頑張る個人店を応援します 【優良居酒屋】 : 魚や 藤海

ランチも行ってみました。
評価としては★4.0のランチなのですが、本題は夜レビューにあるため、下段に加筆書き込みします。

（本題）
当店を知ったきっかけは　yahooニュース　でした。
いつもちょっと訳ありの店を訪問する突撃系レビューですが、今回はちょっと趣向が違います。優良な個人店と思われる店への訪問です。

団体予約29人のバックレ発生→居酒屋店主の嘆きがTwitterで拡散→事情を知ったお客が続々来店して窮地を救う
・・・こんな記事だったと思います。

居酒屋における予約客のバックレは非常に悩ましい問題です。宴会幹事の中には複数店に予約を入れたり、いい加減な連絡で場所だけ取っておいたりする人もいるようで、直前キャンセルの結果、お店に大きな損害を与えることもあると聞きます。
一方で、幹事が騙されるような形でのキャンセルもあるようです。これは私も幾つかの突撃訪問時に経験した事ですが、客引きが大手チェーン店の従業員であるように装った上で、「満席です」「系列店に案内します」などと偽って予約客の横取りをするようなケースもあったりします。先日には、偽計業務妨害で悪質なキャッチ行為の検挙があったと、全国ニュースで報じられていました。

こういった予約キャンセル（横取り）の最大の被害者は、真面目に経営している個人店です。食材の仕入れや広告宣伝を、限られた資力の中で回さなければならない零細個人店は、その損害が店の経営を直撃します。余剰食材の転用や評判の回復を容易にできないのが個人店だからです。だからこそ、レビュワーさんの中には、居酒屋個人店に対して特別な配慮をもってレビューをあげる方も多いのかと思います。

そんな中での、世にも珍しい心温まるニュースじゃないですか。

記事を読むと、コース予約をした29人の団体客が、宴会開始時間を過ぎても誰も来ない。幹事さんに連絡してもつながらない。用意した鮮魚などの食材が全て無駄になってしまう。助けてください。と店主さんがTwitterに書き込んだとのこと。
すると、お店の常連客さんが状況を聞きつけ、直ぐに情報を拡散してくれたそうです。中には宣伝しただけではなく、わざわざ戻って駆けつけた人もおられたようです。

イイハナシダナー。
俺もその場に居たかったなぁ。
続々席が埋まっていくのを見るなんて、人の温かみが感じられて涙が出ちやう。
稀に、コンビニやスーパーなどで、間違って日配品の「大量」発注をする人が出て、周囲の好意に救われるニュースが流されるけど、居酒屋でもそんな素晴らしい事ってあるんだなぁ。70人のバックレをやって大騒ぎになった某大学のニュースとはえらい違いだなぁ…なんて思っていました。

ところが、その後何日たっても、そのニュースの続報が出てこないのです。
居酒屋店主のコメントも無ければ、必死に応援したであろう常連客のインタビューもなし。店名も殆ど出てきません。（私個人は知ってはいました）
これはどうした事だろうと、かなり不思議に思っていたところでした。

そして、ニュースから１カ月が経ち、もう一度情報を確認してみたら、店主さんのこんなコメントが確認できました。

★★★★

～お騒がせしてしまった件について～

今回の件につきましては、〇月〇日18時半29名様のご予約のお電話を受けました。（中略）幹事様のご連絡先と会社名を確認していましたが、ご予約日の前日または当日の確認の電話を怠りました。事前の確認さえしていれば、このような惨事にはならなかったはずです。（中略）日々の慣れから予約直前での確認を怠り、予約時間が過ぎてから慌てる失態。今回は多くの方に助けられましたが、当店の予約管理、リスクマネージメントの甘さが露呈し、お恥ずかしい限りです。また、Twitterでの反響がここまで大きくなる事を想定せず、感情にまかせた軽率な行動であったと反省する次第です。意図せずとも、多くの方の目に触れ、集客に繋がった事は事実ですから、炎上商法、売名行為などと揶揄される方もいらっしゃるのも仕方のない事なのだと思います。身の丈に合わない過分な集客は望むところではなく、今まで通りの地道な商売を続けていきたいと考えております。

（中略・キャンセル料や前金についての記述）

今後は、キャンセル料に関しては今まで通りにしますが、前金については大人数のご予約の際にはご相談させていただく事を検討いたします。また、予約の確認等も徹底し、二度とこのような事が無い様にしていきます。

