっちり手の入った小鉢がこれだけ並ぶと、まー圧巻ね。
味付けも、酢の物、お浸し、茶わん蒸しと変化があるので
飽きることなく、最後まで楽しめる。

手前のは「トウモロコシのスープ」
よくある一品だが、ここのは生クリームを使っていないので
へんに甘過ぎず、むしろ独特の青臭さが残る。
夏の日の麦わら帽子を思い出した。

お造りは、ヒラメ、皮目をあぶったのど黒。
量もタップリあって、食べがいがある。
ついでに言うなら、白飯が欲しくなったよ。

本日のメインともいえる焼き魚。
奥から金目ダイ、ウナギのから揚げ、卵の煮つけ。

初めて食べたかもよ、ウナギのから揚げなんて。
ウナギって、けっこうな脂と臭いがあるじゃん。
だからこそ、蒸してから濃い目のタレをからめて焼き上げるのが一般的なのだが、
このから揚げは、ウナギの脂とケンカしてないんだよねえ。
ホクホクして、外側はカリっと香ばしく、美味しかった。

野菜の炊き合わせ。
カブ、ズッキーニなどを、淡白なお出汁で。
この出汁が、スタートの濃い目とは違って、本当に薄口でお腹に優しい。
じんわり胃袋に染み渡る。

この昆布巻きも見事でした。
普通はゴボウにアナゴなどを合わせるのだが、
今回はイベリコ豚のバラ肉を。
やっぱり動物系タンパク質は食べた気がするじゃん。

う～ん、ピンがボケボケ。
ウニがたっぷり入った、そうめん。
一口サイズで「これで満腹になるかな？」なんて思ったが、
ちょうど良く、いい感じに。

豆のパンナコッタ。
洋風にせず、豆のザラつきを残した舌触りで。
こんなところが和食のこだわりなのかな。

しかし、これだけ季節の食材を仕入れて、キッチリ手の入った料理が
¥6000ちょいって、どうしたって安いって感じちゃう。
この日は予約だけで満席。
どこの駅からも歩いて15分以上の「陸の孤島」だが、人気になるのもワカる。

帰りがけ、ご主人に「確か、以前にも来られましたよね」なんて言われたけど、
1年も前の事、よく覚えているよなあ。
前回もカメラをバシバシ撮っていたので（迷惑なやっちゃで～）て思われたのかな。

朝一でIKEAに行き、死ぬほど買い物をして、
隣のダイコーで商品をあさり、ヘトヘトの状態で
2日目の夕食会場に向かう。

予約したのは、ミシェランスターに輝く、この店。

春草

気軽に楽しめて、お腹がいっぱいになりそうな
早蕨(7品)6,000円を。

ちなみに、お店の外観は、こんなです。

駅から徒歩20分の、怪しげなピンクビルの1Fにあるワケです。
こんな場所にミシェランの和食屋があるなんて、誰も思わないよなあ。

入ると、ドリンクメニューが渡されます。

俺はちょっと珍しい「塩サイダー」をチョイス。

うん、サッパリとして、これなら料理の味を邪魔しないな。
例えて言うなら…サイダーに伯方の塩をひとつまみ落とした感じ。
そのまんまじゃん。

まずは、日替わりの前菜が出てきます。

加茂茄子の白味噌仕立て。
これが秀逸。

仕事をした加茂茄子、しいたけ、湯葉、生麩が
キリっと冷えた白味噌の出し汁とからんで、まあ美味しいです。

今まで、日本料理をあまり食べてこなかった自分が、
ちょっともったいなく思えてきた瞬間でした。

続いては、この店のシグネチャーとも言える「八寸」

9品、ドーンですよ！
酒飲みなら、この段階で悶絶死寸前でしょうな。
豚しゃぶ（右上）や、ほとんどブランマンジェ（左下）があったり、
冷たいものだけじゃ、てんで左上にはアツアツのエビしんじょ。

左中の「明日葉のおひたし」も美味しかった。
明日葉なんて、ナマじゃとても食べられない。
それを、工夫しだいで美味しく食べられるようにするのが
料理人だと思うんですが。

昨日の「ナマの山菜」の後だから、よけいにそう思ったのかも。

飾りの葉っぱにも、水滴が吹き付けてあったり。
こんなところにご主人の遊び心と美意識を感じます。

お造りの苦手な方がいたので、差し替えてもらったのは、

じゃ～ん、北海道の毛ガニです。
濃厚な旨味に、淡い味わいのとろみ餡。

お次は「焼き物」

イサキの塩焼き、和牛ステーキ。

いやあ～、最近、ちょっとした赤身ブームじゃん。
久々に脂の乗った和牛食べたら、やっぱウマかったわ！

イサキも良かったが、なにせ和牛の旨味にヤラれました。
しかし、この料金で、どうやってこの食材を提供出来るのか不思議だ。

ここで、箸休め的に「炊合せ」を。

上から2種類のフキに、焼きアナゴ、たけのこ。
この餡がヤサしい味で、胃袋にしみます。

2種類のフキも、上はシャキシャキ、
下の飴色のはキャラブキのように濃厚な甘さで。
ここの料理は、本当に手がかかっている。

味も、正直言うと、全体に濃いめな感じで
（お酒を飲む人向けなのかな）なんて思っていたけど、
この皿のたんぱくな味で、胃袋がリセット出来ましたね。

そんじゃあ、飯物、行くで～！

今日のご飯は「親子丼」で。
正直、ちょっとガッカリした。
だって、男子からしたら親子丼なんて飲み物じゃん！

炙った地トリに、トロトロの卵…
そりゃあウマいですよ、反則ですよ、こんなの。
もっと量をくれってはなしですよ。

この店は、さらにデザートが泣ける。

きな粉のブランマンジェ、抹茶のアイス。
向こうに見えるのは、白小豆とショウガの煮込んだもの。
甘過ぎず、それでいてデザートとして完成している。

聞けば御主人は甘いモノが大好きなようだ。
この一品をとっても、街のケーキ屋をはるかに凌駕している。

最後に頂いたお茶も、ほうじ茶と京都の番茶をブレンドしたもの。
香ばしくて美味しかったです。

いやあ～、2時間かけて食べたせいもあって、
かなりお腹はいっぱいになりました。
満足で、満腹な夜でした。

しかし、これで利益が出るの？