この盌（まり）に　種々雜多（あれもこれも）と　裝飾過剩（かざりすぎ）　これは石花菜（こるもは）　あれは荳沙（あづきのあん）なるか : 北斎茶房

"江戸東京博物館（みせものごや）"からの歸途（かへりみち）、
四年（よとせ）ぶり、三度目（みたびめ）の『北齋茶房』。
菜譜（こんだて）より、またも選擇（えらみ）し《北齋冬餡蜜（ほくさいふゆあんみつ）》、
對價（あたひ）、一千五十六圓也（いつせんごじふろくゑんなり）。

ξ（ぐざい）は、
"瓊脂（かんざらしのこゝろぶと）"、"荳沙（あづきあん）"、"最中種（もなかのかは）"、
"白玉（しらたま）"、"水果（くだもの）"、"牛脾糖（ぎうひ）"、"冰酪（あいすくりん）"。
蜜（みつ）は"黑蜜（くろみち）"、血道（ちみち）、獸道（けものみち）。

獸道（けものみち）、紅葉（もみぢ）踏分（ふみわ）け葛飾（かつしか）の、
〽《北齋冬餡蜜（ほくさいふゆあんみつ）》たァ、これのことよーーッ(^^♪。
"蘋果（りんご）"に"草莓（いちご）"など、
盌（まり）を埋盡（うめつ）くす夥（おびたゞ）しき"水果（くだもの）"數々（かずかず）。

主目的（おもなるねらひ）は、この《北齋冬餡蜜（ほくさいふゆあんみつ）》と、
『こちら』の"これ"の精麁（よしあし）を比較（くら）ぶるにあり。
"メアリ"、"龜有（かめあり）"、"八二法則（はたらきありに、なまけあり）"。
當店（こちら）もまた、"八・二（はちに）"、"二・六・二（にろくに）"歟（か）?

"水菓（くだもの）"ゝ數量（かずとかさ）こそ『北齋茶房』に讓（ゆづ）るも、
"調和（しらべ）"・"均衡（つりあひ）"となると、『あちら』が上（うへ）。
"價格（ね）"や"居心地（ゐごゝち）"など、綜合的（すべてふくめ）て評價（み）ても、
やはり、『あちら』が吉（よい）。

出過（ですぎ）、薄過（うすゝぎ）、「裝飾過剩（かざりすぎ）」！
"北齋冬餡蜜（これ）"を"東照宮陽明門（とうせうぐうやうめいもん）"とするなら、
『梅むら』の"豆寒（まめかん）"は宛（さなが）ら"桂離宮（かつらりきう）"。
茶室（ちやしつ）なら、"秀吉（ひでよし）"と"利休（りきう）"ほどの差（さ）。

實言（まこと）、
「天淵冰炭（あめとつち、こほりとすみ）」、「泰山鴻毛（おほやまとみづとりのうぶげ）」
天下奪取（てんかとり）の躻（うつけ）、「假痴不癲（しれものをよそほふ）」
その目論見（もくろみ）も「〽夢幻（ゆめまぼろし）のごとくなりぬ」

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【暗匣】：東京通信工業 索尼（Sony）α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機（みらーれす）
【鏡珠】：東蔡（Carl Zeiss Jena）紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8～F5.6
　　　　　高千穗光學（Olympus）Zuiko Auto 3.5/21 @F11

【2015-03-23追記】：
此度（こだみ）は、"北齋冬餡蜜（ほくさいふゆあんみつ）"に、"豆大福（まめだいふく）"。
求肥（ぎうひ）の見當（みあ）たらぬことを除（のぞ）き、
"北齋冬餡蜜（ほくさいふゆあんみつ）"は以前（まへ）にほゞ同（おな）じ。
蜜（みつ）は黑蜜（くろみつ）。

甜（あま）き草莓（いちご）の由緒（すぢめ）を薀（たづ）ぬれば、"とちをとめ"とのよし。
かゝる切方（きりかた）は完毎（まるごと）に比（くら）ぶれば、
口味（あぢ）舌上（した）に溢（あふ）れて、芳香（かをり）鼻竅（はな）へと迸（ほとばし）る。
善哉（よいかな）、善哉（よいかな）！

