無料会員登録/ログイン
閉じる
気になるお店はこちらで保存ができます
空席確認・ネット予約
閉じる
リクエスト予約希望条件をお店に申し込み、お店からの確定の連絡をもって、予約が成立します。
1 予約の申し込み
ご希望の条件を当サイトよりご入力ください。
2 お店からのメール
ご予約が承れるか、お店からの返信メールが届きます。
3 お店へ来店
予約が確定した場合、そのままお店へお越しください。
電話なら予約できることがあります
閉じる
03-3545-8170
最新の情報は直接店舗へお問い合わせください。
昼下がりの蕎麦屋酒をゆるりと楽しむ
午前中の用事が長引き、その後に出先から向かったのは少しご無沙汰しているこちらの蕎麦屋。
13時半過ぎに入店すると、先客は2組と言う状況。
何度か座ったことのある、右手の4人掛けのテーブルを選ぶ。
まずは生ビール(プレミアムモルツ)をもらう。
肴にはすぐに出てきそうな「いかの返し漬け」を頼むが、運ばれた小鉢は'いかの塩辛の返し仕立て'といった趣。
烏賊は上身だけでなく脚や耳も入っているが、塩辛自体の旨味に返しの風味が加わり、濃厚な味わいとなっている。
もう一品はやはりこちらのお家芸とも言える、天ぷらを頼みたい。
定番ものは品書きに載っているが季節ものは正面の衝立のような壁面に掲示されており、その中の'季節の天たね'から「はもの天たね」を選択。
丁寧に骨切りされた肉厚の鱧4切が、やや厚めの衣の'蕎麦屋の天ぷら'に仕立てられており、塩と酢橘・おろし入り天つゆのいずれでも美味しい。
酒には'おすすめ'の「越の松露」を追加したが、切れの良い口当たりが好ましい。
これらでゆるりと蕎麦前を楽しむ。
蕎麦は季節の「トマト切り」も気になったが、今回は久々に十割の「生粉打ち」にしてみた。
やや太めに打たれた所謂「田舎蕎麦」だが、挽きは細かめのためゴツゴツ感は少ない。
噛みしめて味わうと、香りや蕎麦自体の甘みも感じられる。
値段は1,150円と高めだが、3つの山に盛られた量はかなり多く、蕎麦前を楽しんだ後では少し持て余すほど。
私が大好きなマッタリとした「つゆ」の具合も相変わらず。
こちらのつゆを単純に濃い目の辛口と言う人もいるが、藪系の直線的なスタイルとは異なる奥行きのある味わいは独特で、これを舐めるだけで酒が1合呑めるほど。
薬味の山葵は上物のおろし立て。
蕎麦湯は昼の仕舞いに近いため白濁はしているが釜湯のままのため、気持ちよく伸びて〆の満足度も高い。
今回も期待通りの居心地の良さを満喫。
昼でも遅い時間帯ならゆっくりできる。
「布恒」の名前を世に知らしめた先代主人は数年前に亡くなったが、大井の本店は次男が継ぎ、こちらは長男の方が15年前に設けた店。
現状では差は無いように思うが、両店がハイレベルな仕事で競い合うのは好ましいこと。
これからもこの2軒が、私にとって大事な蕎麦屋であり続けることは間違いない。
都心で本店と同じ味が楽しめる。絶品の「つゆ」も同様
この日は「浜離宮朝日ホール」での若手ピアニストのコンサート。
その前に近所の蕎麦屋に寄りたいと模索する。
まず思い浮かぶのは、目と鼻の先の「成富」で、他に「文化人」なども近いが、何れも夜の開店は18時なので、コンサートの開演に間に合わせるにはちと忙しない。
そこで選んだのは、少しご無沙汰のこちら。
17時半ごろに入店したが、すでに2組の先客が居る状況。
奥のテーブルに通された。
後のことを考えて、酒は一合に止めるつもりで「南部美人」を燗酒でもらう。
お通しは「ズワイガニのカニみそ和え」を選択。
760円という価格から多くを期待してはいなかったが、出てきたものは量は少なくとも丁寧な仕事の'とも和え'で味も良い。
