レイノーとジノリで午後のお茶を。 : ROYAL CRYSTAL COFFEE 自由が丘店

泣く子も黙る喫茶店の最高峰、ロイヤルクリスタルコーヒーの銀座店に次ぐ2号店さん、なぜか自由が丘に出してくださってうれしいですね。
何しろこのご時世で、いつでも行けるし急がなくてもいいかな、と思ってたのですが、結論から言ってあえて今の時期、こちら（2階のティールーム）に伺ってみて良かったです。
（1階は物販で、カップのコーヒーやソフトなどがスタンディングでイートインできます。1階と2階は全然違う世界観なので、ぜひ2階をご体験いただきたい、という感じです。）
とにかくいろんな問題で世の中が騒がしく、心が落ち着くことのない昨今、猛暑の中訪れましたが、一時（いっとき）、憂世を忘れさせてもらえました。

建物がまず18世紀フランスですよね（恵比寿ガーデンプレイスのジョエル・ロビュションのお城と同じ様式と思っていただければほぼOK）。
正面から入って広い玄関ホールのらせん階段から2階を見上げられるのですが、私は1900～1920年代とかの大西洋航路の豪華客船とか、そういうクラシカルかつアールデコなイメージを持ちました。

2階に上がるとインテリアの随所にルネ・ラリック風のガラスのアイテムがあるので、ジョルジュ・バルビエのイラストのような色味やデザインの椅子などと相まって、自分の好きなフランスのアール・デコ風のスタイルが感じられてよかったです。（元町のパブロフさんのインテリアをちょっと思い出しました。色味が明るくフェミニンなインテリアなので、ヘッドドレスつけたロリータさんとか、ロマンチック系なファッションの方とかもお好きな感じだと思います。）
いくつかの仕切りで区切られたお席もあるのですが、一番広いホールの中央に飾られた百合のつぼみと白いアルストロメリア（？）の大きなフラワーアレンジも、ホテルのラウンジのようで素敵です。

アフタヌーンティーでいきたかったですが、午後遅くでしたので、ケーキ2個にお茶のケーキセットにしました。お茶はインペリアルアールグレイのアイスティーで。

で、お茶はマルコポーロとかもメニューにありましたのでたぶんマリアージュフレールさんから入れてらっしゃるのかなと思います。
アイスティー、グラスで出てきましたが、しっかり出した少しスモーキーなアールグレイで飲みごたえがありました。上手に出していらっしゃいます。真夏にグラスでカラカラと氷の音が鳴るアイスティーって優雅で好きです、遠い夏に思いを馳せるような、ほっとした感じがしますよね。けしてすごく大きいグラスではないので、250円でお代わり可だそうです。

ケーキはストロベリーショートとティラミスで。他にもレアチーズやモンブランなど６種類くらいから選べます。ケーキのアイテムとしては、自由が丘という激戦区にあって（何しろ、同じ通りを右にずっと行けばモンサンクレール、左にずっと行けばパリ・セヴェイユ（笑））、極端に冒険はせずスタンダードを押さえていらっしゃる感じ。
ストロベリーショートはピンクのクリームを挟んでらっしゃるのが特徴かな。で、ティラミスは、さすが餅は餅屋（コーヒー屋さんだけど）、ドトールなだけあって使ってらっしゃるコーヒーシロップがいいです。たぶんこちらのケーキのラインナップだと、おすすめはティラミスだなと思います。何しろメイン商材のコーヒーを使ってらっしゃるアイテムなので。
お皿がジノリでした。

私はアイスティーだったのでブランドがよくわからなかったですが、ホットでお茶やコーヒーをいただかれる場合は、カップ＆ソーサーはレイノーのようです。テーブルにあるガムシロ＆コーヒーフレッシュを入れる陶器のボックスもレイノー。

