古に思いを馳せながら味わう、豆富料理の老舗 : 笹乃雪

笹乃雪

(ささのゆき)
  • 料理・味 3.58
  • サービス 3.55
  • 雰囲気 3.58
  • CP 3.55
  • 酒・ドリンク 3.50
  • 行った 797人
  • 行きたい 3863人

評価分布

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蓼喰人

蓼喰人(1471)さんの口コミ[携帯電話番号認証済]60代前半・男性・東京都

1

  • 夜の点数:4.0

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.2
    • | CP3.8
    • | 酒・ドリンク3.6
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999
1回目

2017/09訪問

  • dinner:4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 3.8
    • | 酒・ドリンク 3.6
    使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999

古に思いを馳せながら味わう、豆富料理の老舗

 日曜日の昼、上野駅前の「東京文化会館」でのマチネコンサートに、いつもの友人と出かけた。 
 終演は16時頃だったが、折しも上野公園の中央広場では「東京芸大」の学園祭事業の一環で、制作物販売の露店が多数出ていたり、野外コンサートが行われており、それらを冷やかしながらブラブラと散策。
 いつしか18時近くになり、夕食処を思案する。
 
 言問通りまで出て右に折れ、寛永寺橋を渡れば根岸である。
 目指したのは元禄年間創業で、当時からこの地に店を構える豆富料理専門店。

 こちらは代々東京に住まわれている方なら大抵は知っている有名店で、私も祖父母に連れられて来たのは、50年ほど前の小学生の頃。
 当時の心象はおぼろげだが、庭に面した渋い日本家屋だったと記憶している。

 現在の建物は昭和43年に道路拡張に伴い、少々場所をずらして建て直されたそうで、私が訪れたのはその直前だったことになる。
 店名の謂れは多くの方が語られているので控えるが、関東ではこちらが元祖でとされる「絹ごし豆富」の色艶を象徴した屋号である。
 今でも地下数十メートルから汲み出す地下水を使って、豆富を作っているとのこと。


 大店なので予約無しでも大丈夫だろうと入って見ると、広々とした玄関には下足番の年配の男性が居て、少々お待ちくださいとのことで縁台に腰掛ける。
 しばらくしてマネージャー然としたこちらも年配(現在のご主人?)の男性に導かれ、緋色の厚手のじゅうたんが敷き詰められた格調ある廊下と階段を通り、2階の20畳ほどの座敷に通された。
 こちらは畳敷きだが、5卓ほどのテーブルがゆったりと配された椅子席なのは有り難い。
 
 まずは「生ビール」を所望し、乾いたのどを潤す。
 メニューは単品の注文も可能だが、ほとんどの客は幾つか用意されたコースを頼むようだ。
 「湯どうふ」を含むものも有るが、この時期ではまだ早いと思い「初音御膳」という3,800円のコースを選択。
 完全な精進では無いが動物性の食材はわずかで、中心は当然ながら豆富料理である。

 内容は次の通り。
生盛膾」:'いけもりなます'と読み、金の色紙柄の丸盆の中央に豆腐を使った和え衣が盛られ、周囲には玉蜀黍の寄せ物・蓮根・芋茎・赤蒟蒻・胡瓜・麩・若芽・人参・大根などが、体裁よく配されている。
 サービスの女性は'よく混ぜてお召し上がりください'と告げたが、すぐにぐちゃぐちゃにするのも惜しいので、最初は和え衣をディップのように食べ始め、途中から混ぜ合わせてみる。
 個々に細かな仕事が施されており、和え衣の穏やかな酢の加減も好ましい。

小付け」:小鉢に翡翠色の寄せ物が盛られており、訊けば「おくら寒天」とのことで、味も食感もなかなか面白い。
 これに少量の蟹身と煮茄子が一片添えられていた。

冷奴」:こちら伝統の「絹ごし豆富」の美味さをストレートに楽しむ。
 結構しっかりとした食感で、旨みが濃い。

胡麻豆富」:精進料理の定番だが、こちらのは粘り気は少なく柔らか目の仕上がり。
 甘口の練り味噌で味わう。

あんかけ豆富」:温めた豆腐に醤油味の餡がたっぷりと掛かり、練り辛子がちょこんと垂らされている。
 小さめの小鉢で2杯出されるのがこちらの定法で、そのいきさつについても多くの方が述べられている。
 今でもこのスタイルを貫くことに、こだわりを感じる。

雲水」:湯葉・鶏つくね・ほうれん草・人参などに、豆乳入りの出汁を張って蒸し上げた料理。
 景色も味付けも品良く仕上がっている。

季節の一品」:玉子豆富と海老を寒天で円形に固めた周りに、ベビーリーフが散らされ、豆乳ドレッシングが掛けられている。
 サラダ感覚の一品が加わることで、コースに抑揚が生まれた。

絹揚」:角切りの豆腐の素揚げが、熱々で登場。
 おろし大根と生姜に、醤油を垂らして味わう。
 外のカリッとした歯触りと、中のとろりとした舌触りの対比が絶妙。

うずみ豆富」:豆腐を椎茸などと共に煮てミンチ状にしたものをご飯に乗せ、出汁を掛けて刻み海苔を散らした、創意と粋が感じられる滋味深い〆の逸品。
 山葵が味のアクセントとなり、香の物(沢庵・柴漬け)との取り合わせも良い。
 これはこの店の名物となっており、「豆富茶漬け」として瓶詰で販売されている。

