蕎麦が旨い、けど蕎麦だけじゃない。 : 浅草じゅうろく

切望していた２回目の訪問。
予約を取ってくれた方が、八寸と蕎麦(白、黒、かけ)だけ事前にお願いしてくれていた。

前回と同じ入口近くのカウンターで3名で。
軽く蕎麦前と、目的のかけそばを目掛けてきたのに、結果としてコースと変わらない(それ以上？)くらいの量を食べていた。
立地的にもそうそう行きやすくはないし、この量毎回食べるのはダイエット中の身としてはなかなか大変だけれど定期的に伺いたいお店。

今回頂いたものは以下。


◉重ね豆腐(お通し)

山葵湯葉、豆腐。


◉八寸
(正面上から時計回りに)桜えびのかき揚げ、板わさ、穴子煮こごり、黄身の味噌漬け、わさび漬、柳だこの柔らか煮、もろこ山椒煮

見事な八寸。
手がかけられているのがわかる、ハズレ無しで全て旨い。いわゆる味の濃い塩分強めの酒肴って、お酒飲む人間の割に苦手なんだけれど。ここは実はそんなに塩がきつすぎなくて、ちゃんと素材の美味しさもわかるように作られていて。多くの人が「美味しい」と思う閾値の良い加減のところに落ち着いているように思える。
桜えびのかき揚げはからりとサクサクの丁度いい衣で香りも良くて、もっと他の天麩羅を食べたくなるし。もろこの山椒煮もかなりレベルは高いと思う。


◉合馬筍煮

ほくほくと甘い筍。
出汁は脇役であり主役にもなる存在。そのくらい美味しくて飲み干してしまうよね。


◉お造り(宮城真子鰈、函館馬糞雲丹)

少し寝かせて(2,3日？)イノシン酸を出しつつ、食感も残して。
前回頂かなかったお造りだけれど、この価格でよく出せるなぁ。魚の目利きも扱いも蕎麦屋のものではないでしょう。


◉岩手山女魚 炭火塩焼き

他のお客さん用に焼き上がったものを見せられたら、そりゃあ欲しくなってしまいます。。
何も言っていなかったのに余分に焼いていただいていて、注文からの焼き上がりを待つことなく頭からがぶりと頂いた。
振り塩も良い塩梅。食べられないところが一切なく、焼きも申し分ない。


◉赤城ポーク ヒレカツ

中心はピンク色。断面からはしっとりとした艶めき。衣は剥がれやすいものの、赤城ポークの味の強さが前面に出ていて、柔らかすぎず弾力のある食感も嫌いじゃない。


◉蕎麦
かけ《白・黒》、せいろ《白・黒》
贅沢にも四種類。
かけには白か黒か論議になったけれど、ここのは断然白が合う。
出汁とかえしのバランスと二八蕎麦の一体感は秀逸。
しかし、本当、ここの二八は素晴らしく美味しい。そんなに食べ歩いている訳では無いけれど、自分の中ではトップクラスに近い。
すでにだいぶ食べてきた胃袋もするすると受け入れるし、なんならおかわりしたいくらいだ。


◉水羊羹


ビールと日本酒と嗜む程度に頂き、1人¥1万円弱。
今日も素晴らしいパフォーマンスでした。
また伺います。

初訪問。休日夜に。

仕事を終えダッシュで向かったら予約時間よりもだいぶ早くなってしまいましたが、快く迎えてくださいました。
同行者が予約してくださいましたが、初めての方は鴨鍋コースで、とのことでしたので予約の段階でそちらのコースでお願いしました。
カウンターにあるメニューを見てみると、コース内容はアラカルトメニューのものを少しずつ合わせたような感じでしたので、初めてこちらのお店を楽しむ人には確かに丁度良いものだなと思います。

ビールで喉を潤してからすぐに供された八寸の内容からすでに良店の気配がプンプン。
既製品は板わさだけということで、どれもきちんと作られています。黄身の味噌漬けなんか浸かり具合最高です。
酒呑みには嬉しいアテの数々。(この日は節酒中のため控えめにしましたが)

その後もテンポよくお料理が運ばれてきますが、どれも美味しいこと。
味付けの好みなど気にかけてくださいますがちょうどいい塩梅で、若竹煮なんかとても好みですね。
そして何より素材がいい。
このコース価格の中でも、良い種を使われているのがわかります。
天麩羅のキスも久々にこんな身厚でぷりぷりとしたものを頂きました。新筍も美味しかったなぁ。
鴨鍋に使われる鴨も、生のものを使われているそうで、さっと火を通しただけでも頂けますし、ついうっかり火を通しすぎても驚くほど柔らかく鴨の味が強いです。
鴨つくねも良かったですが、出汁を吸った蕎麦掻きもトロリとこれまた絶品。

最後のお待ちかねの蕎麦は非常に端正な極細の二八。接写で撮っても均一な揃いが見て取れます。
どこを手繰っても同じように鼻を抜け喉を通り、雑味の感じないクリアな味わいが楽しめます。ほんのりと甘みの余韻が残るのみで食後感もいいです。
合わせる汁は、かえしを抑えめにしたもの。鴨鍋に合わせて少し甘めにしているとのことでした。
残った鴨鍋の汁と合わせて鴨せいろとして頂いても美味しいです。

食事後、ご店主と女将さんとお話させていただきましたが、蕎麦に対する考えや知識がとても興味深く面白かったです。
まだお若い女将さんの蕎麦打ちはまさにセンスの塊ですね、、。そして独自の理論も、その考えに行き着くのがまた凄いなぁとただただ関心。
会計後だったのでお茶だけ頂いていましたが、結局1時間以上そこから話が盛り上がってしまい、なんなら呑みながら話したかったなぁとちょっと思いました。
若くてお綺麗な女将さんの打つ蕎麦をまた頂きに行きたいです。男性客なんかメロメロだわそりゃ。


本日頂いたもの。

・八寸(胡麻豆腐、黄身の味噌漬け、明太子の燻製、豆腐のもろ味噌漬け、ズワイガニの蟹味噌和え、いぶりがっこクリームチーズ、板わさ、穴子の煮こごり、濃厚湯葉刺し)
・新じゃが ヤナギダコ
・若竹煮
・鴨セリ鍋
・天麩羅(式部草、キス、アスパラガス)
・トラフグ皮 鳴門わかめのポン酢
・出し巻き玉子
・二八蕎麦せいろ
・甘味