満腹不満足 : レストランカミヤ

レストランカミヤ

■2018/8
浅草にある老舗洋食屋

営業時間は11:30〜22:00
火曜定休日

隅田川のほとり、吾妻橋交差点の角、雷門通り沿いのレトロなビルにある
住所は「浅草一丁目一番地一号」、つまり浅草の一等地だ
このビルは持ちビルのようで、大正10年落成の登録有形文化財らしい
1階は神谷バー
1階道路面側にショップ「神谷バー売場」が併設されており、電気ブランやカミヤワイン、食品、雑貨などを購入できる
2階はレストランカミヤ、3階は割烹神谷

ご存知、神谷バーは日本初のバーである
1880年(明治13年)創業当初、創業者の神谷伝兵衛は、三河のお酒を扱う「みかはや銘酒店」を始めた
電気ブランは1882年に登場している
1912年に屋号を神谷バーに変更
1921年に現在のビルに建て替え
1960年に洋食を始め、1970年に割烹料理を始めたそうだ

神谷バー(旧名 神谷バァ)は、萩原朔太郎が以下の句に詠まれている
「一人にて酒をのみ居れる憐れなる となりの男になにを思ふらん」
そして2階のレストランカミヤは、家族連れや団体客がメインで、手作り洋風料理、デザートなどを出す
もちろん電気ブランや生ビールも注文できる


ビルの歴史を感じる階段を2階に上るとレストランカミヤがある
店内は少しモダンな感じだが歴史は感じない
本館と新館が繋がっており、広さは充分
高めの天井、白壁
1階はバーと言うより居酒屋に近く、大きなテーブルに相席でザワメキが凄い
が、こちらはレストランだけあって比較的静かで落ち着いている

土曜17:40に伺った
開店前からビル前に待ち行列が出来ていた
今はビル前に待ち行列は無い
ただし第1希望であった1階の神谷バーは満席で、レジ前にも30名近くの大行列
2階は受付で10分待ち程度
という事で、第2希望の2階レストランへ伺った次第だ


主なメニューは以下
【盛合せ料理】
A 海老フライ・かにコロッケ920円
B 海老フライ・ハンバーグ900円
C かにコロッケ・ハンバーグ900円
D 海老フライ・ヒレカツ900円
【魚介料理】
かにコロッケ760円
魚のミックスフライ(海老・白身魚・サーモン)900円
海老フライ1000円
【肉料理】
メンチカツ750円
ハンバーグステーキ840円
ポークソテー カミヤワインソース920円
牛肉のサイコロ焼(150g)1130円
ビーフシチュー1250円
スペアリブ1450円
牛サーロインステーキ(200g)1540円
【軽食】
サンドウィッチ550円
スパゲティ・ナポリタン630円
スパゲティ・ミートソース630円
チキンライス670円
カレーライス630円
カツカレーライス790円
海老マカロニグラタン730円
【スープ・ライス・パン】
ライス230円 大盛30円増
パン230円
ポタージュスープ260円
【デザート】
プリン400円
アイスクリーム(バニラ/チョコレート/ストロベリー/ミックス)400円
フロート(クリームソーダ/コーヒーフロート)480円
チョコバナナパフェ580円
フルーツパフェ580円
プリンアラモード640円
【おつまみ】
フレンチポテト460円
ジャーマンポテト560円
ウインナーとサラミの盛り合わせ580円
カマンベールチーズ揚げ630円
揚げどりの自家製ソース650円
チーズの盛り合わせ710円
スモークサーモン730円
生ハム730円
かに入りオムレツ730円
ピザ780円
大皿ソーセージ1380円
はまぐりのトマトスープ仕立て680円
さわらのエスカベッシュ680円
冷製サーモンサラダ仕立て820円
鯛のソテー シャンピニオンバターソース940円
お新香370円
串かつ480円
煮込580円
枝豆580円
ポテトサラダ470円
タコのスモークサラダ630円
スモークビーフと野菜のサラダ750円
【ドリンク】
デンキブラン270円
電気ブラン(オールド)370円
電気ブランサワー510円
電気ソーダ460円
Denki Bran Fix510円
アサヒ生ビール
小ジョッキ500円
中ジョッキ790円
大ジョッキ(1000ml)1080円
特大ジョッキ(1100ml)1080円(期間限定)
ピッチャー2150円
アサヒドライブラック(小びん)520円
アサヒスタウト600円
アサヒプレミアムビール”熟撰”630円
パス・ペールエール630円
ギネススタウト680円
アサヒドライゼロ430円
カミヤワイン各種 グラス390円 ボトル2050円
ハチブドー酒270円
梅酒270円
バーボン ダブル460円
竹鶴 シングル460円 ボトル5900円
アーリータイムズ ボトル3600円
その他、ビール、焼酎、日本酒、ウイスキー、カクテル、ソフトドリンクなど各種

