コシ、喉越し、桜の香りいずれも秀逸な桜切りに、‘華’のある料理たち : 手打ち蕎麦 銀杏

ちょうど時季の桜切りがいただきたくてこちらを訪問しました。

東京メトロ半蔵門線　住吉駅A3出口を出て左折し、猿江恩賜公園を左手に見ながら新大橋通りを直進。
右手にアパホテル東京大島があるので行き過ぎて大島一丁目交差点を左折し少し歩いて行くと右側にお店があります。
（都営新宿線　西大島駅からの方がやや近いです。）
入口はやや奥まっていて大きな看板等ないので見過ごしてしまうかもしれません。

えんじ色の暖簾が掛かっただけのこざっぱりした外観。

平日１８時半に予約して伺うと、６、７割の席が既に埋まっていて、中程より少し入口に近いテーブルに案内されました。
やや照明を落とした店内は縦長でコンクリート打ちっぱなしのモダンな造り。
右側に厨房、左側にテーブル席があり、その間に天井と床から繋がった目隠しがあり、中央の動線から視覚的に区切られています。

メニューは以下の通り（すべて外税。詳しくは画像をご覧下さい）。

■春のお蕎麦
桜切り　1,100円
若竹そば（温、冷）　1,600円
織姫そば（温、冷）　1,600円
豆杏そば（温、冷）　1,600円
桜そば（温）　1,600円
浅蜊そば（温）　1,650円

春の銀杏コース（前日までの予約要）　5,000円

■春の旬菜
山うどのきんぴら　700円
筍の姫皮炊き　700円
わらびのお浸し　850円
春野菜の白和え　900円
筍と若芽の辛子味噌　1,000円
浅蜊の生姜炊き　1,000円
蛍烏賊の天ぷら　1,200円
本まぐろの花造り　1,500円

■酒肴（お通し　300円）
焼き味噌　400円
浅漬け盛合せ、銀杏のまかない豆冨　各500円
わさび芋、ぽてとさらだ　各650円
鳥わさ　900円
玉子焼き　950円
鳥焼き　1,350円
鴨焼き　1,800円
にしん姿煮、穴子煮凍り、かき揚げ天　各1,300円
海老天ぷら盛り合せ　1,350円
穴子天ぷら盛合せ　1,500円
旬野菜の天ぷら　1,600円

■冷たいお蕎麦
せいろ　850円
季節の変わり蕎麦　1,100円
粗引き田舎蕎麦　1,150円
二色せいろ　1,300円
辛味おろし　1,500円
鴨せいろ　1,750円
海老天せいろ　1,650円他

■温かいお蕎麦
かけそば　850円
青さのり　1,450円
玉子とじ　1,450円
山かけ　1,500円
銀杏そば　1,500円
鴨南蛮　1,750円
蕎麦掻き　1,250円他


拘りの卵を使った玉子焼きは生憎終わってしまったとのこと。
桜切りを最後にいただくことは決まっていましたが、魅力的な品揃えにかなり迷い、お店の方に相談するとハーフサイズも対応してくださるとのことだったので、春の旬菜から筍と若芽の辛子味噌、それと海老天ぷら盛り合せをそれぞれハーフサイズでいただくことにしました。

温かいほうじ茶とおしぼりがまず運ばれ、ほうじ茶の良い香りが湯気と共に立ち上がって来ます。
こっくりと濃いめに淹れたほうじ茶に癒されました。

５分程してお通しが供されました。

上に海老とこごみがあしらわれとても綺麗なビジュアル。
海老がぷりっと食感良く、上に散らされた蕎麦の実が煎ってあるのかとても香ばしいです。
上品な出汁に柚子が香るジュレがかけられていました。
下は豆腐かと思いきや、何とクリームチーズ！
小ぶりでしたが様々な味が楽しめる一品で、これからいただくお料理にぐっと期待が高まりました。

筍と若芽の辛子味噌（ハーフサイズ　650円）：　筍と若芽だけでなく青菜も添えられ、桜の花弁を型抜きした人参？が見た目にも春らしい仕上がりになっています。

筍は柔らかく、瑞々しい若芽を蕨、菜の花と共に甘めの酢味噌でいただきます。
下にはプチプチとした食感の海藻麺も敷かれていて、春の香りを封じ込めた一皿を楽しみました。

