【半年ぶりの贅沢な時間…】 : 東麻布 天本

もう予約がいっぱい過ぎて、来れる事自体が奇跡になって来ている。
この日も感覚的には、もう最後かも、と思いながら、ありがたくいただく。
思い起こせば、この日の予約は元旦の日に取ったモノ。

それにしても、僕ら以外の予約客も知り合いばかりだった。

料理はお任せ。まずは①「つぶ貝、じゅんさいを甘酢で」…夏を感じさせる爽やかな一品。

②「久里浜のタコ」…タコと思えないくらいの柔らかさ。

③「対馬のカツオ、新玉ネギと一緒に」…皮剥いでもちっと、シャキシャキ玉ねぎと酢のきいたタレで。こりゃ、美味いわ。

④「あさりの出汁でとった茶碗蒸し、能登のこのわた、芽ネギを乗せて」…このわたの珍味と茶碗蒸しの風味の優しさが絶妙なバランス。

⑤「和歌山箕島のヒラ胡麻鯖」、…生からの焼きで、皮のパリパリ感と身の柔らかさのコントラストが美味しく素晴らしい。

⑥「北海道増毛のボタン海老」…ふんだんな量の玉子を乗せて、わさび醤油で食べても良し、塩で食べてもよし。

⑦「東京湾竹岡の太刀魚」…水深10〜20mの浅い海で、昨年はカワハギ大フィーバーだった竹岡。そこ漁場で獲れたふわっふわの太刀魚にワサビを表面にたっぷり満遍なく塗って食べる。太刀魚の下には酢飯があり、何とも美味い。

ここから握り。❶「玄界灘白いか」…甘くて柔らかくて、イカの概念が変わるくらい。
❷「鹿児島県出水市の春子鯛(かすごだい)」…春子鯛と書くくらいだから春に産まれ、春が旬だと思いきや、生まれたばかりのものは小さすぎるし、なかなか大きくならないので一年中食べることが出来るよう。これも美味しかった。

❸「東京湾のコハダ」…締めて2日間、香りもかなり鮮烈で味も濃厚で美味。
天本さん曰く、相当スペシャルな「豊後水道のイサキ」。一日寝かせて漬けで。膨よかな味わい。

❹「須崎の金目鯛」…昆布で締めたような旨味があったがそうではなく、自身の旨味。

❺「境港の97キロのマグロ赤身」…スッキリ美味い。

❻ 「マグロの血合いぎし」…以前もいただいた「血合いぎし」。血合い近くにあるこの赤身部位は味がとても良い。

❼「中とろ」…良い感じに脂が乗って美味い。

❽「厚岸のマスノスケ」…キングサーモン。大きいものは50kgを超える。マスノスケは5年周遊すると言う。個人的にはサーモンの握りはそれ程好きではないが、マスノスケは大好き。

❾「余市の塩水馬糞ウニ」…へー、余市のウニか。。甘エビとかイカ、ホッケ、とかは食べた事があるが余市のウニは初めてかも。もちろん濃厚でかなり美味しい。

➓「車海老」…ぷりっぷりでありながら柔らかくて甘みも口の中に伝わる毎度毎度の絶品車海老。

⑧「魚のアラで出汁をとった味噌汁」…深みのある味でホッとする香り。

(11)「東京湾横浜小柴のアナゴ筒漁で獲る貴重なアナゴ」…ふかふかの食感。最近東京湾であまり良いアナゴが獲れないと言われるが、今日のは絶品。改めて美味しいと思う。

⑨「玉子」あのスイーツのS小山さん指導？による玉子焼きはまるでスイーツデザート。ふわふわの玉子食感の絶品。以前より甘さが控えめになった気がするが、こちらの方が好み。

(12)「贅沢な太巻き」…W杯にちなんで『まけない＝巻けない、負けない』くらいに中身の詰まった太巻きを作ると言って巻き始めたが、巻けてしまった（笑）。中身の具は、ウニ、マグロ、胡瓜、イカなどなど贅沢三昧の太巻き。最後にこれでもかとガツンと美味しかった。