酒一合にはちょうど良い分量である。
蕎麦は、この時期ならではの変わりそばの「金柑切り」を注文。
先につゆと薬味の設えが出されたが、いつものようにまずはつゆを猪口に注ぎ、少量を含んでみる。
ゆるぎない味わいに、思わず笑みがこぼれる。
これを薬味の本山葵や大根おろしに絡めれば、確実に酒がもう一合は飲めると思う。
暫しの後に、独特の横長の蒸篭に3つの山に盛られた「金柑切り」が登場。
まず色と香りを愛で、さらに食感を確かめながら手繰っていく。
こちらのつゆは確かに濃厚だが、藪系のような直線的な辛汁とは違い円やかさも有るため、刺身醤油の感覚で味わえば「変わりそば」の繊細さも十分に楽しめる。
自然体の蕎麦湯ですべてを飲み干し、充足感に浸る。
短時間ながら内容の濃い時間が過ごせ、良い心持ちで会場へ向かうことができた。
(新規に7枚の写真を追加掲載)
≪2013年12月のレビュー≫
昼の早い時刻にこの辺を通りかかったので、久々に暖簾をくぐる。
まだ空いていたのでちょっと蕎麦前を楽しもうと、冷酒を1合頼む。
銘柄は「越乃松露」。お通しには「もずく酢」が付いた。
肴は無しにしてすぐに蕎麦にしようとするが、大井の本店同様こちらのメニューは実に豊富。
蕎麦の種類だけでも、更科の看板の通りの「御膳更科」はじめ、基本の「外二のもり」「十割の生粉打ち」、それに更科粉に季節の色や香りを加えた「変わりそば」を常時出している。
種物でもお家芸ともいえる旬物の「天種」には定評があり、夏場に出している「すだちそば」目当ての客も多い。
私も7.8回は訪れているが、すべてを試すには到底至っていない。
今回はこの寒さなので久しぶりに温蕎麦にしてみようと品書きを眺め、「鴨南ばん」に目が止まるが、2,670円という値段にちょっと驚く。
豪快なスタイルとその美味さにおいて、私がすべての「鴨南」のトップと考えている「並木」ですら1,800円であるから、破格の値付けと言える。
こちらの数々の「天種」を使った蕎麦でも、2,000円を超えるものは無いため、どんな凄いものが出てくるかと興味が湧き、思い切って注文してみた。
メニューには‘厚切りとスライスが選べます’と書かれているが、ここはやはり「厚切り」にする。
しばらくすると奥から、鴨肉をじゅうじゅう焼く音と香りが流れてくる。
10分ほどで大振りの丼で登場した「鴨南ばん」は、分厚い抱き身(胸肉)が4切れに「つみれ」1個、それに焼き目を付けた葱3本というスタイル。
箸でつまみ上げた一切れがずっしりと重く、さすがに食べ応えがある。
身はさくっと歯が入るが、焦げ目が付いた皮は、いささか噛み切るには骨が折れる。
こちらの「かけつゆ」は独特のまったりとした「もりつゆ」とは製法が異なり、濃さは普通。
そもそも鴨の旨みが加わることで、コクを増したつゆが「鴨南」の身上。
しかしこちらではこの身の厚さと、一旦油で炒めてからさっとつゆに加える手法であるため、つゆよりも鴨肉そのもののジューシーさや、かぶりつく醍醐味に主眼を置いているように思う。
そのせいかこれほどに大量の鴨が入っていながら、つゆの美味さにおいてはやはり「並木」に軍配が上がる。
蕎麦はやや太めの「外二」を使っているため、熱いつゆの中でもしっかりとした食感を保っているのは立派。
こちらの蕎麦は決して量が少ないわけではないが、鴨肉のボリューム感からバランスを欠いていると思うほど。
ひたすらに食べ進めた結果、案外あっけなく完食したが、満足度はほどほどと言ったところ。
確かに豪華な「鴨南ばん」ではあったが、蕎麦一杯にしては贅沢すぎる。
そこそこの「鰻重」と同じ価格では、注文する客もあまり多くは無いと思われる。
