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満開の桜を愛でつつ蕎麦屋酒
スタイリッシュながら、江戸前伝統の仕事はきっちり
「都立大学」の駅近くに面白そうな蕎麦屋が出来たという情報は、方々から入っていた。
訪れる機会を窺っていたが、日曜日に横浜の「みなとみらいホール」でのコンサートの帰りに、途中下車して寄ってみた。
場所は駅の北口を出て1.2分の、「呑川緑道」に面したビルの2階。
お洒落なウッドデッキ風の外階段を上った所に入り口があり、右手にガラス張りの打場と厨房、左手に広がる客席は外に面して大きく窓を取った開放的な空間。
そこに30席ほどが、ゆとりを持って配されている。
開店から間の無い、5時を少し回った時刻に入店。
奥はご主人の他に職人さん2人、ホールは女将さんともう1人の女性と言う体制。
初客だったので、中央の幅広い大テーブルの窓際の席に通してくれた。
まずは生ビール(アサヒプレミアム熟撰)。
メーカーからの支給品では無い、薄張りのグラスで出されるのは好感。
お通しに「わさびの茎の酢醤油漬け」が付いた。
卓上に置かれたメニューを眺めると、なかなか魅力的。
定番に加え'本日のおすすめ'が充実しており、さらに'本日松茸入荷'の文字が目を引く。
その中からまず次の2品を注文。
「生とろ刺身こんにゃく」:一見すると普通の青海苔入りの刺身こんにゃくのようだが、名前の通りねっとりとした舌触りが特徴。
おろしたての山葵と出汁醤油で味わう。
「松茸・ハモ土瓶蒸し」:松茸1/2本分、骨切りされたハモ、それに蒲鉾や鴨肉・銀杏・三つ葉が入っている。
1,100円という値段からは多くを期待していなかったが、すだちを絞って味わう汁はまずまずの美味さ。
酒も面白そうな銘柄が並んでおり、冷酒は6勺単位で頼めるのは好ましいスタイル。
注文が入ると一升瓶から、斬新なデザインの蕎麦猪口状のぐい飲みに注いでくれる。
「夏の思い出」なる銘柄と「日高見」をもらったが、何れも良かった。
聞く所によると、こちらのご主人は浅草の「蕎上人」の教室で蕎麦打ちの基本を学び、その後「上野藪」でも研鑽を積んだ方とのこと。
と言う事は「一茶庵」と「藪」という、江戸前の王道の仕事が生かされていることは想像に難くない。
そこでもう少し仕事振りを確認してみたくなり、肴の追加に「天ちらし」を頼んでみた。
いわゆる「天ぷら盛合せ」なのだが、出て来た皿を見て'なるほど'と合点がいく。
内容は大き目の海老2尾と野菜(南瓜・丸十・茄子・しし唐)だが、少し厚めの衣で表面に派手に花を咲かせた、典型的な'蕎麦屋の天ぷら'である。
胡麻油多めのやや高めの温度で揚げられているため硬めの仕上がりで、綺麗なきつね色も食欲をそそる。
昨今の蕎麦屋では高級天ぷら屋を真似て、小菓子のような見た目も味も繊細な天ぷらを志向する店も有るが、こちらは江戸前伝統の流儀が貫かれている。
塩と天つゆが添えられており、最初の海老一本は塩で試したが、後の一本は天つゆに柚子入りのおろしを加えたもので食す。
濃い目の天つゆに潤びた衣の胡麻油の味と香りが融け込むため、後者の方が断然美味い。
これには燗酒が欲しくなり「群馬泉」を一合追加。
言わば「天ぬき」状態となった、旨みたっぷりの衣入りのつゆを肴に、快適な蕎麦前となる。
この天ぷらの揚げ具合には「上野藪」の仕事が反映されている。
6時を過ぎる頃には、日曜日と言う事も有って家族連れなどで、次々と席が埋まって行く。
ほとんどが食事目的の客だが、手も足りているようでそれほど慌ただしさは感じない。
私もそろそろ蕎麦にしようと改めて品書きを見ると、こちらには「一茶庵」のスタイルが色濃い。
'二八'のせいろの他、十割の田舎蕎麦、それに変わり蕎麦(この日は「レモン切り」とのこと)も打っている。
これらの内から2種を客の好みで選ぶ「二色せいろ」が有り、私は「二八」と「十割」で頼み、これにオプションで付けられる「ごまだれ」を追加した。
先に運ばれた「つゆ」を少し含んでみたが、こちらにもバランスの取れた味わいに「一茶庵」系ならではの仕事が確認できる。