メニューとしては、ジュース系もあるのですが、カフェインの入らないもの（ハーブティーとかルイボスとか）を加えてくださるとありがたいと思います（糖分もカフェインも控えたい、という場合や体質の人もいるので・・（デカフェのコーヒーにすればいいのかな、ちょっとそこはメニューを確認しそびれました））。

お会計の時は、テーブルに番号を書いた透明なスティックのようなもの（ホテルのキーをイメージ？）が置いてあるので、それをレジに持っていきます。
サービスの方の制服も、品のよいライトグレーのワンピースだったり、これまた明るいホテルのラウンジをイメージしていらっしゃるのかなと思いました。

ホールの手前の個室の区切りの所は、予約ではなく、空いていれば入れるそうですが、予約をして2000円追加料金を払えばカーテンの仕切りを入れてさらに個室のようにできる（他のお客さんは入れないようにできる）そうです。お姫様っぽいので1回くらいは使ってみたいかも？

ドレスコードとかはもちろんないのですが、ちょっと特殊な今の時期だけだからなのかな、明らかに客層が、というか、お客さんの雰囲気が2階は違う、浮世離れした、あるいは華やいだ、という感じがしてよかったです（ディスタンスで席の間隔は開けてあります）。華やかなパーティーに自分だけ遅れてきて合流した時のような。ふつうにたくさんのお花やアートを飾った明るいお部屋で楽しくお茶を皆でいただく、というあたりまえのことが、ずーっとあたりまえでなかったことに今更ながら気づいて、ちょっとぼーっとするような、大げさですけど夢の中にいたような、人間らしさを取り戻せたような、そんな滞在時間でした。
今ってもう、日本が貧しくなってしまって、特に建物の内装（外装もですけど）ってとにかくミニマルミニマル一遍道ですよね、なんとなくシンプルにしておけば無印風におしゃれでお金もかからないんだけど、工夫や職人技や美意識と言うものを捨て去って顧みずに済んでしまうとも言える、そういった傾向に対して、あくまでその財力を持ってアンチを突きつけるというか、そういったドトールの鳥羽社長の心意気、最高のお茶をいただく空間を作り上げてみせる！という実業家としてのご意識をしかと受け取れる空間とも言えると思います。こういうことができるって、あこがれるなぁと自分なりの夢のティールーム、もしばし考えてみたりもしました。

1階にさらにコーヒー文化の粋でもあるデミタスカップ（301客）とコーヒーミル（80客）のコレクションがミュージアム的に展示されていて、これもすごいです。これ、入場料取らずに公開してらっしゃるわけですから、ほんとすごいと思います。（博物館みたいに目録も売っています。）
カップの細工の細かさと技術に、各国の職人が心血注いで作っているのがわかるのですが、コーヒーという単なる嗜好品の飲み物をここまで文化に高めた人類の食の歴史の一端を垣間見れます。実業家って極めればこういうことも人と分かち合えるんだなぁとしみじみ。

あと、お手洗いエリアは自動ドアが2回続きますが、最後に個室に入るときは横引でなく、押扉です（近くのSAPIXに通っていそうな小学生の女の子に教えてもらいました（笑））。

1階入り口の階段のところに2階はコーヒー950円から、という大きな看板が立ててありますけれど、2階がエレガントな雰囲気だからといって、そこはドトールですから、どうぞ皆さんお気兼ねなく・・、というメッセージも出していらっしゃると思います。
自由が丘はあまりこういうフェミニンにエレガントな空間づくりのお店って意外にないのですが、けして敷居の高さを出したいわけではないのだと思います。2階サロンのテーブルに出ているのはコーヒーフレッシュですし、そうしたところからもけして堅苦しいところではないので、ちょっとリフレッシュしたい時にはいいのではと思います。
あと、テーブルに置いてある白いタワーみたいなものは、お水のカラフでなく、ウェットティッシュボックスです、傾けてお水を入れようとしたのは私です（笑）。
サービスの方もしっかりしていらっしゃいました。

次回は友達誘って（というのがいいのかどうなのか躊躇はありますが）アフタヌーンティーに行ってみますね。