【閉店を悼む】人生で初めて自分で稼いだお金で訪れた寿司店。 : 都々井

今日(いや正確に言えば日付が変わってしまったので昨日)は渋谷にいた。寿司の口になり、当店のことがふいに頭に浮かんだ。ただ1月の終わりにお邪魔していたし、山手線で移動する気力もなかったので、富士そばで簡単にすませてしまった。

帰宅して食べログを開けると何と2017年3月18日をもって閉店だと言う。ショックのあまり呆然自失。もうあのガード下のお店に伺うことは2度とできないのだ。

初めて当店を訪れたのは確か1995年。人生で初めて自分で稼いだお金で訪れた寿司店。仕事がうまくいった時の自分へのご褒美だったり、落ち込んだ時のカンフル剤だったり、楽しい時も苦しい時もそれこそ何十回となくお邪魔した代えがたい特別なお店。

最後にお邪魔したのは２ヶ月弱前。その日も土曜日だった。いつも通り特上を注文。特上からお好みという流れが定番なのだが、2軒目だったので、特上のみを頂いて20分程の滞在でサッと失礼した。まさかあれが最後になってしまうとは夢にも思わなかった。

今にして思うと予兆はあった。当代の表情にはどことなく陰鬱さがあり、心の内に澱のようなものを抱えているように感じたから。既に閉店が決まっていたのだと思う。

なぜもっと頻繁にお邪魔しなかったのだろう。そのことが悔やまれてならない。

先行レビューによれば、JRからの通告で高架下の今の店舗は閉店せざるをえないのだそうだ。ただ五反田で代わりとなる物件を見つけ移転される心積もりのよう。その時は真っ先に馳せ参じようと思う。

お世話になりました。そしてまた新たなる都々井さんにお邪魔できることを心待ちにしています。

＜訪問記録＞
■訪問日時:2017年1月28日20:30頃。3年チョイぶり。2013年は3回お邪魔したが、以来、すっかりご無沙汰してしまった。

■場所：JR山手線の高架下。東五反田側の改札→線路沿いに大崎方面に歩くとすぐに発見できる。迷いようがない極めて分かりやすい立地。

■お店の状況等
・社用族でなく、自腹で飲み食いする会社帰りの勤め人さんがメインの客層。
・土曜にも関わらずカウンターは仕事帰りという感じのお客さんでほぼ満席。
・喫煙フリーなのは変わらず。
・握り担当は当代ともう1人の職人さんの2名。
・20年程前は確か先代が現役で、当代は若旦那という感じだったが、時を経て貫禄がついている。
・見習いという感じの若い職人さん＋給仕の女性の4人体制。

■頂いた品:特上1,600円。
　平目、いさき、紅ずわいがに、数の子、活ホッキ貝、ボタン海老、トロ、いくら、うに。

■味・総評
まさに庶民のための寿司。特上は20年前から価格はほぼ据置。リーズナブルに良質なネタを提供されていることに改めて敬意を感じずにはいられなかった。
(2017年3月19日時点：レビュー109件。評価3.51/マイレビュアー様7件。評価3.47）

＜第3回レビュー＞
2013年12月20日21:40頃の訪問。やはり五反田に来たら、つい当店にお邪魔したくなる。4ヶ月強ぶりの再訪。カウンターは、この日もほぼ満席だ。嬉しいくらいにお店には活気がある。

■頂いた品・味
既にうどんを頂いていたので、ごく軽めに。全て2貫ずつ。握りのみでノンアルコールでお茶のみ。
・鯵200円。
・きびなご200円。
・づけマグロ200円。実にしっかりと漬けにしている。醤油を付けると塩気が強すぎるが、そのまま頂くとちょうどよく、気に入る。
・〆鯖300円。この日一番のお気に入り。よほど鮮度がいいのか、浅めの〆加減で大変美味♪
・ホッキ貝400円。磯の香りをしっかり感じることができる。
計10貫で会計は1,300円。

■総評
やはり、馴染んでいるお店だし、好きだなあ。お店は築年数も経過していて、お世辞にも小綺麗な感じでないし、喫煙もフリー。お上品な方には、なかなかお勧めしづらいが、オジサンは昔の思い出と紐付きなので、特別な感慨がある。