在り来たりのものは出したくないという、老舗のプライドを感じないわけではないが、もう少し鴨の量を減らしても良いから値段を抑えてくれないかな、と言うのが正直な感想である。
(新規に6枚の写真を追加掲載)
≪2012年4月のレビュー≫
久々の訪店。夜の口開けであったため先客は無し。
相変わらずの気持ちの良い応対の若女将に、まず「エビスの中瓶」を頼む。(お通しの黒っぽいものは「割きイカに烏賊墨がまぶさったもの」)
肴にはやはり壁に貼られた「季節の天種」に目が向く。
ひそかに「銀宝」を期待していたのだが見当たらなかった。
「白魚」「白えび」「鱚」の3種の中から「白えび」を選択。
登場したのは薄衣でまとめられた大きめのかき揚げで、さっくりとした食感で油切れも良好。
塩と天つゆの両方が付くのが嬉しく、なかなかの美味さ。
肴にもう一つ「本日の料理」と別書きにされた‘季節のおすすめ’から「春野菜とホタルイカの焼き浸し」を注文。
油で炒めた数種の山菜を濃いめの出汁醤油に浸したものに、旬のホタルイカを取り合わせた創作料理。
「独活、こごみ、菜の花」は確認できたが、もう一種類が分からなかったので女将さんに聞いてみたら、なんと「片栗」とのこと。
それぞれの食感の違いと微かな苦みが心地良く、酒に広島の「竹鶴」を追加してゆっくりと「蕎麦前」を楽しむ。
〆の蕎麦はこちらでは蕎麦自体の種類が幾つもあるのでいつも迷う。
‘本日の変わりそば’は「胡麻切り」で、黒胡麻を使っているのが面白そうだったのでこれを選ぶ。
更科に摺った黒胡麻をふんだんに練り込んだと思われ、やや太めに打たれているのでしっかりとした歯ごたえ。
色と同様に香りも濃いため、独特のつゆとの相性も良い。
蕎麦湯は口開けであったため多少の手は加わっていたが自然体であるため、まったりとしたつゆにも綺麗に馴染む。
今回も清々しい雰囲気と本店と遜色の無い味で、快適な時間が過ごせた。
≪2010年12月のレビュー≫
その昔、「錦糸町」行きの36番の都電が走っていた古い通りが、誰が名付けたのか「平成通り」などと言う妙な名前になってしまっている。「晴海通り」からその道に入って数軒目であるから、立地としては申し分無い。
かつては「銀座更科築地店」が在った場所。諸般の事情で命脈を保てなくなった主家の支店を、分家が引き継いだ形。
息子さんに任せられている支店であるため、基本「南大井」の本店と味の面では遜色ない。
場所柄、魚料理に期待が膨らむが、それほど新奇なものは感じられない。もちろん‘お家芸’とも言える数々の「天だね」の出来はなかなかのもの。
都心で「布恒」の味が楽しめる利便性から、時たま寄っている。
独特のまったりとした「つゆ」の味わいも、本店同様。
以前はこの「つゆ」では、繊細な香りや食感を楽しむ「さらしな」や「変わりそば」には合わないと思ったこともあった。
しかし他の「更科」系の店に比べこちらの蕎麦は、たとえ「さらしな」であっても凛とした主張があるため、十分にこの「つゆ」と渡り合える。
もちろんどっぷりと浸してしまうことは厳禁だが、この「つゆ」の美味さは格別で、これを舐めながらでも酒が飲めるくらいである。
今回は昼の2時頃に訪れた。
季節の「はぜ」や「牡蠣」の「天だね」に食指が動いたが、後に予定があったので、軽く「澤乃井」の‘冷や’に選んだ肴は「ぬきとろろ」。
件の「つゆ」で調味した「とろろ」と、茹でた蕎麦の実を合わせた一品で、結構ボリュームがある。
蕎麦は隣客の「かぼちゃ切り」の色合いの鮮やかさが気になったが、今回は久々に基本の「外二のせいろ」にした。
残っていた「とろろ」で、最初の‘ひと手繰り’は「とろろそば」を楽しみ、あとはゆっくりとこの店ならではの味を堪能。