お助けいただいた皆様に感謝をするとともに、私事により皆様をお騒がせしてしまったことを深くお詫び申し上げます。

繁忙期になると、複数のお店に予約をして、その中から皆にどの店が良いか決めてもらう幹事様がいらっしゃり、キャンセルを忘れる事による被害に悩まされる居酒屋がある中、ぼったくり居酒屋などと呼ばれる店があり、せっかくの御宴会を台無しにされてしまう方がいるのも事実です。お客様も居酒屋も安心して御宴会が出来るようになることを切に願います。

魚や藤海　店主

★★★★

何という事なのでしょう。何故ここで店主が謝らなければならないのか。そもそも店主は被害者であって加害者ではありません。確かに、業務上の失敗はしたにせよ、情報を拡散してくれたのは常連客の皆さんです。
それと、料金請求における深い悩みも読み取れます。店主は今回もこれからもキャンセル料は請求しないと言っています。しかし、ぼったくり居酒屋と誤解されたくないために、こんなにも委縮してしまうものなのか。。。
これは、実際に店を訪問して、店主の考えを確かめてみたくなりました。荒ぶるエイムの突撃系男子の血が騒ぎます。さっそく電話を取り出して、私の知る限り一番冷静に居酒屋を分析する呑兵衛の知人を呼び出し、一緒に行こうと誘ってみます。今日の今日での訪問したので流石に呆れていましたがｗ

当店【魚や 藤海】は秋葉原駅からは徒歩6～7分の距離にあります。最寄り末広町でも3分程、お茶の水や小川町からも多少歩く必要があり、都心で営業する居酒屋としてはやや立地が悪いと言えるでしょう。
さらに周囲は秋葉原の繁華街の少し外れた、やや静かな場所にあります。小さいながらも伝統のある企業の入ったオフィスビル街ですが、路地２本先には神田明神があって、周囲にはちゃきちゃきの神田っ子もお住いのようです。

そんな中に当店【魚や 藤海】の青い看板がありました。地下にあるお店のようですので、綺麗な扉を入って階段を降ります。
すると、階段脇にもB1F入口手前にも日本酒の空き瓶が色とりどりに並んでいました。
よく、店で提供するお酒と関係ない高級ブランド酒を並べたりする居酒屋があったりするのですが、ラインナップを見ればお客が実際に飲んだ佳作・良品ばかりの様子です。お店として酒の仕入れを工夫しているのが良く分かりますね。程々に安価な地酒を、飽きられないように工夫して仕入れをしているのでしょう。
掃除もしているしこれはいいぞ♪　ちょっと雑然としてるけどｗ

店内は和風モダンの造りです。テーブル席には既に団体客も入っているようで、かなりの盛況になっており、私たちは残り少ない空席であるカウンターに案内されました。奥にはちょっと変わった個室もあるようです。ちなみに当店は寿司屋さんを改築したものなのかもしれません。でも魚料理がウリの店ですから、その雰囲気は趣向に合ってる気がしました。

料理は刺し盛り（2人前1,400円、＋金目鯛なので200円プラス）がお得ですね。調理の様子がしっかり見れる位置にいましたので、刺身包丁を手に丁寧な作業をされている料理人さんのお仕事をツマミにビールとウーロンハイで乾杯です。

さて、お目当ての日本酒です。単純な飲み放題は1,500円だそうですが、純米吟醸を含む2,500円のプレミアム飲み放題にします。暇な時間に冷蔵庫の中身を確認しましたが、120分（L.O.が30分前）でこのラインナップであれば良い店ですよ。お酒の強い方、日本酒好きな方はいっちゃいましょうｗ

私たちは目下、様々な日本酒を勉強中だったので、幾つかの指定の他はお任せでお願いしました。しっかり者の若女将さんが、お手頃ながらお勧めの品を選んでくれます。定番の辛めのお酒からはじまって、今流行りの果実酒を思わせるフルーティ系の味わいを楽しんだ後、飲み放題を時間延長したのは覚えています。私は途中で、夏吟醸 秀鳳に変化して生原酒の爽快感を楽しんでましたね。夜の帝王（純米酒）は名前に反して非常にまろやかじゃんって笑いながら飲みました。その後、獺祭50を飲ませろと騒いだのも覚えています。
相方も一つ一つ確かめるように飲んでましたので、日本酒の奥深さを感じてくれたようです。今度は利き酒可能なお店に行ってみようかって盛り上がりました。
ただ、、、盛り上がり過ぎて記憶がぶっ飛びました。二人とも相当な呑兵衛なのですが、この状態は本当に稀な事です。よほど楽しかったのだと思います。

料理の方は刺身がとても新鮮です。店主のTwitterをみると、日々の魚の仕入れが更新されていたりします。本日は金目鯛がお勧めだそうです。相方の指摘では、切り口をみても食材の取り扱いがとても丁寧だと。これは素晴らしいお刺身ですねと、厳しい目でチェックしていました。お前は科捜研の女かｗ

