平日ランチはチャージ料無し、座れる『俺のフレンチイタリアン』 : 俺のフレンチ・イタリアン OMORI

大森駅東口の商店街にある『俺の』系列のお店です。

『俺の』のお店は銀座界隈が多いですが、気づけば大森にもできていました。
大森店の特徴は、平日ランチならテーブルチャージやお通し代が無いという点です。

平日ランチは、リーズナブルな価格のメニューがあります。税込み５００円のワンコインランチは、しらすのパスタでバゲット付き。日替りメインディッシュは、ビーフストロガノフのバターライス添えで９８０円＋税。本日のスープ（２００円＋税）はトウモロコシのスープとのこと。

いただいたのは、
■ズワイガニとアボカドのムース（４５０円＋税）
グラスの一番下にアボカドのムース、その上に玉ねぎのムース、コンソメジュレがあってのズワイガニの身ととび子のような魚卵が盛られています。
ズワイガニの身の量は価格相応、コンソメの旨みと玉ねぎの甘さはなかなかいいですが、アボカドは色を維持するために加えられた酸味があります。この酸味の存在感があり、全部を混ぜて食べるべきか、各層を別々に食べるのか難しいところです。

■鮮魚のカルパッチョ盛り合わせ（６８０円＋税）
カンパチとホタテの２種盛りです。
ワインビネガーを使っているようで、これの香りがいいですね。野菜や海藻も盛られていて、見た目も華やかです。
味は、想像どおりですが、比較的単価の高い魚介類ですし、華やかですし、お得感がありますね。

■オマール海老一尾丸々ロースト（１，９８０円＋税）
名前に間違いはなく、完全な１尾がひと皿に使われています。
爪の部分はカットされており、伊勢海老のような見た目になっていますが、爪の身の部分は剥いたものを盛り付けてくれています。この爪の身は食べやすくてボリュームもあり、美味しいですね。
また、尾のあたりも身が殻から簡単にはがれてくれるので食べやすいです。
ソースは、アメリケーヌソースですが、サラサラでやや軽い印象があります。逆に海老の身の味をしっかりと感じられるので日本人にはこのぐらいの仕上がりがいいですね。

■２５０ｇ！鉄板牛ステーキ（９９９円＋税）
ランチメニューです。ひとかたまりで２５０ｇではなく、２切れでした。他の料理を作った際に出た切れ端を利用したステーキと推察します。こういう努力で安く提供しているのでしょう。
脂身の少ない赤身で、塩胡椒がしっかりと効いています。シンプルに肉の旨みを堪能できるものです。牛肉のステーキ系の料理３種類を制覇しましたが、意外にこのお肉が一番美味しかったです。
ソースが付きますが、焼肉のタレのような甘辛いもので、これもなかなかいいですね。そのままの塩胡椒で食べてもいいですし、ソースをかけて食べてもいいです。
付け合わせにベイクドポテトがまるまる１個付きます。また、その上に盛られている野菜はルッコラセルバチコです。香りが強くていいですね。

■短角牛サーロイン１ポンドステーキ（１，９８０円＋税）
熱々の鉄鍋にたっぷりと盛られたボリューム満点のステーキです。この量があれば大食漢でも満足でしょう。１ポンドは約４５０ｇです。
サーロインとありますが、サーロインの特徴たる適度な細かい脂があまり感じられず、赤身に近い感じでした。ちょっと期待し過ぎていた感はありますが、価格・量・質を総合的に勘案すれば良質だと言えるでしょう。
ソースは、ランチのステーキと同じ焼肉のタレのようなものとわさびソースの２種類です。やはり、焼肉タレが合いますね。
付け合わせのフライドオニオンもたっぷりあります。付け合わせを主食にいただけるぐらいの量があります。

■牛フィレ肉とフィレ肉とフォアグラのロッシーニ（１，９８０円＋税）
『俺の』の代名詞というべき料理でしょう。『俺の』がお店を展開するようになって５年以上が経過しますが、その間で『俺の』仕様に研究がなされている料理だと思います。
フィレ肉の上にフォアグラという構成はスタンダードな盛り付けですが、その下にはパンが敷いてあります。フォアグラはカットすると脂が出てきますし、肉も大きめなので肉汁が出ます。これをパンで吸わせることができるので無駄なく味わえますね。
また、ソースの縁をマッシュドポテトで囲い、ソースが流れないように工夫されています。
お肉のサイズは、一般的なフレンチのメインと比較すると１．５～２倍ぐらいの量があります。その盛りの良さと比較するとフォアグラのほうはやや控えめな盛りですね。フォアグラの脂は独特のナッツような香りがあります。また、高級食材として扱われますが、レバーという鳥類の内臓肉なのでクセもあります。食べ慣れていないと量があり過ぎても美味しく感じないのでその配慮からでしょう。
よく研究されていて、誰でも満足いくメインになっています。

■ワタリ蟹のトマトクリームパスタ（７８０円＋税）
１皿でワタリガニ１尾相当以上が使われています。蟹の甲羅の部分は無く、カットされた脚の部分のみが入ります。
お洒落なお店は、甲羅の殻を上手に使ってカッコよく盛られています。１尾で仕入れずカットされたものを仕入れたほうが安いのでしょう。安さと美味しさを両立する秘訣がここにあると思います。
『トマトクリーム』とのことですが、ワタリガニのダシが出ているトマトソースという感じで、クリーム感は感じません。
一番魅力的なのは、このテのパスタは、いいお店だと身を食べるのは諦めるしかないですが、『俺の』はカジュアルなので、下品にならない程度に身を取り出せます。小ぶりな蟹でも、なかなかの旨みがあるので身を食べられるというのは嬉しいです。
麺は乾麺を使用していて、ごく一般的な仕上がりです。

■苺のティラミス（３８０円＋税）
価格は安いですが、１個のサイズもなかなかのもので、カップルでシェアするのがちょうどいいぐらいです。
盛り付けも手を抜いておらず、チョコレートで羽のようなものを作り、刺さっています。
よくできているのは見た目だけでなく、ティラミスの本体からも苺の味がして、春らしい仕上がりになっています。
これだけを単品で売っても商売として成立するぐらいの完成度だと思います。


フランス料理もイタリア料理も画一的なものではなく、その土地における郷土の味があります。また調理法も凝ったものがありますが、こちらで提供される料理は、いわゆる高級食材と呼ばれるものを定番の調理法で料理したものです。２１世紀の日本で求められる大衆的フレンチという感じで、高級食材を豪快にお腹いっぱい食べるという方向性では、『俺の』に勝るお店は無いですね。
大森店は、平日ランチならチャージも無く、ワンドリンク制も無く、空いているので料理に予算を集中して楽しむことができます。また、座れるという点もいいですね。都心のお店は立ち食いで、しかもテーブル間隔が狭いので快適ではありません。食事をする際にパーソナルスペースが確保できているというのは落ち着きます。
下戸や家族連れにおすすめですね。お酒は飲まずにしっかりと高級食材をいただきたいお店です。