香り、コシ、喉越し、いずれも満足する仕上がり。盛りの多さも「本店」同様。
「薬味」も丁寧な仕事。「蕎麦湯」も流行りの’どろどろ’で無いため、後味が実に心地よい。
店の佇まいではやはり「本店」に劣るが、清々しい雰囲気と気持ちの良い接客振りは、なかなかのもの。
おしなべて「蕎麦」の繊細さや甘口の「つゆ」が特徴であった「更科」系では、かつては傍流と看做されていたこちらも、今やこの系統を背負って立つ名店となったと言える。
口コミが参考になったらフォローしよう
蓼喰人
利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。問題のある口コミを連絡する
蓼喰人さんの他のお店の口コミ
店舗情報の編集
閉じる
「みんなで作るグルメサイト」という性質上、店舗情報の正確性は保証されませんので、必ず事前にご確認の上ご利用ください。 詳しくはこちら
店名 |
築地 布恒更科(ぬのつねさらしな)
|
---|---|
受賞・選出歴 |
そば 百名店 2021 選出店
食べログ そば 百名店 2021 選出店 |
ジャンル | そば |
予約・ お問い合わせ |
03-3545-8170 |
予約可否 |
予約可 |
住所 | |
交通手段 |
日比谷線築地駅、徒歩3分。東銀座より徒歩6分。 築地駅から223m |
営業時間 |
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
予算(口コミ集計) |
¥1,000~¥1,999
¥2,000~¥2,999
|
支払い方法 |
カード可 (JCB、AMEX、Diners) 電子マネー不可 |
席数 |
26席 (テーブル6卓26席) |
---|---|
個室 |
無 |
貸切 |
可 (20人~50人可) |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
無 |
空間・設備 | 落ち着いた空間 |
ドリンク | 日本酒あり、焼酎あり、日本酒にこだわる、焼酎にこだわる |
---|
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
お子様連れ |
子供可 |
オープン日 |
2004年6月 |
備考 |
本店は南大井 |
初投稿者 | |
最近の編集者 |
|
食べログの会員になるとレストラン情報を編集する事ができます!この機会に是非ご登録ください!
この店舗の関係者の方へ
食べログ店舗会員(無料)になると、自分のお店の情報を編集することができます。
店舗会員(無料)になって、お客様に直接メッセージを伝えてみませんか? 詳しくはこちら
店舗会員になると、無駄な広告費をかけずに効果的なPRができます。詳しくはこちら
紙ではできない予約管理を。いますぐ無料ではじめよう。詳しくはこちら
既に会員登録が完了している方はこちらからログインできます。ログインはこちらから
皆様、明けましておめでとうございます。
今年最初のレビューアップは、こちらの蕎麦屋。
尤も訪れたのは昨年暮れの27日なので、書き込み内容の鮮度は今一つであることはご容赦願いたい。
定期的に足を運んでいるが、コロナ禍の影響も有り3年以上間が空いていた。
都心での用事の帰りに13時くらいに入店すると満席状態で、花番さんから'掛けてお待ち下さい'の声に、入り口脇の椅子に座って待ちながら店内を見回す。
このご時世で、席数はやや絞られているようだ。
10分ほどで客が退けはじめ、私は単身ながら右手前の4人掛けの卓に通してくれた。
まずはビール(ヱビス中瓶)をもらう。
