Никшић : 食事処 志野

ユーゴスラビア紛争によりユーゴスラビア社会主義連邦共和国は崩壊した。連邦共和国の崩壊後もセルビア共和国とモンテネグロ共和国は連邦に留まることを決断、ユーゴスラビア連邦共和国を結成したが、2006年6月3日に結局はモンテネグロ共和国は独立を宣言する。そして、翌年10月、新憲法制定に伴い、国名から共和国が外される。
南はアドリア海に臨み、南東をアルバニア、東部にコソボ、北東をセルビアのサンジャク地方、北西をクロアチアのドゥブロヴニクとボスニア・ヘルツェゴビに接する欧州東南部、バルカン半島に位置する共和制国家である。
其のモンテネグロの第二の都市が国の西部、ゼータ川渓谷に位置する。古代ローマ人が古代部族の集落跡だった彼の地にアナガストゥム砦を建てたと云われている。12世紀にはオノゴスト，1355年頃にはモンテネグロ人によってニクシチと呼ばれるようになった。

ん？　何か違う、ふむ、違う違う…って、あざとい（笑）

株式会社テーオーシーが経営する複合施設TOCビル、所謂、東京卸売センターは大正15年に設立した星製薬の工場跡地に建設された地下3階地上13階の建造物である。昭和45年に竣工、落成当時は日本最大の容積率を誇った。序でを云うと、ショートショートの神様星新一は星薬科大学の創立者でもある父親の後を継ぎ、一時的だが星製薬の社長を務めたこともあり、経営不振を理由にホテルニューオータニを創業した大谷家へ同社を譲り渡す。
昭和な息遣いに満ち溢れるTOCビルは、ユニクロの前身である小郡商事時代に現ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長が紳士服の仕入れの為に何度も訪問したビルであり、どんな仕事でも嫌がることがないキティちゃんを擁するサンリオが本社を構えていたビルでもある。

屋上に氷川神社が誰知られずに鎮座する其のTOCビルの飲食街は地下に潜む。其の中に昭和然とした趣の大衆食堂がある。
昨年は４、5回邪魔しただろうか、食事処志野がある。
ショーケース横にある黄色の立て看板には赤字で支那そば、其の横に黒字で定食が客を誘う。
自慢は粋き活き農場の無農薬・無化学肥料米（恐らくはあきたこまち）、浄水分解機で精製したアルカリ還元水素水、天草宝牧豚で作るチャーシューらしい。店の佇まいとのは似ても似つかぬ此の徹底振りが何だか微笑ましいのだが、品数も此れでもかッ！な量だ。
肉野菜炒め、肉もやし炒め、肉韮炒め等10種類を超える肉炒め定食、支那そば、白ごま担々麺、広東麺等20種類弱の麺類、炒飯、カレーライス、オムライス、中華丼等の米モノ等がずらりと並ぶ。
昔は色々な品書きに挑戦したが、最近は通称ニクシチ、正式名称豚肉七味炒め定食オンリーだ（笑）　恐らくは、此方の店の利用者の大半がニクシチ目当なのかしらんと思うぐらい此の品書に註文が集中しているようにも思う。って毎日通っている訳でもないから、真実は闇の中ではあるんだけども。

賢明な読者、賢明でなくとも読者でなくとも良いのかもしれないけれど、此処に来て漸くポンと膝を打つ方もおられるのではないか。いやいや、もっと前にワカルって（笑）
モンテネグロは別にして此のニクシチ、醤油ベースのタレと七味で豚肉を炒めたもので、スパゲティサラダ、キャベツ千切り、マヨネーズが同居する。
伝え聞く処に拠ると、ご飯は御代わり自由らしいが、此の肉にご飯、味噌汁、新香がつくと、ガッガッガッといっちゃいたい気持ちになると云うのは、未だ何とか生きていて良いってことかしらん。
辛いのかと云うと程好くで、ちょいと濃い目なタレ肉で、忘れた頃に思い出すって感じの出来栄えで、マヨネーズなんちゅうもんと案外あっちゃう感じで、でも、抑えなくっちゃねって感じ。
スパサラダもマヨ味なんで、此の辺はキャベツ任せでいく方が必要以上の炭水化物摂取は避けられるだろう、って、ホンマかぁ？（笑）

イマドキと云う点では、場所柄なのか、相席者の配慮なんかもあったりするんだけど、ケムリモクモク可だったりするんで、勘弁してくれェてな展開も全く無い訳ではないんだけど、昔に比べれば、遙かにマシになっていたりする。ま、そう云う環境はゼッタイ駄目って方は訪問しないのが一番良いだろう。

若者には食べるタイミングなんて考える必要なんか無いのだろうけど、爺ぃぐらいに草臥れた年を重ねちゃうと、嗚呼、此の儘だとくたばっちまうな、な気分の方が、俯き加減で脚を引き摺りながらなんとか此処迄やって来たよな感情と共にニクシチと御対面が闘志を奮い立たせられるようで、良いかもなぁなんてことを思う日に偶さかながら訪問しているようにも感じるのね。
ま、癖になる味の定食ってことなのかな。
雑と云えば雑だけど、店員の動きは宜しくて、意外と過ごし易かったりするし、気兼ねは全く以っていらないし、何だかんだで亦訪問するんだろうね。