店主お勧めのアジフライ（780円）は、驚くほど大柄な鯵をつかっていて、脂のノリが凄いんです。私なんかは冷凍アジのお弁当に慣れてしまっているので、同じ魚の料理とは思えないくらいの美味しさでした。
あーもう、そういえばもう鯵の季節でしたね。バイクで伊豆半島を巡った時、ふらっと寄った居酒屋で漁師さん達と意気投合し、漁師飯のアジフライを頂いた時の感動を思い出しましたわ。これを、もしランチで出されたらたまりませんよと思って、実は後日、お店に再度行ってみたのですが12時55分で売り切れ（店外写真あり）でした。数限定でしょうから仕方ないのですが、また今度はランチも食べてみたいですね。職場が近くの方は超おすすめです。これマジです。

ポテトサラダは何で頼んだんだろ？激安系居酒屋の定番メニューですが、当店【魚や 藤海】さんのポテサラはさすが手作りで、素材の美味しさを生かした淡い味付けでしたね。
お寿司は店主さんが元々寿司屋で修行をしていたとの話を聞きました。いわば本職でもある訳です。伝聞なので間違っていたらゴメンナサイ。

総評としては【魚や 藤海】は間違いなく真面目で優良な料理店です。1回の訪問だけでは分からない部分も多くあって、懐の深さも感じます。仕事一途な職人気質を感じる、一見強面なのに実は人柄が目茶苦茶良い店主さんが仕切っている個人店です。ホール担当の奥様は若いながらも気遣いがあって、愛嬌のある接客がお客をとても楽しませてくれます。
私は食通でもなく、年に200日以上の居酒屋を飲み歩いているただの味音痴の呑兵衛ですが、当店は相応の料金を払ってでも行きたくなる店の一つです。そう、自分のおこずかいで行きたくなる店。友人知人に知らせたくなる店。
今回は（記憶を飛ばすほどバカ飲みした結果）料金がいってしまったのと、個人店の弱みであるオペに指摘があったため、程々の評価にしていますが、本音はもう少し↑です。

ちなみに良質な店だというのは、他の客を見ていればわかります。
当日、カウンターで隣に座った地元在住？の紳士たち。口は悪いけど中身はさらっさらの佳い人達です。
大盛りあがりの宴会していた団体客。皆さん嬉しそうに挨拶して帰って行かれましたね。
個室でウフフな会話をしていた若いお客様。カッコいいとこ見せられたんじゃないの。良かったね。
良い店には良い客が集まる。今回のレビューでの結論です。

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さて、食べログレビュワーとして一応の義務を果たしたので、本題に入ります。
・今回の騒動がなぜ起こってしまうのか。
・真面目な経営をする店主が、なぜ頭を低くしていなければならないのか
という点です。問題が複数あるので分けて考えていきます。

■予約キャンセルの問題
これはあくまで一私人の意見として強調しておきます。
昨今では、インターネットを通じてお手軽にお店の予約を出来るようになりました。予約の仲介をされている口コミサイト運営各社は素晴らしいシステムを作られたと思います。20年前の私は幹事をやる機会が多数あったのですが、その都度電話帳をめくって予約したり、実際に行って席を確保していました。その手間を省いてくれただけでも飲食業界にとって大いなる貢献です。
しかし、その弊害として、店を直接知らないユーザーを増やし、安易なキャンセルなどを誘発することで、お店に迷惑をかける事柄も発生するようになった訳です。実際居酒屋店主たちからは、かなりの数のバックレ事案があると聞きます。食材やスタッフの出勤調整など多くの準備をして待っている店からすれば大変な損害になっているのです。
可能であれば、無断キャンセルをする客に対して明確な罰則があればいいなとは思いますが、現実は難しいようです。ではせめて、予約バックレは悪いことだとの認識が、業界全体やレビュワー。ビューワー間でより浸透して欲しいとは思います。そのためには、悪質な予約キャンセルをしたユーザーに対して、厳しい対応をとる店の支援もあって欲しいなと妄想してしまいます。
また、損害を与える事例がインターネットで稀に炎上する事がありますが、それはそれでやむなしと考えます。飲食業の関係者でもないのにスミマセン。

