秋の長雨はなんとなくさみしい〜エンジェルは来ない : T'sレストラン

この週末は江ノ島花火の予定だった。秋の花火大会はみんなが楽しみにしている。秋の澄んだ夜空に上がる花火はとても美しい。少し冷え込むので厚着しながら見る花火もなかなか良いものだと思える。だけど今回は台風21号接近で中止に。波も少しずつ高くなりいつもの海とは様相が違ってきた。中止は仕方ないななんて考えながらサーフィンをしていたら、去年の花火の日を思い出した。昔書いたSNSのログを遡ってみた。

■江の島花火の日
江の島の花火は秋に開催になって、ちょっと風情を感じるようになった。夏の暑い時期の花火は雲に隠れたりでいい日に当たるのは少ない。秋の開催になって、空気は澄んでる分綺麗に見える気がする。
今日、海で不思議なことがあった。いつも同じ場所に入るから、だいたい顔見知りで会うとあいさつする。あいさつする人もいればしない人もいる。まあ、普通はよく会う人でなければ女の子からおじさんにあいさつしてくることはない。経験上ね。

その日は穏やかな波と薄曇り。珍しくまわりに知り合いもいない。ひとりでサーフィンしていると。女の子がひとりで入ってきた。こと言っても30過ぎくらいだろうか。

「おはようございます」
「おはよう。今日は空いてていいね。」

その女の子はあいさつしてきた。僕もあいさつした。多分初めてみる人のような気もする。けど相手は自分のことを見かけてるのかも知れない。そして普通はあいさつで終わる。
しかし、その子は並んで波待ちしていた。遠慮しているようでいい波には乗らなかった。だから、だいたい僕が先に波に乗っていた。
岸際までいって振り返るとその女の子は手を振っていた。
僕は周りを見渡してその女の子の友達らしき人をさがした。
でも、それらしき人は誰もいなかった。
パドリングして元の場所に戻りその子の近くに行くと、また手を振ってくれた。
最初は僕に手を振ってるとは思わなかった。

「どうでした？」

やっと自分に向けて手を振ってたのに気づいた。

「なかなか良かったよ」

知り合いでも波に乗ってもいちいち手なんか振らないし、どうだったかなんて聞かない。

女の子はそのあと僕が波に乗るたびに手を振ってくれた。だからその女の子が波に乗れたとき、僕は手を振ってあげた。すると嬉しそうに手を振り返してくれた。

今日の水はものすごく透きとおっていた。秋の陽から傾いて入る光線はふたつに分かれ、ひとつは反射し海面をキラキラ光らせ、そしてもうひとつの光は海底までもとどいていた。

「水が透きとおってて綺麗ですね。今日、江ノ島の花火大会ですよね、行くんですか？」

女の子の方からいっぱい話しかけてきた。
僕はあまりおしゃべりが得意じゃないからほんの一言ふたこと返して、ふんふんと話しを聞いた。

次第に波もなくなり北風も強くなって、その子の乗れそうな波はなくなってしまった。

「お先に！」

と言って砂浜へ上がって行った。
砂浜にあがるとこっちを見て、また手を振ってくれた。
だから僕も手を振ってさよならをした。

ほんのすこしの間だけど、ゆるやかな秋の日差しと波間に、なんかちょっとうれしい気持ちになっていた。

その後、その女の子を海で見かけたことはない。

この前「パンとエスプレッソと」で消えたエンジェルのことを書いたけど、去年この時会ったのもエンジェルだったのだろうか。日に日に深まる秋、謎も深まる。

さぁ、今日はサーフィンはこれくらいにしてうちに帰ろう。うちには魔女が待っている。

うちに帰ると魔女が、担々麺が食べたいと言いだした。魔女はベジタリアンだから普通の担々麺は食べない。だから自由が丘まで足を運ぶことにした。

前回の訪問時に食べようと思った担々麺。やっと食べられる。

小雨の中、駅から少し歩く。前回はバス通りから行って少し怖かったので、今回は路地を通っていく。自由が丘はこの細い路地にお店があったりで楽しい。

こちらはビルの地下にある。階段を降りるとガラスばりの店内が見える。なかなかオシャレな感じ。ここは料理には肉、乳製品は使わない。健康に気を使うのか外国のかたのお客さんも多い。

