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店名 |
月山
|
---|---|
ジャンル | 焼き鳥、日本酒バー、おでん |
予約・ お問い合わせ |
050-5890-4786 |
予約可否 |
予約可 混雑時は時間制を頂く場合がございます。 |
住所 | |
交通手段 |
三軒茶屋駅世田谷通り口から246を駒澤方面に歩いて頂き、三菱東京UFJ銀行とピカソの間を右折、その後[KYO]を左折した右手にございます。 三軒茶屋駅から284m |
営業時間 |
|
予算 |
¥6,000~¥7,999 |
予算(口コミ集計) |
¥6,000~¥7,999
|
支払い方法 |
カード可 (VISA、Master、AMEX、JCB、Diners) 電子マネー可 (交通系電子マネー(Suicaなど)、iD、QUICPay) QRコード決済可 (PayPay、d払い、楽天ペイ、au PAY) |
領収書(適格簡易請求書) |
適格請求書(インボイス)対応の領収書発行が可能 登録番号:T4011001104264 ※最新の登録状況は国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトをご確認いただくか、店舗にお問い合わせください。 |
サービス料・ チャージ |
完全個室の個室料金(月の間¥500-/山の間¥1000-) |
席数 |
48席 |
---|---|
最大予約可能人数 |
着席時 18人 |
個室 |
有 (2人可、4人可、6人可、8人可) 半個室4名様用が2部屋 半個室8名様用が1部屋 完全個室4名様用が1部屋 完全個室8名様用が1部屋 ご用意ございます。 |
貸切 |
不可 |
禁煙・喫煙 |
分煙 2F完全個室(月の間、山の間)のみ喫煙可能です。 2020年4月1日より受動喫煙対策に関する法律(改正健康増進法)が施行されており、最新の情報と異なる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
駐車場 |
無 |
空間・設備 | オシャレな空間、落ち着いた空間、席が広い、カウンター席あり、ソファー席あり、座敷あり |
コース | 飲み放題 |
---|---|
ドリンク | 日本酒あり、焼酎あり、ワインあり、カクテルあり、日本酒にこだわる、焼酎にこだわる、ワインにこだわる、カクテルにこだわる |
料理 | 野菜料理にこだわる、健康・美容メニューあり |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
ロケーション | 隠れ家レストラン、一軒家レストラン |
サービス | お祝い・サプライズ可、ドリンク持込可、ソムリエがいる、テイクアウト |
お子様連れ |
子供可(乳児可、未就学児可、小学生可)、お子様メニューあり ※お子様連れの方は、事前に必ずご相談ください。 |
ホームページ | |
公式アカウント | |
オープン日 |
2015年6月6日 |
電話番号 |
03-6450-8345 |
初投稿者 |
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霧雨に降られながら、暗い裏道を歩いていると、一軒だけ暖かい光がもれている店を見つけて、入った。
予約なしでもカウンターなら、ということで、焼き鳥の焼き台の前の席に座る。
応対は、焼き係のお兄さん。しばらく話して分かったことは、この人がこの店の脳で、口で、腕でもあるようだ。
仕事が好き、ということ以上に、お酒と食べ物が好き、そこからかれの興味も、話題も始まっていくことがわかる。こういう店を一軒、リードして、まわして、引っ張って行くのに、彼は最適の人ではないか、と思われた。
お通しがカウンターに置かれる。さっぱりとした薄味で煮た玉こんにゃく。まるで生の大根のように白くてやわらかい、白醤油で煮た切干大根のやさしい、ひかえめな甘味、これには油揚げの千切りも。なにより、黒い色の醤油とたっぷりの砂糖に頼りがちな東京風に比べて、こちらのほうが、よほど好みの味だ。
お酒は、よく冷えた山形の大辛純米酒、大虎。申し分なし。これで行く。
菜の花白和えは、豆腐とクリームチーズに白醤油、生パプリカも入って、上品な薄味がうれしい。こういうやさしい、うっすらと甘いのが山形の味なのか。どこか京都の味にも似ている。