握りが12貫と以前に比べて5〜6貫減ったが、確かに胃にはちょうど良い。
以前はお腹がぱんぱんになり過ぎた。

さて期待は薄いが、年内にどなたからかお誘いを受けるチャンスがあるかもしれないと信じて「良いお年を」の最近の常套句は封印した。

来年1〜3月の予約分は3ヶ月後の10月1日のお昼から。OMAKASEサイトで一斉スタート。

いつもお食事を一緒にする方から誘われて半年ぶりの訪問。（で、その方は来れなくなってしまったと言うハプニング）
もはや、人気店過ぎて、幻の席になりつつある。

店主の天本さんは以前よりも明るく、余裕と言うか、貫禄を感じた。

こんなに美味しいネタの数々とはそうそう出会えない。感動レベル、思い出になる夜だった。

まずは
①糸島の「もずく」
②愛知県祖父江の「銀杏」…
③北海道厚岸の「つぶ貝」
④鹿児島串木野の「天然カンパチ」
⑤瀬戸内の「白シャコ＝（水シャコ）」をわさびで
⑥ナガスクジラの「尾の身」をわさび醤油で
⑦北海道の標津の生いくら、
⑧東京湾木更津の「かます」、脂マックス、ベルギー産の生キャビア乗せ、
⑨「仙鳳趾（せんぽうし）の牡蠣」
天本さんは秘密の入荷先から手に入れているそう。釧路町の東側に位置する仙鳳趾（せんぽうし）は、潮の流れがきつく、その海で育った牡蠣は身の締まりかたが半端なく、味もまさに海のミルクを想わせる。
⑩青森下北半島 あん肝
11.長崎「のど黒」、
12.「増毛のボタンエビ」
13.「気仙沼の戻りカツオ漬け」、漬けはほんの少し絡めた程度。
14.「鵡川（むかわ）のししゃも」、大と小の2種。

ここから握り。
❶「函館の松川ガレイを軽く昆布締め」…程よい水分、皮目はサクッと言う食感、幻のカレイと呼ばれているそう。

❷福岡県西区に浮かぶ島「玄界島の鯛」。寝かせて3日目。うんまい。
❸「根室のサンマ」、
❹「糸島の福浦港のひらまさ」、ヒラスと向こうではいう
❺「銚子の金目鯛」、
❻「120キロの大間のマグロ血合いぎし」
…血合い近くにある「血合いぎし」と呼ぶ赤身は味が良い。
❼同「トロ」、
❽「横須賀市鴨居のカワハギ」…このエリアのカワハギはアサリを餌にしていて実に旨味が濃いい、1キロ16000円と高価なものだそう。とにかくネタの上に置いたキモが流れ出さない不思議。
❾「シンコ」、
➓「宮城渡波の赤貝」
11.「木更津の海苔で巻いた赤貝の紐」…こらまた絶品。
12.「馬糞うに」…ひんやり甘い味。
13.増毛の「車海老」
14.初めて聞いた「希少な関空の鯖」…細かいさしが入り、クセがない。
15.「呼子のイカ」…大将の天本さんは後半にイカを持って行くには相当自信がないと出来ないと言う。確かに帰る時の印象にそろそろ残るネタとなる頃。

※ここで、赤出汁が入り、これがまた美味いのなんの。

16.「対馬の穴子」…、え？まじ？溶ける。この食感の穴子は食べたことがない。
17.玉子はほぼデザート。甘さは控えずデザートととして成立している。芝海老も入りじっくり焼いたありがたい玉子焼き。記憶に残る味となる。

よーく食べたなぁ、自分でもビックリ。
後半のネタは確かに記憶に刻まれる美味しさの連続攻撃ネタ。さらに言えば、酢飯の硬さといいサイズといい理想形。以前は酢飯もここまでの素晴らしさを感じなかったのだが、天本さん曰く、ようやくたどり着いたとか…。

なんだか、最高のネタを最高の技術で食べさせてもらった感じ。やだなぁ、こう言うの食べると、なかなか普通の店が行けなくなりそうで…。でも、ホントにこれは特別な事と肝に銘じないと。

ところで、先日のネットによる来年1〜3月予約争奪戦には敗退。
次は元旦昼12時より4月1日からの3ヶ月間のネット予約開始。
あけましておめでとう！と言いながら、多分ケータイでカチャカチャやることになりそう…。