今回は担々麺に決めている。
やはりアルコールも少し欲しいよね。

まずはハートランド。

つまみに油淋鶏。鶏肉ではなく大豆ミート。鶏肉の味ではないが、たっぷりの甘酢ダレをつけるとなかなかうまい。

酒を飲まない魔女は、サングリアが飲みたいと言う。一口でいいから。ここのはフルーツたっぷりでなかなか美味しいのでお気に入りのひとつ。

ベジ餃子。野菜たっぷりの餃子。なかなかうまい。

担々麺。
肉がない？写真を見て！ちゃんと乗ってるでしょ。でも肉ではない。大豆ミート。そぼろ肉の味付けだから、ほとんど肉とおなじ感じ。麺は普通の細麺。なかなか歯ごたえも良い。スープもしっかり普通の担々麺と変わらない。動物性のだしは使わないでこの味を出せるのがすごい。ここまでこだわるなら、餃子の皮も担々麺の麺もグルテンフリーの米粉だと嬉しい。

ワイン追加。オーガニックの南アフリカワイン。フルーティな香りで飲みやすい。

ここでもうお腹いっぱいなのだが、魔女のお腹はデザートは別腹。

ガトーショコラとオーガニックコーヒー。
ケーキ類ほ甘みは白砂糖ではなく甜菜糖。お腹に良いらしい。
フルーツパフェ。この生クリーム、アイスクリームは豆乳と甜菜豆乳。いや、もうお腹いっぱい。

ごちそうさまでした。
魔女は大満足で雑貨店に消えていった。
ひとり入り口で待つ。
街はもうハロウィン。若者たちはなんとなくそわそわしてるように見える。

〜蕎麦処 斗露路からのつづき〜
蕎麦屋をでて埼玉県立近代美術館に入るとそこは別世界。上野あたりの美術館だと人だらけでまともに見ることもできないが、ここは静かな時が広がる。聞こえるのはエアコンの駆動音だけ。たまに美術館の監視員が見回りに来る足音。今回の遠藤利克展は巨大な展示となっている。作品のスケールに圧倒され、静の空間に押しつぶされそうになる。

もしも、あの時。最近静かなところにいると考えてしまう。あの時、別の選択をしていたら、今はどうなっているのだろう。

相方はもともと好き好んでベジタリアンになったわけではない。事情があって免疫力を高めるために、野菜中心の自然食の生活をしている。昔は焼肉や寿司など良く一緒に行っていた。自然食に切り替えたころは、調理の仕方も味付けも単調でお世辞にも美味しいといえる代物ではなかった。少しずつネットで調べたり、人に聞いたりして勉強している。一番困るのは外食。完全なビーガンレストランは本当に少ない。
だから、こちらの店のように、肉類、乳製品を使わず、普通のレストランのようなメニューを提供してくれるのはものすごく嬉しい。相方はここがとてもお気に入りのようで今回も食べたいものをいっぱいチェックしていた。
今日は煮込みハンバーグと担々麺が食べたいと言っていた。ハンバーグと言っても肉ではなく大豆ミート、担々麺に乗っているのも挽肉ではなく大豆ミート。だから安心して食べられる。

浦和から湘南新宿ラインに乗り渋谷から東横線に乗り換えてきた。
自由ヶ丘の駅は久し振りだった。駅前のロータリーは整備され綺麗になっている。ポツポツと降る雨。店まで少し歩くが傘をさすほどでもない。

ガラスばりの店はとてもオシャレな感じ。
席間もあり４人がけのテーブルなので二人だ余裕。
BGMはボサノバ。夏の夕暮れに心地よい響き。

注文した料理は
■前菜盛り合わせ
ムース、パティ、チリコンカン、パン見たいなの(笑)
どれも、肉を使ってない。

■T'sサラダ
かなりのボリューム。ちょっとびっくり。
ドレッシングはマスタードドレッシングとクランベリードレッシングだったかな。クランベリーの酸味がとてもいい。

■煮込みハンバーグ
見ため普通のハンバーグ。食べても肉みたい。美味しい。大豆ミートに白いのは豆乳クリーム。デミソースがいい味。洋食屋の柔らかめのハンバーグな感じ。セットのスープはジャガイモの

■ラザニア
これチーズのかわりに湯葉？で作ってある。ミートソースは大豆ミートで、チーズのこってり味感がないから、すごく食べやすい。ラザニアを注文しているお客さんは多かった。

■飲み物
ハートランド
ローズヒップの温かいドリンク
オーガニックワインで作った自家製サングリア
これがなかなかうまい。ブルーベリー、ラズベリーがザクザク。
コーヒー

■デザート
フルーツパフェとショコラケーキ
豆乳アイスと豆乳生クリームを使ってる。
甘さ控えめでなかなか美味しかった。
相方いわくカロリーかなり低めらしい。

これだけ食べたら翌日、胃がもたれるのが普通だが、全くもたれない。むしろすっきりしている。ここは本当に美味しかった。

今回は好きなの頼んでいいよっていうから、担々麺じゃなく、ラザニアにしてしまった。次回は担々麺にするよ。また来よう必ず。