肴には信頼のおけるマイフォロアーさんも注文されていた「鮪づけ」を頼む。
運ばれた皿には本鮪の中トロと思われる5切に本山葵のおろしがたっぷりと添えられており、白醤油でづけにされているので色は淡いが味はしっかり付いている。
脂の乗りも良く、多めに山葵を乗せて口に運べば実に美味い。
付け合わせは時々で変わるようで今回は玉葱と人参の酢醤油漬けで、面白い取り合わせながら悪くなかった。
ビールはすぐに空き、酒は「澤の井」をやや熱めの燗につけてもらう。
辛口ながら後に広がるしみじみとした味わいが、鮪に良く合った。
薄手の猪口の舌触りも江戸前の粋を思わせるもの。
これらで暫し寛いだ時間が流れる。
外に行列が出来るほどでは無いが客の出入りには途切れが無く、早めに蕎麦を頼んでおく。
こちらでは毎回「天種」が楽しみだが、定番の他に季節ものとして「牡蠣」と「ほたて」の文字が目を引く。
牡蠣は結構方々で口にしているので、今回は後者を選択し「ほたて天もり」でお願いする。
先に広口の小鉢でつゆと薬味が登場。
まずは江戸前の数多の蕎麦屋の中でも、私がこよなく愛するマッタリとした「つゆ」を少量含むが、揺るぎない美味さに思わず笑みがこぼれる。
徳利はほぼ空になっていたが、急遽「南部美人」をぬる燗で追加。
単に辛いだけでなく深い旨味を湛えたつゆが、酒の肴になることを実証。
そうこうしているうちに天ぷらと蕎麦も登場。
帆立はヒモやコライユを取り除いた結構大きい貝柱のみ3個で、蕎麦屋らしくしっかり目の火通りだが衣が剥がれるようなことも無い。
添えは青味の大葉だけで野菜をゴタゴタ付けない点が潔く、酢橘は付くが塩などで無く濃い目のつゆで蕎麦と共に食べさせる点も王道の仕事。
そばつゆをソース感覚でちょこっと浸けて口に運べば、旨味の強さがつゆの濃さに負けていない。
蕎麦は'外一'でやや黒っぽく太めに打たれており、香りも食感もしっかり。
先端のみを刺身醤油を浸けるような感覚で啜れば、喉越しも存分に楽しめる。
老舗にしては多めの盛りも、スルスルと完食。
蕎麦湯は当然ながら、奇を衒わない釜湯のままの自然体。
つゆの小鉢とは別に蕎麦猪口と蓮華が添えられているが、どうせ全て飲み干してしまうので直接に鉢に注ぐ。
最初は少し濃いが、味の変化を楽しむように調整するのはなかなか面白い。
期待通りの満足度の高いひと時を過ごせた。
安定した仕事ぶりと行き届いたサービスには、いつも感心させられる。
こちらのつゆを辛すぎると言う声もしばしば耳にするが、それは単に食べ方が下手なことを露呈しているようなもので、どっぷりと浸すような愚を犯さなければ濃く感じることは無い。
もし啜ることが難しければ、私が時々行う手法だが、蕎麦を先に口に運び噛みしめた後につゆを少量含むことをお奨めする。
江戸前の蕎麦文化は'つゆ文化'と言い換えることが出来る程、そばつゆの出来には多くの職人が苦心を重ねた歴史の積み重ねが顕れている。
昨今の'にわか蕎麦通'の中には蕎麦にまで塩を振って悦ぶ輩が居るが、食文化の観点からすれば「つゆ」を蔑ろにするなど笑止千万である。
先代が考案したこちらのつゆは東京人にとっては感涙ものの味わいであり、それに合うように蕎麦も更科系の中では珍しい太めでしっかりとしたスタイルを打ち出し、独自に地位を築き上げた。
こちらと弟さんが任された大井の店の双方で、その仕事がきっちりと受け継がれていることを誠に嬉しく思う。
久しぶりに訪れたにも関わらず女将さんは私のことを覚えていてくれて、わざわざテーブルまで挨拶に見えられた。
時々こちらにも姿を見せると言う大女将もお元気とのこと。
帰りがけに'そばつゆだけを肴として品書きに載せても十分通用しますよ'と進言させて頂いた。