鮨おにかい＋１（たすいち）にてカウンター寿司デビューの女子をエスコートする : 鮨おにかいたすいち

　夜は、鮨おにかい＋１（たすいち）、つまりおさんかい。
　通りに面していて誰でも入りやすい店先なのに「隠れ家」と看板を出している飲食店もある。
　完全予約制の飲食店ですから、改めて隠れ家と称する必要も無ければ、立地が良い必要も無い。
　なんだけど、中目黒駅から徒歩2分のマンション「プラージュ・メグロ」の303号室、表札はありません。

　店内は5席と5席のカウンターのみ（コロナ禍で1席間引き）、組毎にパーティションが設置されています。
　世の中のお寿司屋の1%にも伺っていないと思うけど、初めからガリが用意されているお寿司屋は初めて。
　今夜はおまかせコース10,000円（税込）、ペアリングコース（5種）5,000円（税込）、明朗会計ですね（結果的に明朗ではありませんでしたが）。

　FERRARI MAXIMUM brut rose（フェッラーリ　マキシマム　ロゼ）　イタリア　ロゼ。
　ペアリグコースは、乾杯にロゼのスパークリングか、プレミアムモルツか選べますので、ロゼで。
　グラスを当てないように乾杯、って4人で乾杯しているのはウチらだけ。
　スパークリングワインのロゼは久し振りですが、ペルルが真っ直ぐ立ち上っていて、とっても綺麗。

　和らぎ水も合わせて用意されてます。
　日本酒を飲むときには必須の和らぎ水ですが、ワインのペアリングでも用意されるのは素晴らしいです。
　今日はカウンター鮨デビューの女子をエスコート、先ずは和らぎ水の意味、必要性からレクチャー。
　なんだけど、オレってまんま口うるさい説教オヤジだからにゃー

　アミューズ（じゃないけど）は、うすい豆の擦り流し。
　うすい豆って初めて頂きますので調べてみると、和歌山県の特産物なんですね。
　淡い色合いに現されるように淡い味わいで、握り寿司中心コースの入口に相応しい美味しさ。

　初めに、手巻きのシャリを渡されます。
　シャリには米酢と赤酢を合わせていると聞きましたが、聞き間違いだったらごめんなさい。
　それなりのお寿司やさんではシャリの量を調整して下さいますが、シャリの量が分からなければ多いも少ないもありません。
　こちらでは、「この位の量で握りますので、少なめを望むのであれば仰って下さい」ということ。

　お寿司はカウンター台に用意されたお皿に置かれたり、手巻きで渡されたり。
　お皿は個別に替わるのではなく全員同じ、座った席から撮るとお皿に照明が映り込みます。
　ま、お好きな席にどうぞではないので、自身の日頃の行いを恨むしかありませんな。

　一品目は中トロ。
　刷毛で塗った醤油がすっと馴染むように、隠し包丁が入っています。
　中トロは中トロでも大トロに近い部位と感じる甘さと香り、とっても心好いですなぁ。

　Calanica Frappato Duca Di Salaparuta（カラニカ　フラッパート　ドゥーカ　ディ　サラパルータ）シラー　イタリア　2020　赤。
　寿司ネタに合わせてペアリングされるワイン、中トロから始まるコースには赤ワインを。
　ワインは全てイタリア産、グラスは脚なしのステムレスワイングラス。
　くずし寿司の考え方は、お寿司だけではなく、酒器にも反映されています。

　本日のおすすめと紹介されている、津本式で締めて五日寝かせた伊佐木（イサキ）。
　魚の締め方は色々ありますが、このイサキは津本式で締められていて、更に5日間熟成。
　程々の発酵感を伴った旨さの熟成、とても心好い。
　鮮度が良いだけが寿司ネタではありませんよ、とまだまだお寿司のことが分かっていない私は勉強しかり。

　真鯛（まだい）。
　いやぁ、鯛はどうやって食べても美味しいけど、こうしてお寿司にして食べると格別に美味しい。

　鰯（いわし）。
　ほぼ切れ目を入れない鰯も美味しいけど、こうして切れ目がたくさん入っている鯵も美味しいですな。
　板前さんは10人前を一気に相手にするのでは無く、2人の板前さんがそれぞれの辺のお客さんに向いています。
　おにかいでは1人で切り盛りしていたので、この辺りも「ぷらす１」なのかな。

　鰆（さわら）。
　シャリを包むような大きなネタ、皮を軽く炙ってあり、香ばしさも感じられます。
　この「シャリを包むような」握りって何て名前なんだろうか、訊けば良かったな。

　小肌（こはだ）。
　こちらもすっと長めに切れ目が入り、って、全てのネタに切れ目を入れているわけではないんだ。
　くずし寿司を標榜されていても、江戸前寿司を残しながら、なので、その辺りの塩梅が素晴らしい。

　とりササミ。
　「15貫の寿司に3品の小皿料理」と紹介されていて、ここで初めての小皿。
　付け合わせの野菜などは全く聞き取れず、すみません。
　江戸前寿司からくずし寿司に切り替わる箸休め、なのかな。

　Grottolo Montecucco Rosato（グロットロ　モンテクッコ　ロザート）トスカーナ　イタリア　2018　ロゼ。
　ペアリングコースにロゼが入っているんだ、次のお寿司に合わせるんだな。
　となると、お寿司のコースはワインに合わせてなのかな、どうだろうか。
　ワインは無くなると注いで下さいますので実質飲み放題、貧乏症の私は何度もお代わり。

