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ア・トレ・ヤン/変わらず生き残るために
浅草通りを中央通りで左折。
雷門どおりからオフセット気味に上野へと向かう一通のコインパーキングにクルマを駐めた。
空は曇っている。心も晴れてはいない。
昨日の夜に何だか知らないけどヘソを曲げた Sちゃんに送っておいた LINE の返信が朝あって、それに打ちのめされているからだ。
「何か俺にいたらないことがあったら言ってよ、なおすから」
「その性格で今まで生きてきたんだからなおんないと思うよ。いつも自分中心じゃん、人の話聞かないし」
―― がちょ~ん !!!!! つ~かなんだこの女子大生と五十男のやりとりは !?
<H30.7.12 >
「欧風料理 ア・トレ・ヤン」
午前十一時四十分。
まだ先客の姿は無し。BGM は少々元気目で、というかこの空間が静謐に過ぎてそう感じるのかの JAZZ。どちらでもとなり二人掛けのテーブルに着いてしまったが、壁を向くような恰好のカウンター席もあった。長辺に 4席、短辺に 2席だが、それぞれフルについてしまったらけっこう窮屈そう。
私は一番入り口側の席。
ドアに嵌めこまれたガラスから国際通りの明かりが、今日は曇っているんだけど、それでもよく回り込んできている。その淡い光量に包まれつつこうしてゆったりと微睡んでいると、なんかまったく浅草の感じじゃないんだけど、でもそれじゃどこか ? と問われたら、ちょっと即答できないなぁ (笑)
“2種ソースのメンチかつ” @1,100也
先ず揃えられたフォウクの歯の懐が浅いことが、見た目はユーモラスながら機能としてはどうなのかな ? と。
そしてサラダが供された。レタスに元気がなく、ドレッシングはピエトロのイタリアン (オニオン?) ドレッシングみたいなの。
捕捉なんだけど、この野菜がフレッシュさに欠けているという感想と、一番入り口近くの席に着いたということは、随分と前に一度訪問したときと全く以て合致する。このことは、お店も変わってないけど、俺自身も変わんないオトコだなぁってことを如実に示すことかも。
「変わらずに生き残るためには、変わらなければならない」(ルキーノ・ヴィスコンティ監督/山猫より) というのも勿論あるんだけど、でも一方で、それに逆行する (サラダだけは絶対に草臥れさせる/笑) 痛快さというものもある。
そしてメインの皿が到着。
ソースはブラウンのと黒っぽいのと、確かに分かれていた。色は (やめなさい !)。付け合わせはラタトゥイユみたいなのとサヤインゲンと、素のスパゲッティ
それでメンチは。
私がメンチに求めてるものってなんだろう ……
おそらくそれは、ステーキなんかの“塊”に比べてもっと洗練された、でもそこに“肉”としての荒々しさを兼ね備え、例えて言えば美しき獣のような、そんな品格と野蛮の同居を期待しているのだと思う。
その観点で言えばこちらのメンチは調教され過ぎており、ワイルドさの部分が致命的に足りないのでは、という物足りなさ感否めず。
また 2種のソースというのも、難しく考えずにブルドックのとんかつソースのほうが美味いんじゃないか、とは口が裂けても言いません。
ああ、それにしても、私が入店してから最後までお客さんが後に続いてくれなかった為に、お店の方が意識を 100% 私に向け続けてくださって大変ありがたかった。というのは嘘で、正直精神が疲労したわ (笑)。
とりわけアスペルガー症候群持ちの私なもので ……
ア・トレ・ヤン/楊夫人の湖
<H26.5.2 浅草>
国際通りを北上、言問通りを渡って尚も暫く進んだが、寂しくなる一方の街並みに心細さが募り、Uターンすることにした。登山に“引き返す勇気”というものが必要なように。
やがて、先ほど通り過ぎたときにはCLOSEに札を返していたボルドーの庇を持つ洋食屋の前に、再び差し掛かった。札は翻ってOPEN。非常に明るい青い空の下から中を覗いたが、極端な光量差で店内のディティール浮かび上がらず。
しかしながら、看板の“欧風”との高らかなる宣言に背中を押され、おっかなびっくり、その楊夫人ににた名前のお店の、自動扉の取っ手を押してみた
「欧風料理 ア・トレ・ヤン」
先客に、品の良い、親娘らしき女性二人組の姿有り。
