古いけど変化しようとしているもつ煮込みのお店です！でもメーンディッシュがこれでは？？？ : 山利喜 本館

東京５大もつ煮込みでも有名なこのお店です。
他の殆どの有名もつ煮込みも食べましたが，歴史を感じさせる点においては評価しますが，味は外ればかりでがっかりしました。
昔風の調理方法と保存方法のままで現代で食べても美味しい訳がないと思っています。
そうは言ってもこのお店も有名店だし一度は行って見なければということで仕事の都合で近隣に来たついでに寄ってみました。

かなり大きなビルに入っています。というか，これだけ大きなビルが建つということは，かなり儲けたということだと思います。近くには別館まであって、いかに人気店であるのか想像がつきます。

丁度１７時に入店しました。一人と告げると２階のカウンター席に案内されました。
先ずは飲み物のメニューを眺めることに。
ありゃま，ホッピーがありません。しょうがないので、赤星ラガーにしました。久しぶりに飲みます。
意外にも，ワインの品揃えは豊富です。
私はワインに詳しくないのですが、それでも色々考えて揃えていることが分かります。
日本酒も拘っているようです。サワー類は普通。
店構えからしても，仲居さんの多さから見ても，歴史ある普通の居酒屋か料理屋を目指しているようにも感じます。
それも時代の流れかもしれません。

速攻で有名なもつ煮込みを注文。玉子も入れました。何と税抜きで６５０円もします。
出て来たもつ煮込みはグツグツ沸騰しています。スペイン料理で使う煮込み料理のとって付きの土鍋見たいなもので登場したのでビジュアル的には満足です。
後ろのお客がガーリックトーストを注文しているのを聞いて，あっ忘れてた！と思い私も後から追加注文しました。

もつ煮込みですが、何度も強烈な火が入って関西のどて煮の様な色と粘度になっています。
もつはてっぽうでしょうか？たっぷりの脂が残っていて美味しいです。
でも赤茶けた色の汁はお世辞にも美味しいとは思いませんでした。
もう少し煮込むと鍋の底で焦げた味が強めに出るギリギリ我慢できる程度の苦味があります。
古いもつ煮込み（東京五大もつ煮込み）にありがちな煮込み過ぎのもつ煮込みでした。
ガーリックトーストを食べると軽い食感でとても美味しい。このフランスパンはレベルが高いと思います。
折角なので，もつ煮込みの汁をつけたり，てっぽうをガーリックトーストに載せたりして食べましたが？？？です。
不味くはないけど，ガーリックトーストそのものだけで食べた方が絶対に美味しいと思いました。

もつ煮込みが有名な歴史のあるお店でもつ煮込みを食べて何時も思うことですが、大体が美味しくありません。
昔はこの味で良かったんだと思いますが，今となっては新興国の様に後から発展したお店のもつ煮込みに完全に負けています。例えば，私が通う「権兵衛」のもつ煮込みと比べれば一目瞭然です。
料理に関する全ての要因が変化していても，相変わらず何も変えなければこうなることも実は当たり前だと思います。
名店と呼ばれ，もつ煮込みが美味しいと世間で言われるので，変化することも出来ずにいるのではと心配になります。

もつ焼きは二本セットで300円。税抜きです。高いね，やっぱり。
いつも思うのですが，何故、二本セットなんでしょうか？
誰が教えてください。これもお客さんの方を見てませんよね！

しょうがないので、いつものパターンでスタート。しろとなんこつと行きたかったのですが、なんこつつくねにしました。これなら失敗しても何とか食べられると思ったからです。
しろは小さめに切られて脂が殆ど残っておらず、鶏皮の様に表面はかなり焼かれています。
でも中側はふんわりしていて，食感はまずまず。これは炭火で焼いているからだと思います。
ガス焼きだと単なるカリカリしろになってしまいます。
なんこつつくねは美味しいです。でも串に脂がべったり残ります。
欲を言えば，もう少しフワッとした食感にすべく，ふんわりと串に巻いて欲しいと思いました。

ビールはあっという間になくなったので，力を入れていると想像された日本酒を飲むことに。
一番下に埼玉の銘酒の神亀の大徳利を発見。
外は寒いので熱燗で戴きましょう！
徳利にも店名が入っています。箸袋にも名入りでした。また，おちょこは平たく薄くなかなか立派なもの。
酒がお腹に浸みます！旨い！！

続いてもつ焼きを追加。ればをタレでお願いしました。
べったりしたタレに浸って登場。
このタレ見ただけで期待はしませんでした。甘いだけのベタベタのタレでした。
ところが，ればは切り口が立っていて食感は悪くありません。変な臭いもしません。でも美味しくありません。
よくあるもつ焼き屋では鮮度の落ちたればの匂いを消すために，妙に甘いベタベタのタレを使うことがあります。
ここのればは何で美味しくないのか私には分かりませんでした。
そう言えば，前に頼んだもつ焼きのタレは全部薄めのさらっとしたタイプでした。
違うタイプのタレを使い分けているのも不思議な感じがしました。

パルマ産生ハム，テリーヌなど洋風なメニューもありましたが，私には興味なし。
これにて終了。会計と進みます。
何と，税込4,093円也！！！！
立派な料金です。
もつ焼きと煮込みを目的にこのお店を訪れるなら止めておいた方がいいと思います。
色々な料理を食べる目的なら，逆に言うともつ焼きと煮込みを食べないくらいの思いで訪問するのであればOKです。

このお店は新しい時代に合わせて変化をしようと努力をしているのだと思います。
それは素晴らしいことだと感じます。
でも，そうならば，ど真ん中に据えてきたもつ焼きと煮込みにかんしても変化球で逃げるのではなく，直球勝負で味を変えるべきだと，もつ焼きを愛する私は思います。
色々な洋風メニューやワインを導入して変化しようとするなら尚更変えるべきだと思います。
逆に，変えずに残るつもりならば，昭和の博物館の様に生き残るのも手です。「宇ち多”」の様に。

老舗の（この表現が一番似合わないはず）昭和の酒場は，これから生きていくのは大変だなあと，地下鉄駅まで寒風に晒されながら思いました。