上野の森に面する空間は灯も素敵な別世界 : 韻松亭

2010年2月、ちょっとした会食で夜に2回利用しました。

一度目は大勢で季節の会席コース、6,300円。
二度目は4名で鳥すき焼きコース10,500円。

結論。ここの一番のご馳走はやっぱり環境だと感じました。
特にライトアップされた梅（季節によっては桜）の見える部屋は特等席。

季節の会席 6,300円はちょっと全体にさみしく、「これ！」という印象には残らない料理。

で、鳥すき焼きのコースは滋味豊かなスッポンのお料理なども入ったりして、それなりにインパクトありますし、鳥すき焼き自体はおいしい（が、いつも量が多いと思う）のでいいと思いますが、造りとか、八寸とかはうーん、やっぱり印象には残らないかな。

でもこの環境はどこにもない。
お客様を連れて行くと喜ばれるし、なんだかんだいって、使い勝手のよいお店だと思います。

大切な会のために予約するならできれば下見をして、いい部屋を予約するのをお薦めします。
部屋によって全然「ありがたさ」が違ってきます。


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（2009年1月）

10名ほどのディナーの会食に利用しました。
お店のリコメンダーは「ものすごく雰囲気のいい部屋をとったんだよ！」とちょっと興奮気味。
ここのお店に何回か通ってすっかりファンになっている様子です。

しかしここ、なんか覚えがある立地・・・と気づいたのは、約１０年ほど前、上野公園あたりでしっとりとした和食の会食場所を探していてここを通りかかったこと。
お店の中を見せていただいたのですが、そのときはまだ改装前でなんとなく古ぼけた雰囲気が趣を通り越して物寂しく、残念ながら利用させていただくことはありませんでした。

ですが、５年ほど前リニューアル改装をされてぐっと雰囲気がよくなったとのこと。
もともと立地は上野公園の中、緑に囲まれ素敵、建物も明治８年創業らしく、出自は確かですからね。
蘇った韻松亭、さてどんなお店なんでしょうか。

さて、「ものすごくいい雰囲気の部屋」ですが確かにものすごく雰囲気がよかった。
公園の緑に向かって窓が大きくとられ、大きな一枚板のテーブルもなかなかすっきりとしたモダンデザイン、よいですね。
何より素敵なのは世界的ライティングデザイナー石井幹子氏がてがけたという照明。
石井幹子さんは東京タワーのダイヤモンドベールでも最近話題になりましたね。
部屋の中はほんわりとあたたかく、そして外の樹木や上野の森の雰囲気が部屋の中にまで広がってきそうな素晴らしい演出。これは明かりを照る、とはいえ石井さん言うところの新・陰影礼賛の美学なのかもしれません。

私たちの個室の奥にも外を眺めるしっとりとしたカウンター席があり、こちらはデートによさそうです。

当日は３つある鶏すき焼きコースのうち6,300円のコースをお願いしました。
最初に綺麗な前菜が出てきて、そして竹筒に入ったお豆腐、ひじきの白和え、など。
その後湯葉刺し。
手羽先の焼いたのなんかもでてきてこれは手でとってバリバリと。なかなかスパイシーでよい感じ。
生麩のはいった白みそ仕立ての椀ものもスープが味わい深く、「！」と思いました。

鶏すき焼きの鶏肉は大山地鶏だとか。
うすくスライスしてあり、まずはお店の方がすき焼き鍋で軽く焼いてくれてそのあと割りしたを注いで。まずはこれを溶き卵でいただきます。
実は鶏のすき焼きって初めて食べたけれど、牛肉とは違う良さがありますね。
ふわっと弾力があっておいしい。

すき焼きの具はこれ以外にクレソン、タマネギ、湯葉、生麩などです。
クレソンってのが結構シャレてるだけでなくなかなかすき焼きに合います。
大きめの薄湯葉はふわっと鍋の上の方に載せて、ちょこっと火がとおったらもうOK。
これもいける！
当然生麩もおいしいです。
全体にとても上品、かつ味わい深いお鍋。
途中で割り下ちょこっと濃くなりすぎちゃったのが甘辛味苦手の私には少々つらかったけれど・・。

鶏肉を食べ終わったあたりで、鶏つくねをその場で作ってくれるのも魅力。
すき焼きの旨味のある割り下で仕上げられたつくねはなんとなく嬉しいですね。

最後の〆はうどんか雑炊かを選ぶのですが、この日は雑炊にしました。
これもその場で作っていただきます。
味がちょっと濃い・・・が、完食。

デザートは麩まんじゅう。お麩好きにはたまりません。

料理は6,300円の内容としては趣向も楽しめ大充実なのではないでしょうか。
ほっぺたが落ちる！という訳にはいきませんが、センスよく、目にも楽しめます。
でも何よりここはロケーションが魅力！
結論を言えば「お店の雰囲気：非凡に素晴らしい、味：平凡においしい」という感じではありますが、これだけ品数多く、丁寧に目の前でサービスしてくれることを考えればお料理内容も接客も納得です。
巷にあふれるペラペラした素材で作った和風ダイニングのインテリアは束になっても到底かなわない情緒を楽しまない手はありません。
昼の席も情緒ありそうですが、やはりすばらしいライティングが演出する夜に、カウンターや庭に面した席をとってうかがうのがよさそうです。