人気すぎてもう年内予約はいっぱいなので、僕にとっては3月にして今年最後の天本訪問。
そう考えると寂しくなってくる…(>_<)
今回の予約も半年以上前の去年の8月訪問時に取ったもの。

この日印象に残った秀逸な品々は以下。
「ホタルイカの藁焼き」（この食べ方は相当イケる…）
「ナマコの卵巣＝このこ（くちこ）を使った茶碗蒸し」、塩分控えめのこのこは、主張しすぎず素晴らしい味わい。
「黒ムツの卵」の出汁の効いた椀で。グリルした「黒ムツ」。黒ムツの美味しいところをそれぞれの形で食す。

「佐島のワカメと千葉の蛤を入れた、アサリのお出汁、上には炙ったカラスミを乗せて」
結構この辺りからトップギアか。スゴく出汁が効いて美味しい。
「青森の雲丹、キャビア、ボタン海老」、豪勢すぎて美味し過ぎる一品。雲丹が生きて動いているし…。
「青森三厩（みんまや）の中トロ」口の中で溶けて行く…これまた絶品。
「東京湾のコハダ」コハダの締め方、酢メシ具合が抜群のバランス。
「のどぐろ」脂が乗って美味くいただく。
「一日寝かせた福岡の鯛」、「2日目の福岡のさん鰆」
「東京湾のめぬけ」、コリコリの食感が楽しく美味しい。
「芽ネギが間に入る金目鯛」、
「東京湾の穴子」今日は入荷なく、6貫分しか店にもない貴重な一品。
「東京湾のスミイカ」歯ざわりも優しくねっとり美味しい。
「かすご鯛」、かすごは漢字で「春子」。本鯛の稚魚のこと。季節を感じる一品。
「唐津の赤うに」今年の初物、濃厚で旨〜い。
「豊後水道の車海老」ぷりっぷりの絶品。
「青森の桜鱒の燻製」、やばいトロける。
〆のスイーツデザートのような「玉子」は海老入り。

あれ？結局ほとんどのメニューが印象に残るモノで書き込んでしまった。
ホントに約2時間半を楽しく美味しく食べ続けた。
やっぱり、すぐにまたまた、来たいなぁ。いつ来れるか分からないなんて、寂しい…(>_<)

開店からわずか2ヶ月で、今やなかなか予約の取れない寿司店として有名になっている「天本」。

つまみから最後まで息をつかせぬ、技の連続。青山の名店「海味」の時の技も活かしつつ、さらに発展している真っ最中。
いやはや、頼もしい33歳の寿司職人さんが出てきたものである。

一応参考までに、今日のベスト5を紹介。実はつまみ10種、握り17種とふんだんに出てきた中からチョイスなので難しい。


❶今回いただいた「千葉県大原のダイコク鮑」はキロ当たり黒鮑の倍の値段だと言う。酒につけた鮑をラップの中に包んで3時間漬けて、鮑から出た煮汁で仕上げたもの。本当に絶妙な柔らかさで、いただいた中で最も印象に残っている。

❷「五島の2キロ超えアオリイカ」、表面は縦に切り、裏は斜めに切って甘みを引き出す技が潜む。トッピングの「喜界島の塩とすだち」が味のシナジーを醸し出す

❸「玄界灘の鯛」。熟成4日目で旨味がマックスだそう、口の中での旨味余韻が続く一品。

❹「岩手の馬糞ウニ」。パリパリの有明の海苔とのハーモニーがたまらない。

❺皮も柔らかい「北海道野付の筋子」塩分控えめで、美味すぎ。

番外スペシャル
「鉄砲＝わさびの利いたかんぴょう巻き」。かんぴょうの味が濃く、かなり印象的。お腹いっぱいでも、食べたい一品。

その他、大間のマグロ、シンコ、「毛ガニとキャビア」も美味くないわけがない。結局どれも全部めちゃくちゃ美味しい。

予約は残念ながら、なんと、半年先まではいっぱいだそう。(^_^;)

なんとか来年中には、また来たいものである。