"大福（だいふく）"は粒餡（つぶあん）。
青山（あをやま）『WAGASHI まめ』、赤坂（あかさか）『青野』を髣髴（おもはす）。
僕（やつかれ）、大福（だいふく）は漉餡（こしあん）を嗜（この）むも、
こればかりは、好（す）き好（す）き。

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【照相機】：旭光學賓得士K-三數碼單鏡反光照相機
【鏡頭】：...蔡司（Carl Zeiss) Distagon T* 2.0/35 ZK @F2.0

【2013-03-17記】：
有一日（あるひ）、錦絲町停車場（ていしやば）近傍（ちかく）にて贖物（かひもの）。
兩替商（りやうがへしやう）を訪ねんと、"北齋通り"を彷徨（さまよ）ふ折節（をりふし）、
偶（たま）さか、傍（かたは）らに見（み）ゆるは高名（なだか）き茶店（ちやみせ）。
「これぞ何（なに）かの縁（えに）しあれば」、と、引戸（ひきど）を開（ひら）く。

賈内（なか）を守（まも）るは若者（わかもの）兩個（ふたり）。
建屋（たてや）こそ古めかしきものながら、照明（あかり）も設（しつら）へも今風。
これに大（おほ）いに落膽（きもをおと）し、品書（しなが）きを一瞥（ひとにらみ）。
いさゝかも躊躇（たゆた）ふことなく擇みしは、『北齋冬餡蜜（ほくさいふゆあんみつ）』。

"品書（しなが）き"の他、分厚（ぶあつ）き效能書（かうなうが）きが此方（こなた）に、、。
曰（いは）く、「小赤豆（あづき）は丹波大納言（たんばだいなごん）、茶は云々（うんぬん）」と、
嚴選（えりすぐり）の素材（もの）を高（たか）らかに謳（うた）ふ。
慥（たしか）に、天井近くにはこれ見よがしの茶箱（ちやばこ）の數々（かずかず）。

程（ほど）なくして運（はこ）ばれ來（き）たりし件（くだん）の品（しな）：
飾（かざ）り切りも艷（あでやか）なる水果（くだもの）が載り、見るも華（はな）やか。
すなはち、林檎（りんご）、橙（おれんぢ）、グレープフルーツ、草苺（いちご）。
罐詰の果實（くだもの）とは"月と泥龜（すつぽん）"、"挑燈（てうちん）に鐘（つりがね）"。

加旃（しかのみならず）、風習（ならひ）の、小赤豆餡（あづきあん）に、求肥、白玉、
更に、最中（もなか）の皮、二種（ふたくさ）のアイスまでもが載（の）る。
不審（いぶかし）きことに赤豌豆（あかゑんどう）の姿形（すがた）が見（み）えず。
呼（よ）べど應（こた）えず、叫（さけ）べど呻（うめ）く聲（こゑ）はなし。

最初（いやさき）に蜜（みつ）をば掛（か）けて一口（ひとくち）。
尤（いと）爽やかなる風、舌（した）を過ぎ、やがて咽喉（のんど）の奧（おく）に、、。
目（め）に涼（すゞ）やかにして、舌（した）に滑（なめ）らか。
ほろ苦（にが）くも甜（あま）き蜜がからまり、寔（まこと）、佳味（よきあぢ）。

然（さ）はあれど、食（た）べ進（すゝ）むほどに蜜（みつ）がなくなり、
寒天（かんてん）を小赤豆餡（あづきあん）にからめて啖（くら）ふ羽目（はめ）に、、。
二種（ふたくさ）のアイスとも合（あ）はせ口（くち）に運（はこ）べど、
味なきこと、宛然（あたかも）病（やまひ）に啖（くら）ふ白粥（しらがゆ）のごとし。

生果實（なまのくわじつ）など嚴選素材（げんせんそざい）を用（つか）ひ、
これに絢爛（けんらん）たる盛附けを施（ほどこ）すは、ほかに類例（ためし）なきこと。
しかはあれど、やはり、物事（ものごと）、釣合（つりあひ）・調和（てうわ）が何より。
赤豌豆（あかゑんどう）を缺（か）くも、餡蜜（あんみつ）としてはあるまじきこと。

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【照相機】：富士胶片（ふじふいるむ） XE-1無反光鏡可換鏡頭照相機（みらーれすかめら）
【鏡頭】 　：Kern Macro Switar 1.8/50 @F2.0