蕎麦は一枚ずつが時間差で出され、「二八」は清廉な歯応えと喉越しが心地良く、それに対しやや太めの「十割」は香りの強さと色合いに野趣が感じられる。
「ごまだれ」は「まつやのごまそば」ほどの完成度の高さは無いが、まずまずの出来。
土瓶で出される蕎麦湯は多少の手は加わっているが、苛々するほどの粘度は無い。
両方の蕎麦猪口に注して、塩分過多とは承知の上「つゆ」は余さず頂く。
充実した「蕎麦屋酒」を振り返り、暫しの余韻に浸る。
スタイリッシュな雰囲気は、今時の蕎麦屋と言う趣。
しかし基本のスタンスには、江戸前蕎麦屋の手法が貫かれている点は好感が持てる。
すでに近隣の皆さんに支持されていることも頷ける。
これだけの構えの新店となれば、何らかのバックの存在が予想されるため少し調べてみたら、数軒の飲食店を手掛けるRYコーポレーションと言う所の傘下とのこと。
しかし蕎麦屋としての独自性は随所に認められ、一方で肴の豊富さなどには、とかく窮屈になりがちな個人経営とは違った大胆さも感じ取れる。
これはむしろ歓迎すべきこと。
この沿線には中目黒から自由が丘にかけて、個性的かつ魅力的な蕎麦屋が多い。
その中で都立大学にはこれと言った処が無かったが、こちらの誕生は喜ばしい限り。
大きな窓の外の緑道は、この辺りでは有名な桜並木。
春先には居ながらにして「花見酒」が楽しめることは必定。
是非一度、この時期に訪れてみたいと思う。
蕎麦屋の場合、初訪のみではレビューはしない方針だが、ひと通りの仕事が確認でき、内容的にも満足度が高かったため取り上げさせて頂いた。
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蓼喰人
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蓼喰人さんの他のお店の口コミ
店名 |
掲載保留
利き蕎麦 存ぶん(ききそば ぞんぶん)
|
---|---|
ジャンル | そば、日本料理、居酒屋 |
住所 | |
交通手段 |
都立大学駅より徒歩3分 都立大学駅から118m |
営業時間 |
|
予算 |
¥3,000~¥3,999 ¥1,000~¥1,999 |
予算(口コミ集計) |
¥3,000~¥3,999
¥1,000~¥1,999
|
支払い方法 |
カード可 (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) 電子マネー可 |
席数 |
26席 (席間隔確保のため現在は22席) |
---|---|
個室 |
無 |
貸切 |
可 |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
無 |
空間・設備 | オシャレな空間、落ち着いた空間、バリアフリー、車椅子で入店可 |
コース | 飲み放題 |
---|---|
ドリンク | 日本酒あり、焼酎あり、日本酒にこだわる |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
ロケーション | 隠れ家レストラン |
サービス | テイクアウト |
お子様連れ |
子供可(乳児可、未就学児可、小学生可)、ベビーカー入店可 混雑時はベビーカーをたたんで頂く場合があります。 |
ホームページ | |
オープン日 |
2016年12月8日 |
備考 | |
お店のPR |
【ノンアルコールでも!】手打ち蕎麦と酒肴を愉しむ大人の隠れ家的蕎麦屋
存ぶんとは、季節や産地、品種により旬や味が異なる蕎麦。利き蕎麦とは今ご提供出来る最高の状態の蕎麦を提案し思う存分に味わい香り深い蕎麦を堪能して頂くという意味です。揚げたての季節野菜や旬の天ぷら、小料理をあてに今だから味わえる地酒の数々を堪能し、自分だけのゆるりとくつろいだ時間を愉しむ蕎麦割烹。 名物の宮城 蔵王産「蔵王竹炭水鴨」を使用した“鴨せいろ”は訪れる方の極上な想い出の一品となるでしょう。 |
初投稿者 |