■騒動を詫びる必要があるのか
私は全くないと思います。炎上商法だとか不誠実な宣伝だとか揶揄する人もいたようですが、それは酒を一滴も飲めないネット〇長、タ〇ナ〇野〇がいう事です。実際に当店を訪問してみれば、炎上させるメリットなど全くない事が直ぐに分かります。ミーハーな客に来られても常連離れをおこすだけですからね。あ、ミーハーは俺のことかｗｗｗ
お店のTwitterを見ても、ひたすら仕入れやサービスについて書かれているもので、常連のお客様向けに書かれているものです。そこに、食材が余ってしまうので今日は特別なサービスをします、と書くことの何が問題なのでしょう。
また、それを知った常連客が拡散するのも当然のことです。例えるなら、食べログレビュワーの皆様はご理解いただいていると思うのですが、レビュワーは「栄えて欲しいと思う店」だから紹介しているのです。　決して店に恩を売ってタダ酒を飲んだり、お金を貰って高評価を付けている訳ではない　のですから。

■キャンセル料を取るべきとの意見がある
唯一、問題があるのが、居酒屋経営者として行うべき予約の確認を怠ったという点です。しかし、万単位での損害発生を自ら背負っていたのですから、これは店主が一番反省している事でしょう。
また、今後の影響も考えると、損害賠償を請求すべきだという意見もあるようですが、店主自身が「しない」とのリスクテイクを決断しています。これはもっと所帯の大きい店か高級店、あるいは業界全体が担うべき役割でしょう。

■なぜ前金やキャンセル料請求に及び腰なのか
私はこれまでの居酒屋訪問で、料金請求に対して店により様々な方針があるのだと知りました。当店は間違いなく、良心的で身の丈にあった経営をする優良店ですが、サービスに合わない不誠実な請求をする劣悪店も世の中には確かに存在します。特に私はそういった基準で評価を付ける事が多いです。
店主さんはキャンセル料の明記が顧客離れにつながると指摘されています。店のサービスとは関係ない部分の料金を示すことで、不誠実な経営店と思われるのを苦慮されているのではないでしょうか。
劣悪店の不誠実な料金請求はそれ自体が酷いものですが、居酒屋業界のイメージを落とし、良心的な店が真っ当な表示をためらうという面での悪影響もあるのだなと感じました。
そんな訳で、優良居酒屋が増えてもらうためには、不当な料金を請求するプチボッタクリ居酒屋にご退場いただくことが大事なんですね。

さて、6500文字を超えるレビューはさすがに飽きてきましたｗ
お店への応援の気持ちがやや過ぎる気がしましたので、評点は無難に★3.5にしておきます。
それと、お値段の表記が本当は正確ではないのですが、4時間飲み続けた今回の訪問は、いわば1.5軒分の料金になっていますので、その割合に応じて修正をさせていただきました。

部下を指導する時の厳しさと、電話口の優しい対応のギャップが楽しい店主さん。
絵も上手く愛嬌がある対応をしてくれる美人女将さん。
全力で修行中のいがぐり君。
大変楽しい訪問になりました。早く2号店を出せるといいですね。ごちそうさまでした。


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（おまけ）ランチレビュー

当店では、ランチもなかなかのパフォーマンスを出してくれています。
刺身や寿司が素晴らしかったので、これは昼の営業も楽しみだと思い、一度訪問したら、何と12時55分で品切れになっていました。質の良い商品を身の丈に合った数だけ出す、店主の方針がここでも見受けられます。
ただ、食べられなかったのはとても残念ではあったので、後日、11時45分に時間を合わせて再訪してみる事にしました。

当店ランチ営業は12時から。当たり前ですが準備中の札が入口にはかかっています。
缶コーヒーでも飲みながら少し時間をつぶしていたら、何名かの常連客と思われる方々が入っていくではありませんか。

あー、そういう事ですね。ま、私もお伺いをたててから入ることにいたしました。

今日の日替わりはさわらの塩焼き（税込み800円）です。これに、サラダとみそ汁、小鉢が付きます。ご飯もお替り可能とのことです。
サラダは作り置きものではありますが、ドレッシングの量が適正でとても美味しいです。
味噌汁はとにかく出汁がしっかりしてます。薄味で魚の塩焼きを邪魔しない味付けですが、旨みが半端なく、しかも量がかなり多いお椀でした。
そして小鉢がとても豪華な色合いを添えます。ちょうど、隣の席の方にばら寿司（税込み700円）が運ばれてきたのですが、これの拡大バージョンで、かなり目移りしました。個室に入っていた女性二人組も、色鮮やかなちらし寿司を見て、「キャー」って喜んでいました。私も、次はばら寿司＆ネギトロ（税込み900円）にしようかな。


問題提起として作成した長文レビュー（7,700文字）でしたが、まさか昨今のステマ問題まで関わってくるとは思いませんでした。
気になる方は5,000文字あたりの
■騒動を詫びる必要があるのか
まで戻って、もう一度よくお読みください。
私も何か運営の役にたてればいいんだけどなぁ。普段の行いが悪いから評価影響★0.0なんだよなぁ。