ポンデュガール（新富町）…ああ、リヨンブルー沼に沈んでいく : ポンデュガール

もう週末はリヨンブルーグループなしでは過ごせなくなっている。
他にも通常営業している飲食店はあるけれど、あまり冒険してみようとは思わない。
リヨンブルーグループの店をぐるぐるとミズスマシのように泳ぎ渡っている。
今日はおよそひと月ぶり、グループの旗艦店「ポンデュガールPontduGard」である。

予約の17時より数分遅れて店に着くと、かつてジジーノに在籍した店員さんに迎えられ、
唯一空いていた入口近くの2人用テーブル席に導かれる。
ワインはその店員さんにおまかせ。
テルミニ、ジジーノじゃないからあえてイタリアじゃないものを選んだとのこと。
メドック2級の名門シャトーのサードラベルでメルロー、カベルネソーヴィニヨン。
飲み応え満点、凝縮された果実味よく、樽も利いていた。

さて、料理一品目はビストロの定番、田舎風お肉のパテ850円が出る。
不思議とビストロのパテやムースだと妻はレバーの味も大丈夫みたいなんだよな・・・
同時にしっかりトーストされた峰屋のバゲットが出る。
食べ放題だけれど美味すぎて食べ過ぎないように注意しなきゃいけないやつね。

二品目は人気No.1‼黒トリュフ風味のオムレツ850円だ。
妻の強い要望により、前回に続いての注文である。
ストレートに脳天に伝わってくる黒トリュフの香りがたまらない。
とろんと食感のいいオムレツはその強い香りを和らげも丸めもしないトランスポーター。

さて、メインは牛カイノミのステーキフリットー西洋わさびソースー2,480円。
ビストロの定番料理のステックフリット、いわゆるステーキとポテトフライである。
カイノミステーキはトスカーナ料理のタリアータのよう。
赤身主体で意外と軟らかく、噛むと牛肉の旨味がギュッと口の中いっぱいに広がる感じ。
濃い赤ワインとほんとよく合う。ビストロに来るとなぜかポテトフライって美味く感じちゃうんだよね。

〆は前回に続いて仁淀川山椒とチーズのシンプルパスタ800円。
ビストロだからパスタはイタリアンぽくなくてシンプルな方がいい。
高知県の仁淀川中流域で栽培されるブドウ山椒の、いわゆる生山椒が使われ、
更にガーリックも加わり、上からかかるパルミジャーノも含め、不思議と調和している。
ビストロで出て来るパスタっぽい味わいと言っていい。

この日も大盛況、我々以外は若い客ばかり。
そりゃあやるよね、こんだけ客が入れ食いなら。
会計は二人で9,900円、ぴったり二時間の滞在、前回同様いい時間を過ごせた。
緊急事態宣言は9月12日には終わらないという読みだけれど、総裁選、総選挙があるし、
ひょっとしたらシルバーウィークはいったんほんの少しの日常を取り戻すのかもしれない。
さもなけりゃ、リヨンブルー奴隷生活は続く。

思えばあの頃、ワインに興味を持ち始めて妻と都内の人気ワインバーを渡り歩いた。
“がぶ飲みワインの店”なんてひと括りで呼ばれて、メディアでも盛んに紹介された。
我々のような庶民にとってワインが一気に身近に感じられるようになった。
そんな頃に初めてこの店の門をくぐった。
今日は約8年振りに“がぶ飲みワインの聖地”「ポンデュガールPontduGard」に行く。

予約の17時ちょうどに行くと我々の席以外は完全に満席で、2人用テーブル席につく。
店は4人の男性スタッフで切り盛りされ、系列店同様、接客姿勢は明るくて丁寧でいい。
系列の銀座テルミニやジジーノより店内が薄暗いのはワインの保管のためだろう。
銀座テルミニ、ジジーノには地下にワイン庫があるが、この店は店内に保管されている。
そのため夏場は開店前にはかなり店内の温度を下げるのだそうだ。

ドリンクはスタートから赤ワインでいくことにし、
高くなくて重めで樽が効いているもの、とリクエストして三本のボトルを出される。
「おっ！トレ・イコーネ・・・」
「ご存知なんですか？」
「しょっちゅうテルミニで飲んでます。」
飲み応え満点、アブルッツォ州、プーリア州、シチリア州の葡萄のブレンドワインだ。

さて、料理一品目は妻の大好物、鶏の白レバームースとパンデピス850円だ。
パンデピスはナッツやドライフルーツなどが入らずシンプルで甘味強めの仕上がり。
レバームースもクセがなくいい感じ。

ここで峰屋の絶品バゲットが出る。
もちろん食べ放題だが、他のものが食べられなくなるのでおかわりは絶対にしない。

二品目は人気No.1黒トリュフのオムレツ950円が出て来る。
当たり前だがふわふわとろとろの食感、フォークで割っても黄身が滲み出したりしない。
トリュフの香りにほのかにニンニクも利いていて、いつまでも食べていたいと思った。

メインに選んだのは豚バラ肉のバルサミコ煮込み1,780円。
グリルされた茄子とマッシュポテトが添えられる。
もうたまらんね、これ。
ビストロの最強のメインと言っていい。
脂身は甘くて、その旨味がバルサミコベースのソースにも滲み出していて、
バゲットをそれに浸して食べると依存性、中毒性を感じる美味さだ。

〆は仁淀川山椒とチーズのシンプルパスタ800円を選ぶ。
乾麺のスパゲティ、パルミジャーノレッジャーノ、山椒にほのかなニンニク・・・
夏らしくてさっぱりと食べやすい。
ビストロのパスタは具が凝ってない、こんなのがちょうどいい。

会計は二人で9,100円、滞在時間は1時間40分ほど。
「どれも美味かったし、なんか安かったね。」
「今度からこっちでいいんじゃない？」
「そんなこと言うなよ。裏切れないよ、絶対。」
なぜ8年間も来なかったのか、自分を責めたくなるほどとてもいい時間を過ごせた。