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前回訪れた折にこちらの店舗は「呑川緑道」に面しており、2階の窓から望む桜並木の枝振りから是非一度'花の見ごろ'に訪れたいと思っていたが、なかなかタイミングが合わなかった。
今年は逃してはなるものかと思い立つが、やはりこの時期は花見酒目当ての客で混雑しているという情報もあり、念のため前日に電話を入れて状況を確認。
緊急事態宣言が解除されたとは言え、早計にあちこち歩き廻るのは憚れるが、東横線沿線には我が家の近所から直通で辿り着けるのは有り難い。
この時期まだ十分に明るい、夜の開店時刻16時を指定して予約を入れた。
それより少し前に「都立大学」に降り立ち、暫く周辺の桜を眺めた後に木製のやや急な外階段を上がっていく。
男女4人の年配者グループが開くのを待っていたが、そちらも私と同じように「花見酒」目当ての予約客のようだ。
私には中央の大テーブルの窓際の、特等席が用意されていた。
案の定大きく開けた窓からは、満開の桜が手に取るように望める。
ちなみにこのテーブルは通常は10席のところ8席に減らされており、真ん中にはアクリル板の仕切りが設けられている。
予約の場合は料理はコース限定になるとのことで、3,800円の「花見御膳」をお願いしておいたが、内容は詳しく訊かなかったので'乞うご期待'といったところ。
まずは飲み物にビール(サッポロラガー中瓶)をもらい、目の前に広がる景色に乾杯。
適度な間を置いて供された料理は次の通り。
「前菜六種盛り合わせ」:「竹の子・蕗・人参の煮物」「蛍烏賊と若芽の酢味噌和え」「白魚沖漬け」「板わさ」「新キャベツ浅漬け」「金平牛蒡」という内容。
何れも特に強く印象に残るものは無かったが、バラエティに富んでいて楽しめた。
「出汁巻き」:蕎麦屋の仕事というより、江戸前の幕の内弁当に入るような濃い目の味付けで硬めに焼き上げられている。
関西系の水気の多い出汁巻きとは対極の手法だが、定法通りに染めおろしと共に口に運べば実に美味しい。
鮮やかな黄の色合いは、沢庵になぞらえる落語の「長屋の花見」のようで思わず笑ってしまった。
「焼物二種」:「鶏つくね焼き」と「鰆の塩焼き」。
つくねは蓮根の小角切りなども入った手作り感が好ましく、やや濃い目の甘辛味も良い。
軟骨も混ざっているが、かなりしっかりした歯触りは、年配者などには不向きかなと思う。
鰆は切り身は大きいがひねりの無い塩焼きで、味も焼き加減も悪くなかったが何か一工夫欲しい。
「天ぷら」:内容は海老一尾に南瓜・菜の花で、揚げ方は厚めの衣に派手に花を咲かせた所謂'蕎麦屋の天ぷら'で、ピンク岩塩が添えられている。
海老はそれ自体結構な大きさで、衣もたっぷり着いているので食べ応え十分。
ボリュームの割にはサクッと揚がっているので何とか食べ進められたが、味は単調のためこのタイプだとやはり天つゆが欲しい。
ここで酒について。
日本酒の品揃えは豊富で、中々魅力的。
先に和歌山の「紀土 純米大吟醸 山田錦」を1合、その後に福井の「黒龍 垂れ口」を6勺でもらう。
どちらもしっかりした味わいで、豊かな気分に浸れた。
コースの〆は「蕎麦」で、冒頭に普通の「二八のせいろ」か、この時期限定の「桜せいろ」のどちらにするか訊かれたが、当然ながら後者を選択。
こちらのご主人は「蕎上人」での修業経験があるので、季節の変わり蕎麦はお手のもの。
伝統の技に則った「桜せいろ」は、香りも色も食感も上々の出来栄え。
つゆも一茶庵の流れが顕著な、出汁の香りと返しのコクのバランスの取れたすっきりした仕上がり。
薬味は葱はやや乱雑だが、わさびは本山葵。
蕎麦湯は正統的な自然体で、すっきりと伸びて気持ちよく〆られた。
期待通りの満足度の高い時間が過ごせた。
2時間ほどの滞店だったが、時刻がまだ早いせいか後客はちらほらと言う状況で、ゆっくりできたのも良かった。
料理については多少の一長一短は有ったものの、コースとしては概ね良好で値段も相当に思う。
トータルの勘定は7,000円弱だが、特等席の使用料込みと思えばリーズナブルである。
何より絶好の時期に「花見酒」が楽しめたのは実に贅沢で、得難い経験となった。