最も入り口近くの、二人掛けの席に着いた。硝子戸の外は国際通り。向こう側に出鱈目なトリミングで浅草ROXが、恥ずかしげにそのお尻だけ写りこんでいた。外国人カップルが、何故だかやたらと往き過ぎる。
BGMは、レディオのFM放送か。
間口の雰囲気から、ちょっと品のあるお店なのかと思ったが、案外大衆店のようである。
「今日はにんじんのポタージュが仕上がっていますが、お持ちいたしましょうか?」
との給仕女性の問いかけに、思わず反射的に「はい」と答えてしまったが、視線を巡らせて壁のメニュウボードに、“本日のスープ \200”との掲示を後から発見。それはいいのだが、「紅茶かコーヒーは食後に致しましょうか?」の問いに答えてしまったアイスカフィが、そちらも別料金となるのかどうか、そこはかとない不安に襲われた
“チーズハンバーグ・ドミソース” @950
“にんじんのポタージュ” @200
最初に供されたサラダは少々草臥れていたが、にんじんのポタージュは、その名のとおりの、優しいにんじんのポタージュ。私にとってはやや塩分が足りず、ちょっと葛藤したが、塩を振ってしまった。\200払うんだったら、格好をつけて遠慮する必要はなかろうと……
鏡面仕上げの美しいブラウンの山上湖に、それは静かに浮いていた。
ヴィジュアル的に何かフラットな印象を受けるのは、チーズ、付け合わせのポテト、塩のスパゲッティ、それらが図らずもすべてクリーム色で揃ってしまった為であろう。さやいんげんだけが唯独り、鮮烈なグリーンの波長を発揮していたが、こういった料理のパーマネント・メンバーである人参のグラッセの赤の存在感には、遠く及んでいなかった。
それは兎も角、フォーク&ナイフを手にファイティング・ポーズをとって、肉塊をぐさり。艶のある湖面が揺れて、さざ波がたった。チーズがどこまでもどこまでも尾をひいてくる。意に介さずに頬張った。
ソフトな弾力を纏う、下町育ちらしい下味のしっかりとしたハンバーグだった。
食後のカフィも、濃度良好。熱量を纏った私を心地よく冷却してくれた。再び、好天の下の国際通りをぼおっと眺めた。女性二人連れが、私の横で満足気に席を立ったが、本当は、目当ての料理が別にあったようである
「美味しかった♪ 今度はハヤシライス食べにきま~す」
「すみません、今日は売り切れてしまっていて♪ ありがとうございました~」
――……?
二人連れはふつうに帰っていった。
私もお会計をお願いした。カフィは含入れの価格であった。再び白日の下に身を晒し、国際通りを漕ぎながら、またしても余計なことを想った。
――ふつうに、「今度仕込んどきますね!♪」 でいいんじゃないのかな……。明らかにその日最初のお客さんに、今日はもう売り切れなんですよ~って、それって十条の一杯飲み屋の酔っぱらいだけに通用する…… いや、酔っぱらいだと、下手すっと怒りだすか……
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Jackie_m
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店舗情報の編集
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店名 |
ア・トレ・ヤン
|
---|---|
ジャンル | ヨーロッパ料理、洋食、ステーキ |
予約・ お問い合わせ |
03-5828-0118 |
予約可否 |
予約可 |
住所 | |
交通手段 |
つくばエクスプレス浅草駅 徒歩1分/地下鉄銀座線田原町駅 徒歩5分/都営浅草線・東武伊勢崎線浅草駅 徒歩10分 浅草駅(つくばEXP)から105m |
営業時間 |
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
予算 |
¥4,000~¥4,999 |
予算(口コミ集計) |
¥1,000~¥1,999
|
支払い方法 |
カード不可 電子マネー不可 |
席数 |
14席 (カウンター6席、テーブル8席) |
---|---|
個室 |
無 |
貸切 |
可 (20人以下可) |
禁煙・喫煙 |
