気楽な居酒屋風コースがボリューム満点でとてもお得@本所吾妻橋／東京 : 山介

2016年7月

地下鉄本所吾妻橋駅出口を出た浅草通りと三つ目通りの交差点からほど近い2013年開業の新しい
蕎麦屋。
開業当初はアラカルトもあった様ですが、最近はコースのみので予約を基本としているようです。

お目当だったお店が2店共に臨時休業なので、駄目元で当日の18時過ぎに電話をしてみると
快く予約を受けてくれました。
出来れば予約の時にどのコースにするか決めてほしいと言われました。
しかし、事前に決めておくとコース料理をスムースに出せるようでしたが、詳しいコース内容も
わからないし、友人とはお店で待ち合わせの為、お店についてから決めることになりました。
これも快くお受け頂き、楽しみにしてお店に向かいました。

店内に着くとカウンター席に案内されました。
友人とコースの内容を聞いてから5,800円のコースをお願いしました。
しかし、コースの内容が分かるメニューがあればより選びやすいと思いました。

この日、私は珍しく生ビール小から始め、「篠峯 純米吟醸 雄町」と続きました。
5分程度で初めの料理が運ばれて来て、その後はこちらの食べたり飲んだりするペースに合わせる
ように料理が出て来ました。

＜この日のコース料理＞
・「付出」・・・稚鮎焼煮、鰻肝煮、ゴーヤ佃煮、バイ貝、自家製豆腐浅蜊餡掛け、山芋ゼリー

・「冷物」・・・生湯葉、雲丹、ズワイ蟹、出汁のジュレ掛け

・「お造り」・・・鰹、鰹腹身、カマスの昆布締め炙り、煮蛤の握り、平目の肝和え

・「そばがき」・・・浅蜊練り込んだ揚げ蕎麦がき、餡掛け

・「変わり蕎麦」・・・玉蜀黍のクリーム冷製蕎麦

・「天ぷら」・・・鱚、明日葉、舞茸
　　　　　　　　　塩と出汁が用意されていました。
　　　　　　　　　薄衣でサクサクしていましたが、油切れが今一歩。
　　　　　　　　　コースの中の一品としては良いかも知れませんが、この天ぷらなら辛汁で
　　　　　　　　　食べるタイプの方が良いと思いました。

・「ざる蕎麦」・・・「十割蕎麦」と「挽きぐるみ」2種類の合盛り。

最後の蕎麦は「十割蕎麦」と「挽きぐるみ」2種類の合盛り。
共に水切りがもう一歩の様に見えますし、手繰っても水切りの甘さは感じました。
まずは「宮崎県産の十割蕎麦」
色はほんのりと緑ががった明るめのグレー、
香りや風味はあまり強くなく、喉越しは良かったと思います。

次に「挽きぐるみ」
星がチラチラと見えるやや濃いめのグレー色で、ザルの上の蕎麦は既に短くなっていて、手繰って
いると更にプツプツと切れてしまいます。
多少短いのは良しとしても手繰れないのはどうなんでしょう。
風味が良かっただけに惜しいと思いました。

蕎麦汁は鰹風味強目の出汁で、ふくよかな甘みとしっかりした醤油のかえしでした。
出汁はもう少し風味に透明感があった方が好みに合っていました。

〆の蕎麦湯は少し粘性の高いもので、お腹一杯だったこともありあまり飲めませんでした。
特にお腹一杯の時はサラッとした蕎麦湯が飲みたいところです。

それにしても、5,800円のコースはかなりの品数とボリュームがありました。
その中でも「変わり蕎麦」の玉蜀黍のクリーム冷製蕎麦は、パスタの蕎麦版のようでしたが、
ボリューム的にも味わい的にも我々にはない方が良いように思いました。
他の料理もかなり勉強されているようで、会席料理風の料理も出て来ました。
その努力とチャレンジには敬意を表しますが、他の蕎麦会席を標榜しているお店に比べると、
まだまだ居酒屋風の域を抜けていない印象でした。
このまま気楽な居酒屋風コースでも良し、蕎麦懐石を目指すも良し、さてどの方向に変わって行く
のか今後が楽しみです。
欲を言えば、コース最後の蕎麦については食べ疲れてからの蕎麦ではなく、心地良く最後の蕎麦を
頂けるようにコース内容やボリュームの設定にもう少し気を配って欲しいところです。
しかし、若い方には抜群のパフォーマンスを発揮すると思います。

結局、日本酒と蕎麦料理を十二分に楽しんだ3時間半でした。
次回の我々には、3,800円のコースが最適のように思いました。

＜この日の日本酒＞
・「紀土」純米吟醸　にごりざけ生
・「篠峯 雄町 凛々」純米吟醸
・「悦 凱陣」無濾過生原酒
・「川鶴 大瀬戸 純米」無濾過生原酒
・「川鶴」特別純米酒 無濾過生原酒
・「風の森」純米大吟醸 しぼり華