いま話題の低温調理によるカツカレー。カツも美味しいし、ルー、ごはんもなかなか。 : カレーピーク

2019年はカレンダーの並びのせいで、仕事始めで1日出勤した後は、またお休み。
暮れも比較的ゆったり出来ましたし、いくら働き方改革だと言っても、これでいいのか？なんて思ったりもします。
いやいや、いつも暇にしているわけでは無いので、休む時は徹底的に休んで、働く時はその分徹底的に働くということなのでしょうね。

この日は、暮れにフォローレビュアー様のレビューでＢＭしていたお店の中から、浅草橋にあるこちらのお店にチャレンジしてみることにしました。

浅草橋と言えば、子供の頃は、蔵前国技館まで大相撲を見にたまに連れて行ってもらった記憶があります。
ちょっとしたご縁があって、ます席での飲食、土産物付きというやつだったので、子供心に相撲のイメージと言えばこれが植え付けられましたね。力士を象った大きなチョコレートは今でも脳裏に焼き付いています（笑）
大相撲ファンはそれ以来今まで続いています。

その後、浅草橋は、平成の初期の頃、当時の会社の同僚の勧めで、ＪＲ高架下の立ち食い寿司に何度か来たことがあります。因みにその立ち食い寿司、みやこずしという名前の記憶があったので、調べてみたら、恐らく「柳橋美家古鮨 本店」のことだと思います。数年前に閉店してしまったようですね。

あとは、上の娘が生まれた後に雛人形を買いに訪れたくらいですが、既にそれから四半世紀近くが経過しようとしており、すっかり縁遠い街になってしましいました。

さて、そんな中、昨年暮れにカツカレーに造詣の深いフォローレビュアーさんがアップされていたのが浅草橋駅からほど近い当店です。
なんでも単なるカツカレーではなくて、低温揚げのカツを使用するなどかなりこだわりがあるらしいです。
そんな情報を耳にするとすぐに試してみたくなるんですよね。
人は好奇心旺盛とかなんとか褒めそやしてくれるのですが、自分では単なるもの好きと思ってます。

当店の場所は、浅草橋駅を東口から出て江戸通り(国道6号線)を渡り左手に進みます。
すぐにあるカフェベローチェとすき家の間の通りを入って、２本目の筋を左折するとすぐに左手に見えてきます。

11時オープンのお店なのですが、11時2分前に到着したところ既に「営業中」の札が掛かっていました。
いつも言っているのですが、やはり営業時間については、パンクチュアルであるべきだというのが持論ですので、この点において当店はとても好ましいです。

入店します。
1階の店内は、カウンター席が3席あるのみでとても狭いです。
店頭に掲示されていた写真を見ると、2階席もあって、写真の通りだとすると16席くらいはあるようなので、狭い店ではないですね。
先客はいませんでしたので、1階のカウンター席に座りましたが、後続客は2階に案内されていました。

卓上にはメニューが置かれています。
基本はカツカレーが中心メニューで、ロースカツカレー、チキンカツカレーが中心メニューと思われ、それをベースにトッピングをする注文が多いのではないかと思われます。
一応、カツカレー以外にもとろとろ角煮のポークカレー、普通のカレーなどもラインナップしています。

注文は、やはり筆頭メニューのロースカツカレー@950円にしました。
プラス料金を払うとトッピングの他、大盛りや辛さ増しもありますが、全てノーマルでお願いしました。

待つこと9〜10分ほどでロースカツカレーの提供です。
とんかつは、衣の色はやや薄めに感じるくらいでしっかりキツネ色に揚がっており、肉はほんのりとしたピンク色ですが、不思議なくらい肉全体が均等なピンク色をしています。お店は、年代の近い方お二人でやっておられますが、若いと思われる方の方にお聞きすると、これは「低温揚げでは無くて、「低温調理」した肉を揚げている」とのこと。
低温調理とは、最近はラーメン屋のチャーシュー作りなどにも活用されている話題の調理法。
湯せんなどを用いて比較的低い温度で時間をかけて熱を伝えるため、煮たり、焼いたり、揚げたりする高温での調理に比べて独特の食感や瑞々しさが楽しめる画期的な調理法とされています。
そのため、全体が均一にピンクなんですね。
食感は、まろやかでとても柔らかいですが、豚肉特有のワイルドさは無く、好き嫌いの分かれそうな肉です。
ジューシーさの点でも物足りないかもしれません。
揚げ方は、衣の色合いからも中温揚げと思われ、パリパリ感がある一方で衣の活着は今ひとつで肉と衣が分離している感じがします。
それでも味自体はとても美味しく、私は気に入りました。

カレールーは、二種ルーと表記されていましたが、野菜ルーとフルーツルーの二種類がかかっています。
ともに辛さ増し無しだとほとんど辛さは感じませんし、フルーツルーの方は甘い感じすらしました。
ただ、なかなか絶妙の香辛料で仕込んだようで、スパイシーで美味しかったです。

当店のもう一つの特徴が、ごはんには、鳥取県・田中農場で生産されたカレー専用米「プリンセスかおり」を使用していること。
田中農場と言えば、六次産業化の先駆者としても有名で、例えば広島県の醸造メーカーであるセンナリ株式会社とタイアップした白ネギドレッシング（ネギネージュ）なども有名ですが、こんなお米も生産していたんですね。
当店では、ＦＢで共同開発者である鳥取大学の方が書かれていた記事を見てその存在を知ったらしいのですが、現時点で日本のカレー専門店でこのお米を使用しているのは当店だけとおっしゃっていました。
プリンセスかおりは、ジャポニカ（コシヒカリ系統のいのちの壱）とインディカ（バスマティー370系統のプリンセスサリー）のハイブリッドなので、やや長粒でツヤがあり、ポップコーンのような香ばしさもあって、これが香辛料の風味を引き立ててくれます。
パサつき感は無くて、噛むとしっかりとした弾力が ありながらも、一粒一粒がしっかりしているので、ネバ つき感は皆無。カレールーがおコメ全体にとても良く馴染んでいますね。
今、お米の世界では、銘柄米ブームですが、お米の需要が減退する中では、変わらぬパイの取り合いとなって、自分で自分の首を絞めているのではないか？といった疑問が無きにしもあらずだったので、こういうそのブームの一歩先を読んだチャレンジというのはさすがという気がします。
やや低収量といった課題もあるようですが、田中農場もさすがならそれを取り入れる当店のチャレンジ精神、進取の気質も素晴らしいと思います。

オープンしてひと月少々になりますが、食べログレビューは6件ながら評価は3.33点と健闘しています。
万人に評価の高い職人風カツカレーとは一線を画す存在ですが、今風の工夫が随所に施されたカツカレーという見方はできるかと思います。
好き嫌いは分かれるかもしれませんが、これからも新しいこだわり食材などを取り入れて進化を続ければ、面白い存在になるお店ではないでしょうか？
私はとても気に入りました。