浅草駅前という抜群の立地の割には、いわゆる観光地価格ではなく比較的リーズナブルな価格設定だ
持ちビルだけあって場所代が掛からないからだろう

さすが土地柄か、メニューにはアサヒビール以外の国内ビールメーカーの名は見つからない


盛り合わせB(海老フライ・ハンバーグ)、ライス(大盛)、電気ブラン(オールド)、アサヒドライブラックを注文した

ハンバーグは焼き目が殆ど見つからない
洋食屋はフライパンで焼くのが普通の調理法であり、如何に焼き目を入れるかが重要要素の一つだと考えていたが、こちらはどんな方法で調理しているのだろうか
蒸し焼き？
流石に電子レンジでチンは無いとは思う
どちらにしろ、肉汁が閉じ込められていないのか殆ど出ない
食感もヤワヤワとするだけで悪い
ソースは醤油ベースのデミグラスソースなのだろうか、味は薄めだ
細かい挽肉を使用しているが、ツナギは大量のパン粉ではないだろうか
肉が高級品だった時代、貧しい一般庶民の編み出した知恵がパン粉をたっぷりツナギに使う方法だが、確かにふっくら柔らかな仕上がりとなるが、肉肉しさや肉の旨味が薄まってしまうため、現在の外食店では使うことは少ない調理方法だ
しかし古い調理法が完成された美味しい調理法だと勘違いし、成長が止まった老舗店は多い
こちらがそうだとは言わないが、個人的には残念ながら余り美味しいとは感じない

欧米ではハンバーグの起源であるタルタルステーキのように、肉と調味料だけでシンプルに作る
確かに日本では、挽肉にタマネギ、パン粉、卵を、加えて肉汁を閉じ込める工夫がされているのが主流だ
しかし肉肉しい感じは消え、肉汁も余りキープ出来ないのが事実
昔はパン粉を牛乳に浸したものをツナギとして使用した
最近では、パン粉はしっとりした生パン粉を使用するように変化した
しかし大量のパン粉を使ったハンバーグは残念ながら時代遅れと感じてしまう

海老フライは火がしっかり入っており、身のぷりぷり感は感じられない
衣はそれほどカラッとしておらず色も白めだ
タルタルソースで頂く
まあまあ美味しいが特別ではない

ライスは米質良し、炊き方固めで良し
大盛量もまあまあ

料理は余り期待していなかったので、こんなものだろう


さて本命の電気ブラン(オールド)
電気ブランは、明治15年(1882年)に神谷バーの創設者である神谷伝兵衛が生み出した、ブランデーなどを使用した琥珀色のハイカラなカクテルだ
ブランデーをベースに、ジン、ワイン、キュラソー、薬草などをブレンドしたものらしい

発売当時は明治、文明開化の流れにのって、西洋の洒落たものとして当時珍しかった電気にあやかって「電気○○」との名前が流行した時代だ
電気のように口の中で痺れるイメージが一致したそうだ
当時は「電気ブランデー」の名前だったとか
大正時代には、浅草六区（ロック）で活動写真を見終わった後、神谷バーで1杯十銭のデンキブランを数杯飲む
それが庶民にとっては最高の楽しみだったそうだ
現在、オエノンホールディングス傘下の合同酒精株式会社が醸造・販売している
電気ブランを飲みやすくしたのがデンキブラン
これらはアルコール度数の違いがあり、電気ブランは40度、デンキブランは30度
因みに誕生当初の電気ブランデー(電気ブランの元祖)はアルコール度数45度だったとか

ほんのり甘いが口の中はビリビリと強烈

チェイサーはもちろん「黒ビール」(アサヒ ドライブラック 小びん)とした
通は黒ビールをチェイサーとして頼むのが、ここの正統スタイル
チェイサーとしてビールを頼まない客には、コップに入った氷水も用意してくれるはず

そもそもチェイサー(.Chaser)とは「追っ手」や「追いかけるもの」といった意味
つまり強い酒の後で飲む、水、炭酸水、ジンジャーエール、紅茶、コーヒー、ミルク、シードル、そしてビールなどのアルコール度数の低いお酒の事
これはアメリカ英語の場合の定義であり、イギリス英語の場合は逆に「弱い酒の後に飲む強い酒」のことをChaserと呼ぶそうだ
日本では冷水の印象が強いが、海外ではアルコール度が低いビールなど立派なチェイサーとして扱われる
ウイスキーなどのチェイサーをビールとする場合、香りの強いクラフトビールなどを頼んでしまうと口の中でウイスキーの香りと喧嘩してしまい、チェイサーの役目を果たさない
スーパードライやレーベンブロイのようなキレのあるビールを選ぶと良いそうだ

アサヒビールは隅田川の向こう側(アサヒビール本社)から直送で運ばれてくる
このため泡がきめ細かくクリーミー美味しいとの事
私は違いがわからなかったが、気分的には良い印象だ


同行した友人が、デンキブラン、アサヒ生ビール特大ジョッキ、ジャーマンポテト、ウインナーとサラミの盛り合わせを注文した

ジャーマンポテトはタマネギと肉が入ったジャガイモの煮っころがしだ
普通に美味しい

ウインナーとサラミの盛り合わせは、しっかり表面が焼かれたウインナーがとても美味しい
サラミは特筆すべき点無し

大ジョッキは流石に量がある


サービスは皆無と考えて良いだろう


満腹不満足
次回は、カミヤワインと、バニラアイスの形がユニークなクリームソーダを注文したい