豆富アイスクリーム」:アイスクリームと言うより、豆富を使った氷菓といった趣。
 抹茶ソースが掛かっている。

 酒は幾つかの銘柄が用意されているが、ここは古き江戸の習わしに従い'下りもの'の伏見の酒から、「キンシ正宗」で出している「金鵄正宗」の冷酒を、300㎖のボトルでもらう。

 全体的に派手さは少ないが、ヘルシー感は嬉しい。
 伝統に則った仕事に新しい感覚も取り入れられており、京都の湯豆腐屋などに比べても品数は多く、バラエティに富んだ味わいが楽しめた。

 お勘定は内税のため、二人で10,000円ちょっとはリーズナブルに感じる。
 トータルすると結構なボリュームとなり、若い人にも十分だと思う。
 隣のテーブルの外人さんも、店の雰囲気とともに満足している様子が伺えた。
 

 鶯谷駅周辺は現在ではラブホ街で有名だが、上野の山を越えた根岸は江戸の昔から大店の別邸が建ち並び、明治以降も多くの文人墨客が居を構えていた一帯。
 赤穂浪士にまつわる話は些か眉唾だが、この近所の「子規庵」を終の住処とした正岡子規は、間違いなく訪れていたようだ。
 
 古に思いを馳せながら、寛いだ時間を過ごせた。
 近くの「羽二重団子」とならび、江戸情緒を味わうには好適な店である。

  • 笹乃雪 - 「生盛膾」

    「生盛膾」

  • 笹乃雪 - 玉蜀黍の寄せ物に和え衣を付けて

    玉蜀黍の寄せ物に和え衣を付けて

  • 笹乃雪 - 後は良くまで合わせた

    後は良くまで合わせた

  • 笹乃雪 - 生ビール・下足札

    生ビール・下足札

  • 笹乃雪 - 「小付」

    「小付」

  • 笹乃雪 - 「おくら寒天」ほか

    「おくら寒天」ほか

  • 笹乃雪 - 「冷奴」

    「冷奴」

  • 笹乃雪 - 旨味が濃い

    旨味が濃い

  • 笹乃雪 - 「胡麻豆富」

    「胡麻豆富」

  • 笹乃雪 - 柔かめの寄せ加減

    柔かめの寄せ加減

  • 笹乃雪 - 「あんかけ豆富」は一人前2個で出されるのが定法

    「あんかけ豆富」は一人前2個で出されるのが定法

  • 笹乃雪 - 滑らかさが身上

    滑らかさが身上

  • 笹乃雪 - 「雲水」

    「雲水」

  • 笹乃雪 - 豆乳入りの蒸し物

    豆乳入りの蒸し物

  • 笹乃雪 - 「季節の一品」

    「季節の一品」

  • 笹乃雪 - 玉子豆富・海老・ベビーリーフに豆乳ドレッシング

    玉子豆富・海老・ベビーリーフに豆乳ドレッシング

  • 笹乃雪 - 「絹揚」

    「絹揚」

  • 笹乃雪 - おろし醤油で味わう

    おろし醤油で味わう

  • 笹乃雪 - 「金鵄正宗」

    「金鵄正宗」

  • 笹乃雪 - 冷酒を注ぐ

    冷酒を注ぐ

  • 笹乃雪 - 「うずみ豆富」

    「うずみ豆富」

  • 笹乃雪 - 豆富そぼろの出汁茶漬け

    豆富そぼろの出汁茶漬け

  • 笹乃雪 - 「豆富アイスクリーム」

    「豆富アイスクリーム」

  • 笹乃雪 - 抹茶ソースを添えて

    抹茶ソースを添えて

  • 笹乃雪 - 箸袋など

    箸袋など

  • 笹乃雪 - 品書き

    品書き

  • 笹乃雪 - 店名の謂れ

    店名の謂れ

  • 笹乃雪 - コース一覧

    コース一覧

  • 笹乃雪 - 一品もの

    一品もの

  • 笹乃雪 - 飲み物

    飲み物

  • 笹乃雪 - おすすめの酒

    おすすめの酒

  • 笹乃雪 - 外観

    外観

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店舗基本情報

店名 笹乃雪 (ささのゆき)
ジャンル 懐石・会席料理、豆腐料理・湯葉料理
予約・
お問い合わせ

03-3873-1145

予約可否

予約可

住所

東京都台東区根岸2-15-10

交通手段

JR山手線・京浜東北線【鶯谷駅】北口 徒歩3分

鶯谷駅から267m

営業時間

11:30~20:00(L.O.)

日曜営業

定休日

月曜日(祝日の場合は営業し、翌火曜日代休)※夏季休業あり

予算(口コミ集計)
[夜]¥3,000~¥3,999 [昼]¥2,000~¥2,999

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支払い方法

カード可

(VISA、MASTER、JCB、AMEX、Diners)

席・設備

個室

禁煙・喫煙 完全禁煙

玄関に灰皿有り

空間・設備

落ち着いた空間、席が広い、座敷あり

携帯電話

docomo、Y!mobile

メニュー

コース

3000円以下のコース、3000円~4000円のコース、5000円~8000円のコース

ドリンク

日本酒あり

料理

野菜料理にこだわる、健康・美容メニューあり

特徴・関連情報

利用シーン

家族・子供と 女子会 知人・友人と

こんな時によく使われます。

ロケーション

一軒家レストラン

サービス

テイクアウト

お子様連れ

子供可

ドレスコード

普段着でOK。座敷なので座れる服装で。
テーブル席もあり。

ホームページ

http://www.sasanoyuki.com

オープン日

1691年

備考

FAX:03-3876-4354

初投稿者

食の神様~!食の神様~!(8)

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