全席喫煙可 2020年4月1日より受動喫煙対策に関する法律(改正健康増進法)が施行されており、最新の情報と異なる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
駐車場 |
無 |
空間・設備 | オシャレな空間、カウンター席あり |
ドリンク | ワインあり、ワインにこだわる |
---|
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
ロケーション | 隠れ家レストラン、一軒家レストラン |
ホームページ | |
備考 |
チャージ料なし |
初投稿者 | |
最近の編集者 |
|
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殺人的な熱さの中の集金。
今日は電車はやめようと早々に決めている。が、営業マンの数が減る中、営業車が減っていないというのはいったいどういう了見か。会社の財産は人という言葉があるが、世の中にはもしかして、万が一、財産を人よりもクルマと考える会社があるというのだろうか ……
その人間よりも大切なクルマに乗り込み、イグニッションをONした。
ダブルオーバーヘッドカムシャフト直列4気筒。総排気量1,496cc、最高出力80psの野獣があっけなく目を覚ます。
ファンベルトのスペアも持っていないヤツがクルマに乗る資格はない。が、ファンベルトを持っていなくても、常に助手席に美女をはべらせ、万が一のときにはそのストッキングを脱がせてファンベルト代わりに使うことが出来る者は、その資格があるという。
今の私には、そのどちらもなかった。
それでも今はただ、ナチ占領下の物資不足に喘ぐフランスでお御足の後ろに縦線一本、アイシャドウで継ぎ目を描いてストッキングを穿いているように見せかけるカトリーヌ・ドヌーブの生足だけを信じ、ストロークの短いシフトレバーをフォワードに叩き込んだ !
<R4.6.30>
「ア・トレ・ヤン」
マダム・ヤンに似た名前の、そしてボヘミアンにもちょっと似た名前の(似てね~よ !)洋食屋さんが、国際通りの海原にまるで蜃気楼のように浮いているのが見えて、まるでオアシスに縋るように飛び込んでいったわたし、旅人 ……
BGMはピアノのインストゥルメンタル。
空調が十分に効いてくれていることが有難かった。
先客は男性おひとり様で、その後も男性一人客が続く。お店のイメイジからもっと女性に支持されていても良いのかなと思うが、たまたまなのだろうか。
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“2色のソース メンチカツ” @1,155也。
セットされたカトラリはフォウク&ナイフ。
ご飯はお皿で、そして御付けのお椀がついていないので、これで辻褄は合っている。
そこで、そういえば今朝の報道ヴァラエティでお天気お兄さんが、熱中症予防の為には朝ごはんをきちんと摂ることが大切だが、それが無理ならばお味噌汁だけでも飲んで家を出て欲しい、と訴えていたことを思い出す。
要は人間には塩分が必要だということなのだろうが、重要なことは、それを頭で考えて摂取しようという人間は、もう動物として終わってるってこと。本来であれば、例えばそばつゆが辛ければ辛いほどうまいように(ほんとに ?)、体にとって必要なことを快楽として享受できる状態が、動物として正常ということなのである。
そういえばこないだ、久留米から出てきた(正確な年は知らないけど)二十歳そこそこの女の子だって、福建のおじさんの作った、飲んでるおれが食ってもかなり塩辛いと思った炒飯を、「おいしいおいしい !」ってがむしゃらに食べてたもん。それもまさに体が正常に機能している証拠だよ ! で、最後には富山ブラックラーメンに行きつくんじゃない ? おれはちょっとそこまではノーサンキューだけどね(笑)
上品なようでいて、意外にボリウムのある浅草洋食を堪能させていただく。
ドア一枚隔てただけで、おもての国際通りの喧騒が嘘のように遮断された非常に平和な時間の中で、2色のソース、色合いだけで上質なメイラードを予感させる褐色と、(甘くはないが)ピーナッツバターを連想させる黄土色がマーブル状にとろける境界に、こんな今だからこそ世界平和を祈念しつつ、ふたたび灼熱の陽射しに身を焦がされて何故か悦に入る、そんなわたしもボヘミアン