海老天ぷら盛り合せ（ハーフサイズ　800円）：　海老の他に、茗荷、甘唐辛子、茄子、人参、蓮根、蕗の薹。
天つゆも何もついてこなかったので一口いただくと、既に塩がかかっていました。
ふっくら感のある衣（単に厚めの衣、というのとは違います）に包まれた天ぷらはさくっとした軽い仕上がりで、いずれの食材も風味良く仕上がっていました。
人参が甘く、蕗の薹のほろ苦さが特に印象に残りました。

小ぶりな盛り合わせに見えましたが、いろいろな野菜が入っていて楽しめました。

〆の桜切りまでにもう少しお腹に余裕があったのでもう一品頼むことに。

浅蜊の生姜炊き：　浅蜊が極細切りの生姜と醤油で炊かれ、刻み葱と海苔がかけられていました。
ふっくらと炊かれた浅蜊は綺麗に砂抜きしてあって柔らかく、生姜が効いて爽やか、且つ大人な味わい。
しっかりめな味付けに葱と海苔の香りがのり、お酒が進む一品ですね。

お腹具合もちょうどよくなってきたので桜切りを茹でていただくことにしました。

汁はすっきりめで、後から出汁と甘味を感じるやや特徴ある不思議な味。
薬味は瑞々しく、爽やかな甘味のある山葵と、風味良い刻み葱。

桜切り：　ほんのりピンク色の桜切りは桜の枝が上にあしらわれ盛り付けが非常に綺麗。
きれいに切り揃えられた艶のある蕎麦は、半透明がかって桜葉がホシのように点在しています。

コシがしっかりあり喉越しも上々で、桜の香りがふわっと香ってきます。
噛み締めるとほのかに甘味もあって至福の味わい。
汁につけると円やかな風味が広がりました。
案外見かけより量もあったのは嬉しかったです。

蕎麦湯はややとろみがあるタイプ。
見かけの濁りのわりにとろみは緩く、汁を入れると蕎麦湯の甘さが引き立ちました。


お目当てだった桜切りは仕上がり、味わい共に秀逸で、久し振りにいただいたこともあって格別でした。
丁寧に仕上げられ、創意工夫が感じられたお料理はいずれも満足度が高かったです。
盛り付けはいずれも綺麗で、‘華’がある料理だった印象が強いです。

季節の蕎麦と料理はもちろんのこと、全体的に創作性が感じられとても魅力的。
メニューには画像ではなく、可愛らしい料理のイラストが描かれていて想像を掻き立てられました。

一人客用にハーフサイズでの注文を受けてくださる柔軟性もありがたいサービスだと思いました。

隣席の方が頼んでいた銀杏そばや山かけは共にボリュームがあってとても美味しそうでした。
肌寒いとき体が温まるお蕎麦は良いですね。

壁の切り込みに小さな植物を飾ったり、テーブル下にメニューを入れられるスペースがあったりと、店内はデザイン性のあるモダンな造り。
トイレは２階にあり、同階には座敷があるので人数多めのグループや１階が満席になるとそちらに通されていました。

店内がほぼ満席になったことで途中から提供がややゆっくりめになりましたが、当初からゆっくりと食事を楽しむつもりだったこともあり、さほど気になるほどではありませんでした。
料理の内容や量についてアドバイスいただいたり、又お茶の注ぎ足しもこまめで気遣いの感じられるサービスでした。

席間がやや狭いことと、肌寒い日だったので構造上エアコンがあまり効いておらず少し寒く感じたのがやや気になりました。
ひざ掛けの貸出があったと気づいた（隣席の方が退席する際にたまたま気づきました）のはお店を出る少し前だったことが残念。

家族、友人との集まりの他、カジュアルなデートでも使えるお店ではないかと思います。

時季を変えて是非再訪したいお店（私的に真冬は避けたいです　苦笑）。
温かい蕎麦がとても魅力的だったので、次回はその辺もいただいてみたいと思います。