当店に頻繁にお邪魔していたのは15年以上前。オジサンが五反田で働いていた頃。

当時は本当に金がなくて、仕事がうまくいった時や、辛かった時等、自分を奮い立たせるために行く特別なお店だった。

代がわりされたようで、当時の若大将が今ではお店を切り盛りされている。少し貫禄は出てきたものの、時間の経過をほとんど感じさせない程に面影は当時のまま。

いつお邪魔しても、タイムスリップしたように若かりし頃を思い出せるお店。これからも末永くお付き合いしていきたいと思う。

レビューについては今回で最終回にしたい。

＜第2回レビュー＞
2013年8月16日21:30頃の訪問。約7ヶ月ぶりにお邪魔した。

■場所：JR山手線の高架下。東五反田側の改札を出て、大崎方面に線路に沿って歩くとすぐに発見できる。多分、迷いようがないほど分かりやすい立地。

■お店の状況：お盆の期間中にも関わらず、カウンターはほぼ満席。お客様は、いかにも近隣で働いているという風情の方ばかり。

■注文の品・味
この日は、お酒なしで、最初からお好みで注文。（価格は2貫分の表記）
2種類×2貫づつを5回注文したので、計20貫。会計は2,400円。
・カツオ200円
・鯵200円
・いさき300円
・まぐろ赤身200円：恐らく冷凍なのだと思うが、水っぽさもなく、むしろ身は凝縮したネットリとした濃厚感がある。
・鰯200円
・づけまぐろ200円：づけも甘くないのがいい。
・まぐろ赤身200円
・こはだ200円：〆具合がちょうどいい♪
・真鯖300円：塩も酢もききすぎることなく、しかも脂もあっさり目だが鯖の風味もきちんと感じられる。
・ほっき貝400円：貝の風味がしっかりあり、鮮度も◯

今回は、まぐろの赤身系と青魚を中心に頂いたが、魚が品薄になるはずの時期にも関わらず、全体的に鮮度も良く、〆モノやづけ等も丁寧に作られている感じが非常によく伝わってきて、味の面で前回以上にとても満足。

近隣で働く方に間違いなく愛されている当店。私もその中に時々紛れ込ませて頂こうと思う。

ご馳走様でした♪♪♪評価を3.7→3.9に変更。

＜初回レビュー＞
2013年1月25日の夜20:40過ぎの訪問。当店は、15年程前によく伺わせて頂いていた本当に思い出深い立ち食い寿司店。

つい最近、五反田時代に当店と並んで、お世話になっていた駅近くの立ち食い寿司店に訪問したことも引き金となり、原点回帰の意味で当店に久しぶりに訪問したもの。記憶がやや曖昧だが、恐らく10年超ぶりの訪問。

■注文の品
・お決まり。特上寿司1,400円。
　紅ずわいがに、エンガワ、かんぱち、甘海老、大トロ、数の子、煮帆立、イクラ、うに、鉄火巻。

・お好み1,800円
　こはだ×2、づけまぐろ×2、あじ×2、昆布〆平目×2、ミル貝×2、白子×2の12貫。
計21貫と巻物1で、総計3,200円

■味・総評
まず注文時に驚いたのは価格。特上寿司は、15年程前に当店に訪問していた頃と同じ値段?!

本当に驚いた。この間に、食材価格は間違いなく上がっていることを考えれば、とても凄いことと思う。

また、その頃もつけ場に立っていた若大将は今もご健在。時間の経過を感じさせない程の若々しさ。さすがに自分のことは覚えてくださってはいないようでしたが、個人的にはお目にかかれて非常に嬉しかった。

味の面で全ての品がなかなかだと思ったが、特に印象に残ったのは、イクラ、こはだ、づけまぐろ、あじ、ミル貝、白子あたり。個人的には味の面でも十分満足。ただ、個人的な思い出がスパイスになり、特別な味わいを加えてくれているので、私の評価はやや盛っていると思って頂いた方がいいかもしれない。

個人的には、回転寿司以外の寿司を頂くようになったのは、当店と駅近くの魚がし日本一の2店がキッカケ。当時は、若くて金もなく、日々の食事は牛丼とラーメンがほとんど。天一の唐揚定食や小法師のチャーシューメンを食べるのが日常の一番のご馳走で、高級寿司など夢のまた夢。

そんな中で当店で頂く寿司は、仕事がうまくいった時等の自分へのご褒美として伺うような「非日常的なご馳走」だった。回転寿司に比べるとネタもだいぶ良いものを使っていたし、カウンターに都度注文すれば握りたて！回転寿司の2～3割増し程度の値段で、カウンターで寿司が頂ける本当に有難い存在だったのだ。

この日は金曜日。しかも、多くの会社の給料日である25日だったせいもあるのか、十五人程度のキャパのカウンターは満杯で、とても活気があり繁盛している。思い入れのある店が、昔と変わらず繁盛しているのは、とても嬉しいものだ。

客観的にはともかく、個人的にはまさに思い出の店であり、久しぶりの訪問で、是非また伺いたいという気持ちをとても強くした。

ご馳走様でした♪♪♪