　桜鱒（さくらます）。
　桜を食べているんじゃ無いかと思うほど桜が香るのは、桜の花を合わせて寝かせているから。
　この香りが鱒の美味しさを引き立てて、とても素晴らしい握り。

　おにかい同様、鰹（かつお）をテーブルで燻製にします。
　まず、燻製にする前の切り身を見せて下さいます。

　燻製機（？）での燻製は、動画必須。
　https://youtu.be/0NbDV26X-Gw
　他のお客さんは見慣れているようで、スマホを構えているのは我々だけ。

　鰆の様にシャリを包むような握り、って、握っていないんじゃないかと。
　燻製と言っても煙で香りを纏わせただけなので、鰹の鮮度はほぼそのまま、それが心好い。

　のどぐろ（赤鯥：アカムツ）の手巻き。
　皮を軽く炙り、奈良漬け、大葉を挟んだ手巻き、一口で食べるととてもつもなく心好い。
　こう言ったサプライズは女性客から提供するのが定番なのでしょうけど、分かっている板前さんは違いますね。
　先ずは私、隣で見ていた女子が私の所作を見よう見まねで受け取ってサプライズ。

　Sella & Mosca Terre Bianche Alghero Torbato（セッラ・エ・モスカ　テッレ・ビアンケ　アルゲロ　トルバート）トルバート　サルディーニャ　イタリア　2020　白。
　ここで白、グラスは変わらずステムレスワイングラス。
　しばらくは淡泊な味わいの寿司が続くと想像。

　若竹煮。
　季節の筍に季節の山椒の葉を合わせて、ちょうどいい箸休め。
　後から考えたら箸を使うのは２回だけなんだな。

　煮蛤（にはまぐり）。
　シャリが小さめなので相対的にネタが大きく思えるけど、それでいて味のバランスが崩れていません。
　そしてこの蛤が白ワインによく合う、じゃなくて白ワインが蛤によく合います。

　次は海老天。
　天ぷらはおにかいでは階下の「天婦羅みやしろ」で揚げていました。
　こちらは東横線を挟んで徒歩五分ですので、「天婦羅みやしろ」監修の天ぷらを店内で揚げています。

　海老天海苔巻き。
　手巻きなので手渡し、強めの甘ダレが掛けられ、尻尾まで美味しくいただきます。
　江戸前寿司ならば焼海苔をさっと炙るのかも知れませんが、こちらでは敢えてしっとりさを優先されているよう。

　蛍烏賊（ほたるいか）。
　お寿司としてホタルイカを頂くのは初めて、酢味噌で頂きたい気持ちもありつつ、そのままで。
　山葵醤油にも合いますね、とても心好い。

　Villa S. Anna Chianti Colli Senesi（ヴィッラ・サンタンナ　キァンティ・コッリ・セネージ）トスカーナ　イタリア　2017　赤。
　ペアリグ最後は真っ赤な赤、それでもミディアムボディ。
　ホールが注ぎ終わるとさっとボトルを置いて下さり、写真撮影がとても楽。
　「お客さん、おにかいでお見かけしました」と言われましたが、何かの勘違いだろな。

　まぐろ巻のまぐろ。
　大トロの炙り、中トロ、赤身の漬けと3貫分のまぐろを握る前に、プレゼンテーション。
　こう言った演出はとっても素晴らしいですね。

　で、巻すだれで巻く様子も、プレゼンテーション。
　ネタもシャリも結構多めですな。

　まぐろ巻き。
　巻き上がっていきなり渡されても中が良く分からないけど、巻く過程を見ているので、食べる前から美味しい。
　思っていた以上に食べ応えがあり、海苔のパリパリ感が堪りません。

　津島産穴子。
　穴子には煮きりですかね、ふわっとした穴子の美味しさったら。
　更に合わせる赤ワインが良い感じで、「もうお寿司が終わってしまうんだな」と寂しさがよぎります。

　わらび海老巻き。
　おっ、わらびを巻きますか、これはこれで斬新ですな。
　斬新であってもシャリと味がしっかり合っていて、とても美味しい。

　玉子。
　チーズケーキのようにしっかり冷してあり、海老のすり身がほんのり味わえる美味しさ。

　お椀。
　九条ネギ入りが入っていて、冷たい料理が続いたので最後で温まります。

　鰆（さわら）。
　美味しいコース料理はライブ演奏のように、ライブ演奏にアンコールがあるように、コース料理にはお代わりがあります。
　全種類あるのかどうかは不明ですが、勧められるままに鰆を。
　美味しかったネタをもう一度食べられる幸せ、ああ、長生きして良かった。

　鰹（かつお）。
　お代わりの分だけ切り分けて下さり、改めて燻製してくれました。
　美味しいお寿司、美味しいワイン、楽しいお喋りをありがとうございます。
　一周回ったら、また、伺います。

　おにかいでもそうでしたが、こちらでも店長さんから来店のお礼を伝えるショートメッセージが入ります。
　私だけに送っている筈はないので、こういうサービスはとても気持ちいいですよね。
　と言いながら、おにかいからおにかいぷらす１まで二年かかってますが。