山形ハーブ鶏の白レバームースに山形リンゴのコンポート、これはリンゴを赤ワインで煮たものだが、砂糖をほとんど使わないで、りんごの自然な甘さと酸味を生かしてある。この白レバーだが、焼くために串にさしたのを見ると、ほんとうに白い。見た目も味も、鶏のレバーではなく、フォワグラそのものに思える。これには、薄くて全粒粉のカリカリのクラッカー、スウェーデンの WASAクラッカーにそっくりだが、日本で作っているという。この薄くてパリッとして、麦の薫るクラッカーがレバームースとりんごコンポートによく合って、止まらなくなる。
そして、これには、赤ワインしかないので、山形朝日町ワイナリーのRed Zinfandelを注文。まるでボルドーの赤のような、フルボディーの、たくましいワイン。これは自宅用に買い置きしたい赤だ。
山形千日和牛の芋煮、 里芋、舞茸、牛蒡、こんにゃく、そして牛肉。これも醤油の色が薄いのが好ましい。
焼き物は、鶏ハラミの焼き鳥、ミニトマト串、千日和牛串、三色焼きは、胸、腿、脛肉。
さらに、稀少小部位のふりそで、そろばんなどの瞬間燻製焼き鳥、金針菜、山形の和豚もち豚は、赤ワインたれで焼いいて、ブドウの枝で瞬間燻製して香りをつけてある。
〆は、山形名物、板蕎麦。かなりアル・デンテのきしめん風の幅広麺、蕎麦粉たっぷりの実力蕎麦で、山形の蕎麦は宅配で以前から買っているんだが、これは打ち立てだから蕎麦の味がしっかりしている。イタリアのタリアテッレという手打ち麺によく似ている。山形タリアテッレだな。蕎麦つゆは、これも醤油の色は薄いが、昆布と鰹節の味が非常に力強い。これは旨い。
デザートは山形白卵のプリン、これは実際は、上を厚みのあるカリカリに焼いたカラメルが覆っているから、クレム・ブリュレと呼んだほうがいい。
デザートワインは、山形羽前白梅、これは純米梅酒で、梅湧水という梅酒。通常、梅酒は焼酎で梅の実の味と香りを抽出するが、こちらは純米酒を使った梅酒なので、甘みも軽やかで、梅の酸味とやわらかな甘さが十二分に生かされた食後酒だ。
目の前で焼いてくれているお兄さんは、山形の出身だということだ。日本酒には非常に詳しい、というより、かれが日本酒をどれほど好きなのかが、熱のこもった話ぶりで伝わってくる。そして山形の食材や料理にたいする思い入れ、でもそういう話を知識としてではなく、かれは好きでしょうがないから、話さずにはいられない、そんな感じで話してくれる。
お酒や料理の世話をしてくれているお姉さんも、すぐ目の前のカウンター越しに話が始まり、最初は手探りで、だんだんに相手のことが見えてきて、話が広がっていく。吞み、食い、話すうちにお姉さんと私たち二人の距離が近くなってくる。そして、おたがいに、なんでも話せるような気になってくる。でもそれは、たぶん、お酒のせいからくる、わたしの錯覚もあるんだろうが、でも、そういう、だんだんに空気があたたまってくる感じが、いい。
こういう酒場に出掛けてくるとき、わたしたちは心のどこかで、こういう距離感の変化、人間同士が近付いてゆく時間を期待しているんじゃないか、などど考えてたりもしながら、お酒がすすむ。
次々に入ってくるお客さんたちのコートが濡れている。外は、雨が強くなっているようだ。
外に出てみると、やっぱり雨だ。見送りに出てくれたお姉さんのやさしい声を、お別れの声を背中で聞きながら、雨の裏道を歩き始める。
そう言えば、以前にも、こんなふうに、旨い酒と料理を心から楽しんだあと、濡れた舗道を歩いて帰るということがあった。de ja vu、いや、見た景色ではなく、あの、背中で聞いた、人間のやさしい声、背中の暖かさは、マニュアルでも作りものでもない、なにか本当のものだった、と信じたい。さっきまで知らなかった、ほかの人間と、この雨の晩、たまたま、短い間ではあるけれど、ふれあえた、という思いになる。
思えば、わたしは、街歩きをして酒を吞むとき、いつも心のどこかに、こういうケミストリー、つまり人との関係の化学変化というか、そういう、短いけれど、楽しい、静かな時間、小さな奇跡への期待感があるんだろう。
もちろん、大部分の場合、そういう期待はみごとに裏切られてしまうんだが、ごくこく稀に、ほんの短い間にせよ、こんなふうに、心も身体も、なにか、あたたかいもので満たされて、そういうあたたかさを抱いて、雨の中を歩いて帰る、そういう幸福な時間が与えられる、ということも、ごく稀にではあるが、ある。
そしてそれは、幸運なことだ。