感動的な美しきストーリーに魅せられて : カンテサンス

食べログアワードGold
ミシュラン三つ星 12年連続。

誰もが認める日本最高のフレンチレストランの１つ。
仲良しマイレビュア様にお誘い頂き個室会。

久々、山羊のバヴァロアとの再会に感動。正直、3年前は美味しいなとは思いつつもスペシャリテには物足りなさを感じていました。しかし何ということでしょう〜…一口で口福に包みこまれるような味わいは自分の味覚レベルがようやく時を経て追いついたからでしょうか。完璧にコントロールされた塩味が一口ごとに至福へと誘うよう。悶絶レベル。勿論、合わせるのは定番のフーバー・グリュナー・フェルトリーナ。仄かな果実味と酸味がゲランド塩と相まって濃厚なミルクの風味を広げてくれました。そしてやはり、岸田シェフの真骨頂は火入れ。寒鰤の皮目から身まで一体となった流れるような食感に驚きを隠せません。他店だとどうしても皮目だけパリパリ過ぎて身の柔らかさと調和がいまいちだったりするのですが、もうこの火入れは神域と言っても過言ではない。メインの仔羊などは自分史上最高。信じられないくらいフワりと上品で優しい口当たりなのに噛み締めれば肉々しさ全開。こんな仔羊を食べたら他では絶対に満足できなくなってしまう。大好きな富山の陶芸家・釋永岳氏の皿が美しく引き立てる。最後のショートケーキまで感動的な美しきストーリーで魅せてくれました。

ワインペアリング入れて47000円。

品川の御殿山。
食べログ日本一、ミシュラン９年連続三ツ星に輝く名実ともにNO.１フレンチ。
シェフは岸田周三氏。パリで一番予約困難な三ツ星店とも言われる「アストランス」でスーシェフを経験されています。

訪問を夢にまで見ていたお店ですが、お誘い頂き念願の初訪問を果たしました。
当店は個室のみ写真撮影可。本日は幹事様が個室を予約して下さり、お言葉に甘えて美しいお料理の数々を写真におさめさせて頂きました。

入店すると、まずはウェイティングスペースのソファでお待ちくださいと案内されました。
気品あるエントランスで、この時点で既に別世界に迷い込んだような錯覚に陥ります。
個室はエレガントで落ち着いた雰囲気。数々の美食家たちをこの部屋で唸らせてきたのかと思うと胸が高鳴りました。

本日は幹事様に全てお任せしていましたのでコースの金額などは不明ですが、ワインペアリング合わせて37000円ほどと記憶しています。
まずは真っ白な何も書かれていないメニューを渡されます。ドキドキさせてくれる演出ですね。

その日のコースの概要は以下の通りでした。

〇鰯のビスケット
〇トマトの冷たいスープとカモミールのグラニテ
〇山羊乳のバヴァロア　塩とオリーブ油が主役
〇仔牛とフォアグラ　島ラッキョウ　黒ニンニク
〇車海老と桜海老のチップス
〇アーティショーのベニエとアナゴ
〇鳴門のマナガツオ　焦がしバターとプンパニッケル
〇花悠仔豚の3時間ロースト　ピスタチオのソース
〇ジンと梅のソルベ
〇オペラ　リキッド
〇キングデラウェアのタルト
〇メレンゲのアイスクリーム

いやぁ～魅せられました。あまりにも先入観で期待し過ぎると満足度のハードルが高くなり過ぎて不発に終わってしまうことも度々経験してきましたが、予想を遥かに超える料理に心から大満足。
岸田シェフの解釈するフランス料理はクラシカルでもなく最近流行のイノベーティブ・スタイルでもなく。「プロデュイ（素材）」「キュイソン（火入れ）」「アセゾネ（味付け）」の3つのプロセスを何よりも重視するスタイル。まさにそれらを1皿ごとに堪能できました。

スペシャリテという山羊乳のバヴァロア。塩とオリーブ油が主役というシンプルなお料理ですが、だからこそ、素材と味付けにトコトン拘ったシェフの思いを感じる一品ですね。車海老と桜海老のチップスはサクサクッとした食感すら楽しめて風味も素晴らしく、旬のアナゴもプリプリっとした食感が忘れられません。マナガツオの火の入れ方もお見事。日本料理店ではここ最近頻繁に食した素材でしたが、何ということでしょう、未だかつて口にしたことがない味わいでした。それでも自分の中で本日の最高の一皿を挙げるならやはりメイン料理を推したいと思います。仔豚の想像を絶するやわらかな食感とピスタチオのソースが奏でる味わいは一皿で何度も美味しい思いができる最高の一品。最後のデザート尽くしに至るまで流れるような美しいストーリーで魅せてくれました。

本日ご一緒させて頂いた方々のうち半数の方とは初対面でしたが、中盤からは以前からの知り合いであったかのように会話も楽しいひと時でした。メインフロアの方もカンテサンスでは珍しく？賑わい盛り上がっている様子でしたね。ただ美味しいだけではなく、心から食事を楽しめる空間だからでしょう。

シェフには最後に一緒に記念撮影をして頂きました。お若く見えるのでお聞きするとなんと同年代とのこと！
とても優しい人柄が滲み出ていて、お料理の繊細で詩的な表現はそこからくるものだろうと納得。料理の味だけなら文句なしに☆5.0
全てのお皿にシェフの思いが込められていて、まるで全てが夢であったかの如く楽しい宴の時間を過ごさせて頂きました。